心に灯るあかり *あとりえ 悠*

*あとりえ 悠*は妻・一ノ関悠子の小さなステンドグラス工房。妻のつくった作品を写真と文章で紹介します。ステンドグラスのよさが伝えられたら幸いです。

No.237 雪牡丹の灯り

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中国は唐の時代。

則天武后が遊園の際、

全ての花に、“花を咲かせよ”と命じました。

みな命じられるままに花を咲かせました。

ただ牡丹だけが従いませんでした。

牡丹は女帝の怒りにふれ、

長安から追い出されました。

しかし、人々は、猛威にもめげない花と牡丹をたたえ、

一層その風格と人情のあつさと天下一の美を愛しました。

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サンゴバン社のアンティーク硝子に彫った雪牡丹

牡丹に感じる品格は、

遠い昔、唐の人も感じていたのでしょうね。

そして、愛してきたのでしょう。

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組み合わせる前のピース

雪牡丹は

妻の命名した作品名。

雰囲気の伝わる名前です。

 

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この硝子に彫った雪牡丹、やっぱり素敵ですね。

同じものができないとなると、

余計にそう思うのでしょうか。

今回雪牡丹を彫った硝子は、すでに廃番になっています。

もう手に入らない稀少硝子で、

妻は大事に保管してきたものを今回使いました。。

この高価な手作りアンティーク硝子、

制作したサンゴバン社(フランス)に100枚などと

大口発注をかけたら生産してくれるのでしょうか。

まあ、それも一個人作家の範囲を超えた話ですが…

手に入らない硝子なので全く同じものは作れませんが、

唐の牡丹のように猛威にめげずに、

いつかどうにかなることを信じ続けたいものです。

 

(2019.2.10 記)