昨年秋から年明けの間に製作した八ヶ岳のお住まいのためのステンドグラスの2枚目です。
お二階の洗面室に窓がなく、明かり取りのためにスリットの窓を開けました。
そこに葡萄柄のステンドグラスがほしいとのご依頼でした。
ご依頼主様は葡萄が好きな方で、葡萄柄の信楽焼きの洗面鉢をご用意されたとのことでした。
見せていただくととても品の良い美しい信楽でした。
そして、葡萄はたわわに実っているよりも山葡萄のような雰囲気が好き、と言うお話も納得しました。デザインは細長いスペースに合わせ、ガラスカットはできるだけシンプルにしようと思いました。また壁の色とお部屋全体に使われる焦げ茶色の木の色を考えて、洗面鉢と色を反転させて青い被せガラスに白い葡萄と葉を彫ることをご提案しました。
イメージされていたカラフルなステンドと違って驚いたご様子でしたが、洗面鉢との一体感と青は大好きとのことでたいそう喜んでくださいました。
葉とツルは沈め彫りにして、葡萄は沈め彫りでも段彫りでもなく陰影を残すようにぼかしてみました。実際に嵌め込まれたものを見ていませんが、このお写真は完成時に自宅の窓越しで撮影したものより青が映えて美しく、建築家さんの『ここに入れると良い』というご指示に改めて頭が下がりました。
その時の一緒に送っていただいた『八ヶ岳のパネル』も白い壁と焦げ茶色の木枠でガラスの色合いも引き立っていて、とても幸せな気持ちになりました。
※「八ヶ岳のパネル」は本拙ブログNo38http://bit.ly/1f5KWuO とNo39http://bit.ly/1foW8jKでよろしかったらどうぞご覧下さい。
この彫り方で板ガラスでも葡萄が表現できると分かり、「灯りもつくりたい」と思いました。
同じ青い被せ硝子で2面、以前カタクリとホタルブクロを彫った半透明の白被せで2面、他には紫や緑が混じっている美しいウロボロスのガラスで灯りにしました。
隙間の時間を見つけてつくりあげ、夏の終わりに吉祥寺のパレントさんに持っていきました。
作品(2012.12&2013.8)&文(2013.9)ステンドグラス*あとりえ 悠*
「ゆったりと」
~八ヶ岳~
昨年秋、この仕事を受け、妻と八ヶ岳を望む地に行きました。
草を食む牛、遠くに連なる八ヶ岳。
気分ゆったりの一日。
~絵本で~
妻のステンドに「これ、かわいいね」とつぶやく3才の孫。
昨日久しぶりに我が家に一人でお泊り。
寝る前の孫に、妻が買った「だいじょうぶ だいじょうぶ」(いとうひろし作)の絵本を読みました。
困ることや心配なことがいっぱいの僕におじいちゃんはいつも「だいじょうぶ だいじょうぶ。」って。
それは、「大抵の病気やケガはいつか治るってこと」「世の中、そんなに悪いことばかりじゃないってこと」
やがて僕が大きくなって、おじいちゃんの手を握り「おじいちゃん、だいじょうぶだよ」って・・・
と、こんな話。
絵本ですが、結構ひとや人間社会について考えさせられました。
が、心温かくなる話に気分はゆったり。
(2013.9.23記)