心に灯るあかり *あとりえ 悠*

*あとりえ 悠*は妻・一ノ関悠子の小さなステンドグラス工房。妻のつくった作品を写真と文章で紹介します。ステンドグラスのよさが伝えられたら幸いです。

No.219 作品からの呼びかけ?~紀ノ川薔薇文様のアロマランプ&牡丹のアロマランプ

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※ついつい、見てしまう作品… 『紀ノ川薔薇文様のアロマランプ』

この作品を見ているのが好きでねえ。

何度みても飽きないし、いくら見てもいいんですよね。

やがて、私はこうして何度も作品を見ているのは、

私が作品に呼びかけられるからじゃないか、

なんて思ったりして。

そのうちに、

作品に心があるのか!?

ふと思ったり…

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※パレントフェアにて出品。時と所によって違う表情になります。即日売約済

そんな時、比較認知科学者の森山徹氏が

「ダンゴムシに心はある。石にもある」

と唱えていると知りましてね。

ならステンドの作品に心がないわけがない!

と森山氏著『ダンゴムシに心はあるのか』を読みました。

冒頭著者の『私のいう心とは』が長々続き…

ちょっと不安…

なんか違うかなあ。

それでも、その後の緻密に延々と続く歩行実験は、

ダンゴムシがかわいくなり、付き合いました。

ダンゴムシ、大好きになりましたよ。

それで、ダンゴムシの心って?

残念ながら、私にはよく分かりませんでした。

 

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 ※この作品も困ったことに呼びかけて来ましてね…『牡丹のアロマランプ』

ダンゴムシに心を求めることをあきらめたら、

西郷竹彦氏の文芸教育論を突然思い出しました。

40年前に私が学んだ氏の理論では、

『呼びかけられた』のは、『呼びかけられた』と

思った私がいるということ。

『民話の蛇になった女から何を読み解くか』で西郷氏は

実家に戻された嫁が途中の湖で水を飲もうとしたとき、

湖面に映った蛇になった自分の姿に驚くのは、

自分の姿が蛇に見えた一人の人間がそこにいた、と。

それは語り手の中に語り手の真実があるということ。

 

これはいい。

これなら、

妻の作った作品に心を感じる私がいてもいいかあ。

そういうことにして、

あれこれ考えるのはもうおしまいにしました。

  

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※青緑のアンティーク硝子は、困るほどいい! 完成直後に売約済み

「ダンゴムシに心はあるのか」の本、他に使えそう。

勤め先のやんちゃな「そら君(仮称)」、

ダンゴムシ、大好きでね。

「集めたダンゴムシ、部屋には持ってこないでね。」

とそら君に言うとき、ダンゴムシの話がいっぱいできそう…

(2018.5.3 記)

追伸

「ダンゴムシに心はあるのか」の本で、

本を売る編集者、出版社のプロ根性をみました。

私のようにとびつく人が相当いたのか半年で第5刷り。

この手の普通は売れない本をねえ。

ただ、著者のダンゴムシ愛はほんといいですね。

救いです。

No.218 日本青年館ホール「木の灯り」(其の27)~「桐の灯り」第貳(だいに)

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※このたび追加注文で日本青年館ホールにお納めした作品

昨年末、日本青年館ホールから再度のご依頼でした。

“今度は催事入場者のどなたにでもご覧いただけますよ。

”なんと嬉しいお言葉でしょう。

妻と大喜びしました。

 

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※2階ホワイエと取付予定の同階階段周辺。

 設置場所は2階ホワイエに続く階段近くに、

佐藤佳奈さんの書と共に展示予定とのこと。

最初はもう一作品を設置条件に合わせて、

「木の灯り」のイメージでとのことでしたが、

打合せの中で「桐の灯り」になりました。

 

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森林組合長さんご夫妻にご案内していただいたときの鳥海山

私は妻の作った「桐の灯り」を見ると、

秋田の鳥海山をご案内くださった森林組合長さんご夫妻を

思い出します。

妻が「桐の灯り」のデザインで2,3日行き詰まったとき、

できた!と嬉しそうに言ってきました。

桐の花の背景を鳥海山にしたら

うまく全体がおさまったとのこと。

その時、一日中時間をかけて鳥海山山麓をご案内くださった

ご夫妻の笑顔も作品に重なって見えるようでした。

妻の孤独で厳しい作品づくりには

いつも誰かの応援があるように思います。

だから、作品を作り続けていられるのでしょう。

 

