心に灯るあかり *あとりえ 悠*

*あとりえ 悠*は妻・一ノ関悠子の小さなステンドグラス工房。妻のつくった作品を写真と文章で紹介します。ステンドグラスのよさが伝えられたら幸いです。

No.66 レンゲショウマ(蓮華升麻)その2

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7年前の夏の終わりに行った御岳山でレンゲショウマを知りました。

その盛りを過ぎ、人気のない静かな森でもひっそりと花は蕾んで咲き続けていました。

うつむいて咲く蝋細工のような美しくも可憐な花に一瞬で虜になりました。

介護による疲労での休職からようやく復帰でき、幸福感に満ちてデスクにも絵はがきを飾って意欲満々9月を迎えました。

 

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が、また心身を壊してしまってその後再び休職し、翌年にやむを得ず退職になりました。

悲しい思い出がよみがえるのでずっとレンゲショウマを見に行くことはありませんでしたが、今年こそはレンゲショウマを作品にしたい・・・と思ってこの夏、夫にお願いして御岳山に連れて行ってもらいました。初めて出会った時よりも感動し、這うようにしてスケッチをし、写真もたくさん撮りました。

その美しい姿を描くのはたいへん難しく、100枚を超える原画を描きました。

蕾の重なり方、ぼんぼりのような花、小さく見えるしべ、まあるい蕾、細長い茎、ぎざぎざの葉。

深い森の緑の中に輝くように浮き上がる花と蕾たち。

花を見るのにかがみ込んで見上げると木々の間に光って見える小さな空。

・・・それらをブラスト彫刻とステンドグラス両方で表現したくて、ピース割りやそれぞれの面の繋がりも考えて何度も何度もデザインを描き直しました。

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この作品のために見つけたガラスは仏・サンゴバン社製のその名も『モーヴ』

レンゲショウマのためにあるような薄く灰色がかった紫色の白被せ半透明のガラスです。

森の中に群生するレンゲショウマを表現するのに使ったガラスは大好きでよく使うウロボロスやブルザイですが、裏返しにしてみたらスポットモトルがレンゲショウマを彷彿させてくれました。

沈め彫りをしたレンゲショウマが壁にシルエットになって映り、奥行きを見せてくれました。

写真&文(2013.10.18) ステンドグラス*あとりえ 悠* 

 

 「硝子彫刻展に搬入しました」 

「レンゲショウマの灯り」は搬入の三日前に仕上がりました。

三日も前なんて、かなりいい方です。

できた、できたと喜んでいましたが、用意していたベースが???

イメージに合わなかったようです。

結局当日、搬入に向かう途中でステンドグラス材料専門店に寄って新しいベースを購入しました。

さらにお店の一角で持参したドライバーを使って必死に電気コードを取り付けました。

 

すごく疲れたでしょう。ホッとしたのでしょう。

妻は帰りの車で、zzz...

 

硝子彫刻展は28日(月)までです。

(2013.10.26記)