街には春が訪れてきましたが、
森はまだ一面真っ白な雪に埋もれています。
澄みきった青空、柔らかな陽射しのもと、
うさぎは元気に雪山を跳ねて回ります。
りすは秋に埋めておいたどんぐりを一生懸命に掘り出しています。
木々や草もちょこっとずつ顔を見せています。
森の春はもうすぐそこまでやってきています。
この年の2月は東京でも雪がたくさん降りました。
雪山で春を待ちきれずに跳び回っている動物たちや
雪解けや芽吹きを待っている植物に思いをはせて作りました。
雪の中の足跡は実物を見たことがないので、
いろいろ調べてデザインを描きました。
明るいブルーonクリアの被せガラスに足跡を深く沈め彫りしてから
ぼかすようにブラストしました。
2面重なるとうさぎが雪山を越えてりすに向かって跳ねている…
そんな風に見えたらうれしいです。
足跡のある面は雪や氷のイメージで作りました。
サイドは8種類のガラスを使って
空の青、木や草の茶や緑、溶けかけた雪や氷を表現しました。
天井は強度を保つために、面を作りました。
円は二段構造にして、アロマのお皿がすっぽりと収まるようにしました。
写真&文(2009) ステンドグラス*あとりえ 悠*
「同窓の仲間」
6月、大学の同期二人が我が家に遊びに来ました。妻も同窓なので4人の話題はつきません。
何年も口にしたことのない学友名もあふれ出ます。まるでミニ同窓会。
Jさんがステンドを気に入られ、「雪うさぎ」を注文されました。
がんばってきた自分へのご褒美だとおっしゃっていました。
何故「雪うさぎ」?
不思議です。
3年前、お嬢さんを亡くされた妻の知人も、これがいいとおっしゃっておつくりしたのが「雪うさぎ」です。
偶然でしょうか、Jさんもまたご主人を5年前に亡くされています。うさぎの足跡、後ろ姿、向こうの先に見えるリスに何を感じるのでしょうか。
Jさんのご主人も同窓で、私も妻もよく知っている方でした。
「本当にいい奴でした」
責任あるポジションに着任したとき、そのお祝いに大学の恩師と彼と私と3人で飲みました。
恩師は「教え子を誇りに思う」と彼を励まされました。その言葉に本当にふさわしい人でした。
聡明さを奥にしまい、人への信頼を示す笑顔が忘れられません。
昨年30年ぶりかという大学の同期会を開きました。それから思い出したように、同期の仲間で連絡を取ったり会ったりする機会が増えました。Jさんともそうです。青春の一コマは忘れやすいが、しっかり人生の中に綴じられているんですね。
先日、Jさん宅に初めて訪ねる約束をしました。
(2013.7.31記)