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※「桐の灯り」2017年制作

今回の「桐の灯り第貳(だいに)」は基盤が同じ物が

どうしても入手できず、妻は思わぬ苦労を重ねていました。 

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 ※前回と今回の基盤は見た目はわずかの違いですが、作る上では別作品。

できあがってみると、廊下歩行者が横から見ても

作品イメージのつかみやすいものになったように見えます。

大勢の人が行き来する賑やかな場ですが、

見る人に爽やかな感じを与えられることを願っています。

妻は基盤の違いをうまく生かしながら制作できたと、

ほっとしていました。

最初の予定よりも設置のための壁工事も

大がかりになるようですが、

いつ、どんなふうに展示されるか

楽しみです。

 

ウルトラマンと桐》

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今年も桐の花が咲き始めました。

私が桐の花で最も印象深いのは、

小田急線祖師谷大蔵駅北側にある広場に立つ桐です。

円谷プロが近くにあるので駅広場にはウルトラマンの像。

何度乗り降りしても広場に行くことはなかったのですが、

たまたま2年前の春、広場に行って、ウルトラマンに驚き、

そのウルトラマンのように大空を見てさらに驚きました。

「おー、こんな所に! 地上高く見事なきれいな桐!」

写真はそのときの一枚です。

この「桐」、ウルトラマン

地球と一緒に守られているような雰囲気を醸し、

ふつふつと何故か可笑しさと嬉しさがこみ上げました。

さらに後日、地域の方から教わりました。

実はこの桐の木、

駅舎改築時に伐採される予定だったものが、

住民の署名活動で中止になり、生き延びたものとのこと。

それから、この広場の桐は私には特別なものとなりました。

20年ほど前切られるはずだった桐の木が、

今春も、駅広場でウルトラマンや地域の方々に見守られて

見事な花を咲かせているでしょう。

   (2018.4.24 記)

No.217 吉祥寺Paleんtte(パレント)春のフェア 4/21&22

 

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妻と明日からの春のフェアの展示を終えて帰宅しました。

フェア開催を心待ちにしてくださる店長さんと一緒の準備は、

妻には楽しいひとときのようです。

妻は厳しいファッション業界で生きる店長さんに

気に入ってもらえる作品を作ることに結構燃えるようです。

妻はそれぞれの作品を作った時のこだわりを話しながら、

店長さんと二人で盛り上がっていました。

店長さんからは、展示は店内のいい場所をどうぞ、と言われ

申し訳ないと思いながら…写真のようになりました。

今年も。

ステンドグラスのお店みたいだけど、いいのかなあ…

どうぞということで、甘えてしまいました。

 

 

今回の春のフェアには、

妻はがんばって作った結果、

思ったよりも新しい作品を多く出品できました。

いくつか写真で紹介します。

 

1 福寿草秩父紅の灯り 

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2 薔薇文様の灯り

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3 牡丹の灯り

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  ※売約済み

4 青いイチゲの灯り 

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 5 苺の灯り 苺のお休みライト

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6 薔薇文様の灯り 

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7 葡萄栗鼠のアロマランプ 

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8 森の三月

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  ※非売品

9 紀ノ川~薔薇文様のアロマランプ

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     ※売約済み

 10 キャンドルホルダー

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11 お休みライト

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12 薔薇の小皿

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13 スワロフスキーのチャーム

 

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14 テレイドスコープ

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上のテレイドスコープで覗いて見た景色の画像 

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開催場所は吉祥寺駅北口から徒歩8分です。 

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日時は4月21日(土)22日(日)12時~19時

 

(2018.4.20 記)

No.216 森のかたらい 

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春は まだかな。

雪に てんてんと続く うさぎの足あとの

その先は きっと 春だよ。

 

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オコジョも 焦がれる 春だよ。 

節分草が 真っ先に 顔出すよ。

 

