心に灯るあかり *あとりえ 悠*

*あとりえ 悠*は妻・一ノ関悠子の小さなステンドグラス工房。妻のつくった作品を写真と文章で紹介します。ステンドグラスのよさが伝えられたら幸いです。

No194 日本青年館ホールの木の灯り(其の20)~「橅の灯り」完成

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「橅(ぶな)の灯り」は

「とお(10)の木の灯り」制作途中に受けた

日本青年館ホールからの追加注文でした。

「ブナ」を制作できることに妻も私も喜びました。

 

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『ぶなの森は緑のダム』。

わかりやすい文章構成で

ブナの森がいかに私たちに大切であるのか考えさせる

小学校の教科書にのっている説明文です。

子ども達と熱心に取り組んだことを記憶しています。

(退屈だと思っていた子もいたでしょうね。ごめんね)

もう30年も前になります。

 

妻も同様にこの文章を気に入っていました。

どこか遠くに行くと、

ブナのあるところに私たちの足は向きました。

 

白神山地のブナ林を歩いたのは6年前。

白神山地は行こう、行こうと言いながら

なかなか実現しなかったのですが、

私の定年退職後やっと行くことができました。

ブナの木立から時折のぞく真夏の青空,

少し汗ばみながら私たちは歩きました。

行き着いた先の小さな沼の青さ、

ブナ林の中で立って見たりしゃがんで見たり、

その青さが忘れられません。f:id:you3113:20170628232858j:plain

秋田の森吉山は広大なブナ林と季節の草花が多く、

妻のお気に入りの場所です。「花の百名山」のひとつです。

私は山頂まで20分要するゴンドラから望む景色に

大満足です。高所恐怖症であることを忘れます。

2度訪ねましたが、妻はまた行きたいとしきりに言います。

私もこのゴンドラはどうと言うことはないので、

「機会見つけていこうね」と余裕で応えます。

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昨年の5月は妻と鳥海山麓のブナの原生林を巡りました。

地元の森林組合長さんご夫妻のご案内で

ブナとふれあう楽しい散策でした。

奇怪な形状のブナを見ながらたどり着いたのは

山道奥の樹齢300年のブナ「あがりこ大王」。

大王のまわりのたくさんのブナの実生(みしょう)に、

私はその一見の弱々しさに生命の神秘さ、

そして逞しさも感じました。

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 ところで、ブナ巡りで妻は何を見たのでしょうか。

 

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この作品に

妻の見たもの、

見たいものがあるのだと思いました。

(2017.6.28 記)