昨年暮れの個展で、七草の小さな灯りをご覧になった方から
「こんな感じで苺のランプがほしいのですが」との
ご依頼をいただきました。
一人暮らしを始められたお嬢さんへのプレゼントだと伺いました。
お嬢さんは小さい時からイチゴが何よりも大好きなのだそうです。
イチゴのモチーフでの製作は初めてです。
七草の灯りだからあの形でしたが、苺の灯りならどんな形があるでしょう。
イチゴの種類や植物学的特徴とか調べたり、スケッチしたり、食べたりしました。
イチゴで頭をいっぱいにする日々が続くうちに、イチゴに魅力を感じて
作品へのイメージも膨らんできました。
思いつくままに、模型を作ったり、デザインを起こしたりしましたが
いろいろイメージが散らばって、お嬢さんの好みがわからず
絞り切れずに悩み始めてしまいました。
それで、とりあえず自分が作ってみたい「苺の灯り」をいくつか作って
それからお気に入りのデザインと形、ガラスを選んでいただこう!
そう思ったらどんどん楽しくなってきて、
私の作りたい「苺の灯り」を三つ作ることにしました。
◇苺の灯り~その1◇
赤い被せガラスに苺をメインにして可愛い感じに作りました。
上の方に少しだけ入れた緑色は美しいアンティークガラスです。
◇苺の灯り~その2◇
初めに見ていただいた七草の灯りの型紙で作ってみました。
レッドonグレーの被せガラスで野イチゴっぽい模様にしました。
少し落ち着いた感じになったため、上下を薄ピンクにしました。
◇苺の灯り~その3◇
形をイチゴ型にしてみました。
レッドonグリーンの被せガラスと裾にはモスグリーンのガラスを合わせて
渋くて大人な苺の灯りの感じになりました。
この三つの灯りを見ていただいて、改めてご依頼を受けるということになりました。
どんなリクエストをしてくださるか楽しみです。
写真&文 2012.04 ステンドグラス*あとりえ 悠*
妻は、彫ってみないと効果や色の出方は分からないと言って
デザインやガラスを変えながら試作を繰り返していました。
没ピースがたくさん出ます。
こういう経過を経て一つの作品が生み出されます。
ようやくご依頼主さんに見ていただけるところまでたどり着きました。
妻もほっとした気分になったようです。
(次回はこの後製作した「苺の灯り」についてお知らせします。)
2012.05.27 記