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シマエナガも 

イチゲ咲く 春を 想って

ちょろちょろしてるよ。

 

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春…

春を 呼び合う 森の 語らい

こころ あったまるよ。

 

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もうすぐ

春だねえ。

 

(2018.4.5 記)

追伸

このところ、妻の作品完成が続いて、

ブログが追いついていません。

この作品は「森の三月」として、

この3月に完成した作品ですが、

「森のかたらい」として紹介させていただきました。

 

私はこの作品を見て「雪うさぎ」を思い出しました。

「雪うさぎ」は10年程前からの妻の人気の作品です。

大きめの「雪うさぎ」をご依頼される方のお話を伺って、

当時、どうして、

ご主人を亡くした方やお嬢さんを亡くした方からの

ご依頼が続くのかと、不思議に思いました。

たまたまなのでしょうが、

雪に足跡の残すうさぎの後ろ姿に、

なくなった方の何かを感じるのかなと

思うこともありました。

今度の作品は、正面はその「雪うさぎ」ですが、

オコジョもシマエナガもいる森になりました。

深い森で、生きものたちの静かに語り合う世界を想像し、

私はなぜか嬉しくなりました。

生き合うものたちの世界です。

そして「森のかたらい」としました。

冷たい雪に被われた森の中、

生きものたちの語らいに

ほっとぬくもりは増すのでしょう。

生き合うものたちのぬくもりです。

 

No.215 吉祥寺Paleんtte(パレント) 春のフェア

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※前回8回目のパレントのフェアの展示風景

梅から辛夷 (こぶし)へ、

辛夷 (こぶし)から桜へ。

移り変わる花の話題と共に

妻とはPaleんtte(パレント)春のフェアの話題が

この時期花咲かせます。

妻は今回のフェアには新作を多く出したいと

がんばっています。

実際はオーダー作品も同時に作っているので

そんなには出せないと私は思っています。

まあ、毎日、一日中がんばって作っています。

開催日時は

4月21日(土)22日(日)12:00~19:00です。

お時間があるようでしたら、

どうぞのぞいてみてください。

妻は二日間、パレントにいるようです。

私は二日間、パレント周辺をさまよいそうです。

 

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※パレントは吉祥寺で長く続くブティック

 

パレントさん主催のステンドグラスフェアは今回で9回目。

7年前、妻の個展でキャンドルホルダーを購入された方が、

その作品を気に入ってくださり、

知人のブティックの店長さんにもあげたいからと

さらに「もう一つ」ご注文されたことがありました。

頂いた店長さんもその作品を気に入ってくださり…

 

店長さんに渡った一つの作品から生まれたフェアです。

もう9回目となりました。

店長さん、店長さんにプレゼントされた方、

店長さんに渡った作品に感謝しています。

 

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吉祥寺駅からの地図です。

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中道通りは

吉祥寺通りに面したユニクロ大和証券の間を入ります。

ぶらぶら歩いても楽しい街です。

珈琲好きにもうれしい街ですよ。

妻がパレントに詰めている間、

近所に有名珈琲店も2,3あるが私は、

まず「月波珈琲」に行こうっと。

(2018.3.30 記)

No.214 福寿草のアロマランプ~紅ー第貳(だいに)

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福寿草のアロマランプ~紅が完成しました。

紅の2作目です。

私はこの灯りを見ていると

幸せな気分になります。

妻と行って見た秩父紅が

今ここにあるように

思えるのです。

 

一作目は2年前。

黄色の福寿草は「雪」。

赤色の福寿草「紅」

それぞれ完成後我が家から旅たち、

お求めくださった方に愛されていることでしょう。

我が家には写真だけが残っています。

その写真です。

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 福寿草のアロマランプ~雪(2015年作) 同~紅(2015年制作)

