心に灯るあかり *あとりえ 悠*

*あとりえ 悠*は妻の小さなステンドグラス工房。妻のつくった作品を写真と文章で紹介します。ステンドグラスのよさが伝えられたら幸いです。

No.14 海の四作品より「夏色の海」と「海のパネル」

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ー海の四作品に寄せて-

3月11日の後、
来る日も来る日もTVでは津波の凄まじさと甚大な被害、
見たことのない悲惨な状況が報道されていました。


その時、ちょうど個人邸の大きな海のステンドグラスを製作していましたが、被災地のことや被災された方々のことを思うと、ステンドグラスを創ることに疑問を感じたり、安穏と生活していて何もできない自分に罪悪感を覚えたりして、一時製作を断念しそうになりました。
でも人と自然のあり方や自分の生き方を問い返す中で、祈りや感謝や様々な思いを抱きながら、海のパネル作品を必死に作りあげました。


昔訪れた気仙沼三陸の美しい海を思い浮かべながら、復興に立ち向かう方々と繋がりたいという思いで、海原や貝殻をモチーフにした作品“碧生~あお”と、さらにもう1枚の海のパネルと、海の灯り“夏色の海”を製作しました。
祈りを込めて作りました。


この後も生命を宿す海や美しい自然をテーマにした作品づくりをしていきたい・・・と思うようになりました。

                                              ささやかでも自分ができることを探して震災被害と関わり立ち向かいたいと思います。

 

「夏色の海」

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3月からの海の連作の四作品目です。
クラッケルのあるクリアなアンティークガラスはそのままでもキラキラと煌めき、
見ているだけでも美しいのですが、光りを通すとさらに周りをもキラキラさせて、
まるで海の中にいるような気持ちになります。 

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 「海のパネル」

「沖縄の海を・・・」とのご依頼をいただいて、作ったパネルです。

宮本亜門さんが沖縄の祈りの地に家を建てられたのは有名な話です。
外の風景を掛け軸のように取り込むために設けられた窓から、大きな岩や海が見えるそうです。
その海の絵は季節や天候や時間のよって様々に色や表情を刻々と変えていく海のタペストリ-。

 
そんなステンドグラスがほしいという畏れ多いご依頼に幾度か辞退もしましたが、
「挑戦してみましょうよ。」という建築家さんに何度も励まされながら、作りあげることができました。
朝の海、夕焼け、夜の月、春の凪いだ海、真夏の空…
見る人の見るときの気分で、色々に見えてくれたらうれしく思います。 

 

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エメラルドグリーンの美しい海、キラキラと光る波、青い空、白い雲…
心癒される雄大な景色を想像しながら穏やかな波のラインを描きました。
世界最高峰のフリモント社(米国)の世にも美しい宙吹きアンティークガラスを使わせていただきました。心は様々に揺れながらも、ブルーのガラスに触れていると不思議に落ち着きました。

 写真&文  2011.03&08  ステンドグラス*あとりえ 悠*

 

 

~魅惑のアンティークガラス~ 

 

ガラスそのものがすでに人のつくった芸術と思う時があります。

そういうガラスはいくら見ていても飽きません。

今回の「海のパネル」と「夏色の海」に使われているガラスもそうです。

こういうガラスは伝統あるガラス製造工房の職人によってつくられています。

しかしどんなに素晴らしいガラスにも作者名はありません。

 

そう思っていたら、妻から「このガラスはアメリカのフリモント社のジム・フラナガンさんという サンタさんのようなおじいさんがつくったものよ.」と教えられました。

「そうか。アメリカのサンタさんか。それはいい。」と納得しました。

どうもこういう特別な方もおられるようです。その方のつくられたガラスでした。

※興味のある方は是非参照ください。製作中の動画もあります。

http://merrygoroundglass.com/brand/fremont/index.html

このような素晴らしいガラスが妻の作品作りを支えてくれています。

 

今回「海のパネル」製作のために、妻はこのガラスを購入しました。

その素晴らしさに感激した妻は、かけらも捨てることなく利用して作品をつくりました。

そして4つの作品ができました。それが海の四作品です。 

 

どの作品も美しく感じますが、なぜか少し哀しみを漂わせているように私には思われます。

妻の東北の人々への思いと祈りが分かるから、そう感じるのでしょうか?

私たちは東北の人々への思いと復興への願いはいつまでも持ちづけようと思います。

 

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想像力を掻き立て、見てて飽きません。美しい!なのにどこか哀しい?             「海のパネル」の上の部分です。

 

                                                                 2012.7.22記