心に灯るあかり *あとりえ 悠*

*あとりえ 悠*は妻・一ノ関悠子の小さなステンドグラス工房。妻のつくった作品を写真と文章で紹介します。ステンドグラスのよさが伝えられたら幸いです。

No.197 日本青年館ホール「木の灯り」(其の23)~笑顔の色紙 

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 「そこでいいよ」

そうやさしく教えてくれた搬入車整理のおじさんも…

 いつも慌ただしく、

作業員をのみこんでははき出していた現地事務所も…

いつどこに消えたのだろう。

工事期間とは様相を一変させた竣工記念演奏会の7月23日、

妻と二人で日本青年館ホールでの演奏を楽しんだ。

 

会場では鳥海山巡りでお世話になった森林組合長ご夫妻や、

今までお世話になった方々にお会いできた。

一緒にお仕事をさせて頂いた書道家の佐藤佳奈さんとも

お会いできた。

 

楽屋名の「欅」や「桜」等の室名板は

佐藤佳奈さんの書を妻がガラス板に彫刻した。

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各部屋ごとに、

使用木材と室名書と木の灯りがセットの設計になっている。

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佳奈さんは部屋の中用にも部屋名の書も書かれた。

素晴らしい作品で廊下に展示されている。

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佳奈さんは毛筆デザイナーと紹介されることも多い。

私にはこのほうがぴったりくる。

佳奈さんはご自分のラジオ番組をお持ちで、

漢数字の三の書き方についての放送を

たまたま聞いた。

佳奈さんの言葉を通して、

私の頭の中で字のイメージがどんどんふくらんでいった。

書はイマジネーションなのだと知らされた。

止めやはねなどの細部にこだわるあまり、

字を楽しめなくなった今の私たちに、

もっと楽しめるということを教えてくれているようだ。

ジャンルにこだわらずに挑戦する佳奈さんの

活動の根源をのぞいたような気もした。

 

佳奈さんはたまたま私の郷里のとなりの集落ご出身で、

東京ふるさと会でご一緒した。

その際に妻は、名前を入れた色紙を書いてもらったが、

これが何度見てもいい。

実にいい。

妻が笑っている。

笑顔の妻だ。

人は生きているといろいろあるが、

笑顔が一番という色紙だ。

いつも見えるところにおいて

いい色紙を頂いたと

二人で感謝している。

(2017.7.31 記)