心に灯るあかり *あとりえ 悠*

*あとりえ 悠*は妻の小さなステンドグラス工房。妻のつくった作品を写真と文章で紹介します。ステンドグラスのよさが伝えられたら幸いです。

No.190 日本青年館ホールの木の灯り(其の16)~「橡(とち)の灯り」完成

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まったく、豆太ほど  おくびょうな やつは ない。

もう五つにもなったんだから、よなかに ひとりで

セッチンぐらいに いけたっていい。

ところが 豆太は、セッチンは おもてにあるし、

おもてには 大きな モチモチの木が つったっていて、

空いっぱいの かみの毛を バサバサと ふるって、

りょう手を「ワァッ!」と あげるからって、

よなかには、じさまに ついてってもらわないと、

ひとりじゃ しょうべんも できないのだ。

・・・・・・

(斉藤隆介作「モチモチの木」より)

こんな弱虫豆太ですが、

夜中倒れたじさまのために

ひとりで泣きながらふもとのお医者様を呼びに行きます。

そして、その帰り“勇気ある子どもだけが見られる”という

火の灯ったモチモチの木を見ます。

 

子どもが共感できるお話なのでしょうね。

子どもたちに人気の絵本です。

 

滝平二郎による切り絵がまたいいのです。

どのページも2,3色での絵ですが、

豆太が見た火のついたモチモチの木だけはこうです。

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  ※同書挿絵P26を撮影

まだ妻が若い頃の教員時代、切り絵の魅力にはまり、

勤務校で切り絵クラブを作り、子どもたちと切り絵を

楽しんでいました。

滝平二郎の切り絵の本も何冊か求め、

子どもたちの作品の参考にと熱心に見ていました。

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豆太の見た火の灯った「モチモチの木」、

それが「橡(とち)の木」です。

私が妻の作った「橡の灯り」の作品を見て、

私には予想外の華やかさでした。

深層には「モチモチの木」があったと思えます。

 

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ところで、過日、「木の灯り」の写真集制作ご協力のお願いのため、

「木の灯り」ご依頼の社長と専務お二人にお会いしました。

その時、私はご快諾を得た安堵以上に、お二人の

『働く人が働きやすいホール』の言葉に心動かされました。

裏方と言われる方々へのにじむ気持ちを感じたのです。  

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 「橡(とち)の灯り」が日本青年館ホール楽屋前に灯るとき、

舞台に出る人出ない人それぞれすべての人を

きっと、やさしく励ます灯りになるのでしょう。

(2017.5.5 記)

 

No.189 日本青年館ホールの「木の灯り」(其の15)~「桜の灯り」完成

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桜前線北上。

北国からの桜の便りに、

妻と見た桜がなつかしく思い出されます。

 

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9年前の4月19日、

仕事の合間をぬって私の田舎に帰省する途中、

角館で桜を見ることができました。

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                   ※妻が撮った9年前の写真

例年より10日以上早い桜開花でした。

前々から角館の桜を見たいと言っていた妻は

感激もひとしお。

地元は桜祭りの準備に大わらわでしたが、

武家屋敷前の桜、土手の桜、夜桜などを

ゆっくり、充分過ぎるくらいに見てまわりした。

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妻は、桜をモチーフにして

大きな作品を作ろうとしていた頃でした。

このときの桜が、

作品のイメージを大きくふくらませたと

妻は言います。

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※「花影」(2008年)

     作品詳細のブログ http://bit.ly/1J6Lkax  

 

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また今回の「木の灯り」シリーズの作品は、

桜の木の皮で作る秋田の樺細工(桜皮細工)の

イメージが表現されています。

秋田では昔からどこのご家庭でも、

茶筒やお盆は樺細工のものが使用されていました。

いかにも職人が作る感じに心惹かれ、

30年程前に二人で角館の樺細工工房にお邪魔して

職人の方に作る様子を恐る恐る見せて頂いたことも

ありました。

 

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私には、妻と訪れた角館の詰まった作品です。

(2017.4.29 記)

