心に灯るあかり *あとりえ 悠*

*あとりえ 悠*は妻・一ノ関悠子の小さなステンドグラス工房。妻のつくった作品を写真と文章で紹介します。ステンドグラスのよさが伝えられたら幸いです。

No.201 北斎富嶽三十六景の「神奈川沖浪裏」

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「あのう…これでしょうか…」

今までにはないご依頼内容で…

私も本当に驚きました。

妻への作品制作依頼は北斎富嶽三十六景の「神奈川沖浪裏」

ご主人の大好きな絵だそうです。

 

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新居は年明けに完成していたのに

こちらの都合で伺ったのは夏になってしまいました。

ご依頼主の新居は木の香りにあふれた和風のおうち。

和室には見た事もない程手の込んだ欄間。

天井には職人さんへの特注の組子細工の灯り。

その職人さんが作った下駄箱には

妻の作る作品のためだけの位置特注のコンセント。

浮世絵のご依頼がなるほどと思える訪問でした。

 

長く人々に親しまれてきた著名な浮世絵を、

妻はガラスの良さを生かしながら

できる限り忠実に表現することに苦心していました。

幾重にも重なる波濤の細かいライン、海原の色具合、

トレースと試作を重ねながらの作品作りでした。

苦労しながらも、北斎の作品はすごい、すごいと

しきりに言っていました。

作品のすばらしさを自分の手で味わっているようでした。

思いもよらない作品のご依頼でしたが、

学ぶことの多い刺激的な作品作りとなったようです。

 

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完成に至ることができたのは、

ご依頼主のご協力ご支援のお陰でもあります。

打合せのご相談や木枠及び家紋等々の情報も

仕事がしやすいようにご協力、ご提供くださいました。

特に今回ご依頼主の用意された特注の木枠は、

作った職人さんに今後こちらもお世話になりたい程でした。

 

またご家族にちなんだモチーフを4隅に入れました。

こういう相談の時が私は好きです。

みんな、笑顔になるからです。

また家に大事に残っていくように家紋も入れました。

 

 

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 ※木枠は古松材を使用して建具屋さんが制作しました。

ステンドグラスで作ったものを

本当に気に入っていただけるだろうか…

お届けして、

喜んでもらえたと妻はホッとしていました。

 

また、カメラに詳しいご主人には、

私が直接いろいろ教わることができ、

お宅訪問はうれしい機会となりました。

今回掲載の写真4枚中3枚は

ご本人の了解を得て使用させていただきました。

ありがとうございました。

(2017.9.24 記)