木片によって組まれた模様の障子の向こうは、
地上に陽光降り注ぐ小春日和の世界です。
それは全くの幾何学模様なのですが、
手作りのなせる技なのでしょうか。
障子に作り手の思いが宿るのでしょうか。
釘も接着剤も使わないでこの連続模様を作ります。
この道50年の職人秋山光雄さんを知ったのは、
葛飾北斎の絵でステンドグラスを依頼された大島さんのお陰です。
大島さんは妻の作った「北斎の波のステンドグラス」の木枠を
組子細工で実績のある秋山さんに制作依頼されました。
大島さんの持ってこられた木枠を見て、
貴重な古松材使用の落ち着いた品格を感じました。
北斎の「神奈川沖浪裏」にはこれしかないと思いました。
秋山光雄さん
神奈川県伊勢原市在住 昭和21年生まれ
創業80年になる秋山建具店初代の父のもとで
18歳より修行
やがて組子細工の良さを求めて制作を続け、
今日に至る。
この秋山さんなら、
こちらが望むアロマランプなどの台を
仕上げてもらえるのではないかと訪ねました。
こちらの願いをじっくり聞かれた後、
仕入れている木材の乾燥方法が違っていること、
塗はされないことなどを気の毒そうに話されました。
私は、すぐ納得したのですが、
わざわざ遠くから来られて申し訳ないと、
知り合いの家具屋さんに頼んでみるからと
話されました。
こちらの不勉強ゆえのお願いだったので、
かえって申し訳ないと思いました。
期日には間に合わないだろうが、
待っててくださいと優しく見送ってくれました。
大島さん宅玄関天井の組子細工の灯りは秋山さん制作のものです。
今回の第5回作品展では、
「北斎の波のステンドグラス」を
大島さんからお借りして展示しますが、
木枠の制作者秋山光雄さんの組子細工の屏風も
展示いたします。
どうぞご覧ください。
(2017.12.4 記)