妻は個展後、
オーダーを受けた作品を何種類か忙しくつくっていた。
あれっと目をとめた。
天使かあ。
なつかしい。
天使、いいよねえ。
このところだんだんと妻へのご依頼は
灯りやパネル等大きめのものが増えているので
天使のかわいらしさが新鮮に見える。
天使は6年前につくりだして、
4年前の個展にはたくさんつくった。
アンティークやきれいな色のガラスを使い、
全て手作りでつくられた作品の温かさを
多くの人に届けたいと思ってのことだった。
簡単なつくりに見える天使だが、
小さなガラスピースを曲線でつくり、
それに銅箔まいて、ハンダでくっつけ、
更に手にはそれぞれの天使に合うものを持たせるなど
やりにくくて面倒な細かい作業が続く。
知り合いのステンドグラス作家が
私なら絶対つくらないと
強く言っていたのが印象的だった。
この天使に持たせるのは、これ、どう?
妻は聞いてくるが、
私はそのくらいどうでもいいように思うこともあった。
そんな時でも、
妻は一人一人の天使に語りかけるようにして
つくっていた。
いつの間にか
「雪の天使」「空の天使」「野原の天使」
などそれぞれに名前がついていた。
妻のひたすらつくる様子を見ていて
“神は細部に宿る”というのなら
この天使に
神が宿るだろうと思った。
(2015.12.25)