No.188 日本青年館ホールの木の灯り(其の14)~「栗の灯り」完成

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しんとした雪夜に来客が帰る。

残されたいろりの熾火(おきび)に

勢いよく息を吹きかける。

灰色がかった炭がぽーと勢いを増して燃える。

赤くなって燃える。

子ども心に

この熾火の不思議さを

炭のほてりを感じながら

見る。

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数十年経て

私は「栗の灯り」に熾火のほてりを見る。

 

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熾火(おきび)。

堂門冬二は小説「上杉鷹山(うえすぎようざん)」で

藩政改革の志の象徴として熾火を据え、

主君、家臣、農民の織りなす物語を展開させる。

家臣が命がけで炭火の火を絶やさないよう守る行為は

今の人々にはなかなか理解しにくいだろうが、

北国の小さな村で熾火のほてりを感じて育った私には、

心憎いほどよく出来た設定に思える。

ケネディ大統領に最も尊敬する日本人と言われた上杉鷹山

論理だけで大改革など出来ないが、

鷹山だからなし得た大改革と納得する歴史小説

なっているのは熾火ゆえだと私には思える。

熾火は人々の希望だった。

 

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灯すと、息を吹きかけたように、

静かに赤く燃える「栗の灯り」。

日本青年館ホール出演者の方々に、

さらなる希望と活躍へのエネルギーを与えるだろう。

出演のアーティストを応援したい妻の思いのこもった作品、

もう間もなく、楽屋「栗」の前に灯る。

(2017.04.18 記)

No.187 日本青年館ホールの木の灯り(其の13)~「杉の灯り」完成

 

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杉の林・・・

近くにひっそりとオコジョ・・・

雪にかくれるような白い毛布で身を包む・・・

 

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菊の冠を載せたような野鳥キクイタダキ・・・

樹上に小さな杉の実・・・

根元にヤマユリ・・・

 

 

「杉の灯り」が完成した。

どこか遠くにやさしく心誘われる雰囲気がいい。

 

私が子どもの頃、

隣町には秋田杉の製材所がいくつかあった。

農閑期になると父は製材所で日雇いとして働いた。

あるとき父に、「ここで木、切ってるでゃ」と言われ、

見たらそこには野積みの杉の大木が幾つも重なり合ってた。

“こんなでっけぇ秋田杉、どうやって切るだべ?”

父の右手ひとさし指はいつもくの字に曲がったままだ。

切断するのは大型機械だと知らない、

私はまだ小さな子どもだった。

それから、私は中学生になって初めて

小柄な父の指が何故こんなに太いのかと

その異様さに気づいた。

私は農家の全くのんきな末っ子で三男坊だった。

どうしたらこんなに太い指になるのだろう。

農家の長男に産まれ、

手を動かして生きる者の証なのだろうか。

私の指も太くてかっこ悪いが、

恥ずかしさは段々感じないようになった。

この父の子だからと

いつしか思えるようになったからだろうか。

 

この灯りを前に、

想いが尽きない・・・

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作品を見て想うことは人それぞれだが、

見る人をどこか遠くに心誘う作品のような気がする。

 

妻によると、昨年の春取材で行ったときに見た秋田の杉山、

森林研究研修センターの杉林、国際教養大学の杉並木の

イメージをもとにしたとのこと。

 

この妻の作品を目に見えるように撮影して

そのまま伝えたいのだが、どうもうまくいかない。

撮っても撮っても、うまくいかない。

・・・直接見てもらえるならこんな苦労はいらないのだが。

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この「杉の灯り」をブログにアップしようとしてから、

撮影に5回挑戦、10日もたった。

多少の改善は見られたような気もするが、

その間、妻の作る「木の灯り」の紹介する作品が貯まってしまった。

こんな悠長にしている場合じゃなかった。

とは言っても、

今までも書きたいときに書きたいようにしか書けてない。

てきぱきとはなかなかいかないんだよね。 

(2017.4.10 記)

