暑かったり寒かったりした春はいつのまにか過ぎてしまい、
森の外れにはアヤメ(花菖蒲)が咲き始めました。
こんなにたくさんの菖蒲、初めて見たよ。
澄みきった五月晴れの青空。
陽射しはキラキラと、水辺もまぶしく光ります。
あちらもこちらも緑がとってもきれいだね。
10年以上も前から作りたいと思っていたアヤメの灯りを
ようやっと作ることができました。
デザインを描くにあたって「いずれがあやめ、かきつばた」?と思って
いろいろ調べてみました。
名前の由来や、光琳の屏風を思い浮かべると
燕子花・杜若(かきつばた)が素敵でしたが、
作りたい花の形のイメージや色合いは大輪で多彩で水辺に咲く花菖蒲でした。
でもどれもみんなアヤメ科なんだそうで、アヤメとしました。
息子夫婦の住む家の裏に、菖蒲がきれいな公園があります。
桜の終わる頃に初孫を負ぶってお散歩に行きました。
山のふもとにそっと開けた里山の中に公園はあって、まるでタイムスリップしたようなところでした。
もう少ししたら、菖蒲が一面に咲くことでしょう。
そんな風景を想像をしながら作りました。
デザインはできるだけ単純化しないでティファニーのタッチを考えて
何回も描き直しました。
最終的に向きと開き方の違う三輪と少なめで細めの葉っぱにしました。
うさぎは乳白色が被せてある淡いグリーンに深く沈め彫りしました。
遠くからだと目立たずにこっそり隠れているようにしました。
写真&文 2010.05 ステンドグラス *あとりえ 悠*
妻の作品にはうさぎがよく出てきます。うさぎが好きなんです。
うさぎシリーズは10まであります。
そのうさぎも孫とは比べものになりません。
菖蒲はまだ咲いてなかったそうですが、妻は負ぶっている孫の重みと温かさをほんのり感じ、
幸せな気分だったことでしょう。この作品は孫への思いから生まれたと思っています。
私は「愛でる」という言葉に、孫を愛してやまない妻を想像してしまいました。
今日二人で孫のところに行き、一緒に庭の草取り剪定をした後、
菖蒲の頃にまた来るね、と言って帰ってきました。
2012.05.04 記