震災の時、ちょうど海のパネル作品を製作していました。
祈りや感謝や様々な思いが交錯し、海の作品を続けてつくっていこうと思いました。
この『碧生~あお』で描きたかった海は二つあります。
一つはかつて訪れた時に見た美しい三陸の海。甦ってほしい景色です。
もう一つは海に抱く『生命の源』というイメージです。
生命を誕生させ、再生させるという願いを込めた海のイメージです。
海の底に静かに生きているもの=貝を連想しました。
貝殻をモチーフにしたくて、貝殻を調べ始めました。
ウミウサギという名前の貝があることを知り、たいへん驚きました。
信じられないような美しい姿をした貝はホネ貝(アクキ貝)という名前でした。
名称や姿に惹かれた貝殻標本を集めたら、どれも魅力的でした。
一生懸命にスケッチ&デザインしてブルーonブルーの被せガラスに彫ってみました。
丸みや窪みを表せるように、沈め彫りの他に逆レリーフを試みました。
想像以上に美しい貝が表現できました。
前作『海のパネル』二作で使用したフリモントを中心とした美しい海色のガラスで海を作り、サイドにはきらきらと光る波のようなガラスを入れました。
ボーダーには珊瑚礁や雲や波をイメージした白系のガラスを組みました。
左面上からホネ貝・ウミウサギ・リュウキュウアオイ貝、海の面の底にはウミウサギ、右面上からヨーロッパホタテ貝・チマキボラ貝・カジトリグルマ貝
被せガラスブルーonブルーはフランス・サンゴバン社製、グレーがかったグリーンはフリモント社製の手作りアンティークフラッシュドガラス、その他はフリモント・ウロボロス・ヤカゲニー社などステンドグラス用板ガラス
パネル縦36cm横48cm
2011年9月第5回硝子彫刻展出展作品
写真&文 2011.08 ステンドグラス *あとりえ 悠*
先ずはお詫び申し上げます。
前回No14の私のコメントに3行追加させていただきました。
妻には
「ごめんね。お母さんの文章の良さを消しちゃってた。
作品への祈りを無視しちゃったね。」と謝りました。
妻は「いいの。」と言ってくれました・・・
ところが、夕飯後に「話したいんだけど、実はね。」と話し始めました。
妻がステンドをつくることの葛藤に押しつぶされそうになった大震災後の日々、
その苦しさの中から“私はステンドをつくる”という決断を自らしてつくった最初の作品だということを伝えてくれました。
その頃、私はほとんど家に帰っていなかったので、妻のそんな様子や気持ちをよく理解できていません。
「そうか。そうだったのか」と今更ながらの納得ですが、妻はなんかホッとしたように見えました。
妻の気持ちが分かって
「ブログをやってて良かったね。」と言ったら
妻も「良かったね」と言いました。
2012.07.26
追伸
縁あって明日、福島に行きます。
そこで生きていらっしゃる方々に触れ、かつて、
『船寄せて 涼しき浪に 月をなほ まつぬの浜の 松の下風』
と、和歌に詠まれた海を見ることでしょう。
感じたことを素直に受け止めとめられるよう心静かに、
妻と行ってまいります。