No.186 Rose et moi 主催作品展に協賛出品@京王聖蹟桜ヶ丘(3/30~4/4)

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ここを通ると、

京王百貨店の粋な計らいを嬉しく思います。

京王聖蹟桜ヶ丘店のA館とB館の5階通路は幅広く、

両側がギャラリーになっています。

大勢の来店者や駅利用者が出展の作品を

気軽に楽しめるようになっています。

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2年前の多摩市民文化祭で知り合いになった玉置悦子さんから

協賛出品のお申し出をいただき、展示させていただきました。

玉置さんは押し花絵額、アート&ブリザードフラワーアレンジメントと

幅広く活動されている方です。

大勢の生徒さんとともに、

花の美を暮らしの中の彩りとして追及されています。

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※ 「ふんわり 空中散歩」  玉置 悦子 作 

 

ちょうど今はお花見のころ。

桜ヶ丘という地名の通り周辺は桜がいっぱいです。

今度の日曜日(2日)は「せいせき桜まつり」です。

 

桜もいいですが、妻はこちらも気になるようです。

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デパート内がネコの写真や商品であふれています。

昨日は平日なのに大勢の来客で驚きましたが、

みなさん、ネコを求めて忙しそうに動いているの?

そう思ってしまいましたが、

気のせいですね。

 

Rose et moiさんの作品展は10時から17時までです。

最終日は16時までです。

 

(2017.3.31 記)

No.185 幼稚園のパネル「光に向かう子ら」~その4「子どもたちへ」

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パネルが完成して窓枠にはめられた後、

園の子どもたちへのお話の機会を頂きました。

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「ガラスはお天気や時間によっても見え方がかわるし、

 皆さんが見るときの気持ちによってもかわるかもしれません。

 楽しいときには楽しく見えて、

 悲しいときには泣きながらみるかな?

 でも虹って雨のあとにでるでしょう。

 悲しいときにこのにじを見たら、

 雨あがりのときのように

 うれしい気持ちになってくれたら

 とてもうれしいです・・・」

小さな子どもたち、

妻の話を静かによく聞いていました。

 

冒頭のカードを持参し、

園の子どもたちみんなにお渡しのお願いをしました。

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この階段踊り場のステンドグラスが

子どもたちに見られながらも、

いつも子どもたちを見守って欲しい・・・

そう願って妻と園をあとにしました。

 

お世話になりました園長様、園主様はじめ園のみな様、

取付の工夫などご尽力くださった工務店のみな様

ありがとうございました。

 (2017.3.20 記)

No.184 日本青年館ホールの木の灯り(其の12)~「欅の灯り」完成

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※左面:春  右面:冬 

 

私には身近過ぎるように思える欅だが、

ひと冬前に始まった欅とのふれあいに、

妻は何を感じたのだろうか。

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欅のすべての始まりは冬。

欅の古木の穴に宿るスズメ。

春を焦がれる実生(みしょう)を宿す欅。

木枯らしにゆれる小枝にも、

期待はふくらむ。

 

春、

見ると、

赤くかわいらしい花。

 

 

 

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※左面:秋 右面:夏 

夏、木陰飛び交うルリビタキ

幸せを呼ぶ青い鳥。

日本青年館にも大きな欅。

 

紅葉した葉の奥に

ふんわりと秋の欅並木。

 

 

 

組み立て前の冬から始まる欅の四季。 

※右から冬、春、夏、秋

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“身近なものほど気づかない

 見ようとしなければ見えない”

私は小さい時から欅を見て育ったが、

こんな花をつけるとは知らなかった。

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花は妻に教わった。

妻は感受性が強く

作品作りには役だつようだが、

疲れないかと気の毒に思うこともある。

私は自然に見えてきたもので十分な質。

妻は私の鈍感力が羨ましいとよくいう。

褒められたのか、

しょうがないねと言われているのか

よく分からない。

踏み込まないようにしているから、

ひと時幸せだ。

(2017.3.15 記)