今回の作品は「紅」の2作品目にあたるので

「紅ー第貳」(べにーだいに)としました。

秩父に咲く福寿草の仲間「秩父紅」が

モチーフです。 

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※上段6角形のピースはブラストで表現した「秩父紅」。黄色地に赤を被せた2層のガラスの赤色面に砂をあてて削りながら黄色地を「秩父紅」の形にした砂による彫刻です。
※中段のピースはオレンジ色のガラスをブラストしたもの。オレンジ色の層に砂をあてて削り、花の形で残した彫刻です。
※下段のピースは中断のピースのガクと葉の部分に絵付けしたもの。ガクに色つけし窯で焼いて、葉に色つけし窯で焼いてと案外手間のようです。

 

※被せ(きせ)ガラスについて

妻がこのようなブラストで作品を表現できるのは、被せガラスという希少な手作りガラスのお陰です。素晴らしいガラスをフランスやドイツやアメリカのガラス職人さんが一枚一枚吹きながら作ってくれています。かなり高価なガラスですが今妻が一番心配しているのは、世界に数社しかない上に、今まで使っていたお気に入りの色が廃番になるなど手に入らなくなっていることです。妻の作品はこの被せガラスがあるからできる表現方法です。妻は無くなったらどうしようと言いながら、被せガラスを大事に大事にしながら作品を作っています。 

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※できあがったピースを並べた状態

 

「紅ー第貳」は少しわかりにくいですよね。

今までなら「その2」等とするところでしょうが…

今私は大学OB合唱団で

草野心平詩の組曲「富士山」の練習をしています。

夏の山口への演奏旅行で、

地元合唱団と合同で歌う曲なので熱も入ります。

歌うたびに、

そこにある情景描写と詩人草野心平の心情に、

いいなあ、

そう思ってしまいます。

詩の背景を調べては、

詩人草野心平はすごい人だなあ、

また感心してしまいます。

そんなこともあるのでしょう。

妻の「2作目完成」と聞いて、

「紅ー第貳」だね、とっさに思いました。

草野心平は自身の作られた多くの富士山の詩に

作品第壹、作品第貳、作品第参・・・と題を付けました。

「紅ー第貳」が「富士山」の詩のように

見る人の心に何かを伝える作品となるよう祈りたい、

そんな気持ちの「紅ー第貳」です。

(2018.3.22 記) 

No.213 秩父の春~福寿草のアロマランプ雪&紅

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福寿草のアロマランプ~雪」(2015年制作 都内O様所有)

 

春の便りに心誘われます。

秩父に行こう。

そう妻と話し、

秩父に行きました。

秩父の今は節分草。

妻が今作っている福寿草も咲いているだろう。

 

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小鹿野両神の節分草園は、

山の斜面が節分草の花々に被われていました。

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今まで数度訪ねましたが、

この光景は初めてでした。

園で来訪者を出迎えられる地元の方々も笑顔です。

このために一年間節分草の環境を整えてきたのでしょう。

地元の方からのふるまいの甘酒、

なんとおいしかったこと!

妻の好きな甘酒、二人して、

おかわり! 

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手前には、

春未だの冷気に包まれながら、

死に花をもたげる節分草一輪。

かわいらしさの奥にひそむは野草の矜持か、

観ているこちらが覗かれるようでした。 

 

 

 

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 ムクゲ自然公園の福寿草は、

群れて鮮やかに咲く見事さに心わくわくしました。

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真っ黄色に揃った花の写真を送った妻のLINEに、

娘からの返事は「たんぽぽ?」

そう見えなくもないが、

「ほら、福寿草だよ。」

娘がここにいるなら言ってやりたいと思いました。

 

 

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ムクゲ自然公園の呼び物は秩父紅。

こんなに見事に咲いているところを他に知りません。

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昼過ぎのお日様の恵みを受け取るように

光沢の薄紅色の花びらをひろげて

秩父紅が待ち構えてくれました。

 

「いい色だね」「かわいいね!」

柵もロープもなく、

花と会話するように写真を撮りました。

妻とついつい夢中になって撮っていたら

「お日様も傾いてきたよ」と

しぼんできた花びらに教えられました。

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妻と二人、

秩父の山ふところをさまよい、

ひんやり心地よい風を受け、

野に咲く草花を愛でながら、

いっぱい元気をいただきました。

 

行って良かったね。

また行こうね。

福寿草」5作目への妻の意欲も

ますます高まったようで、楽しみです。

  

(2018.3.15 記)