妻の大好きなウィリアム・モリス。
ようやく2作品目ができました。
最初の作品をつくったとき、
「もう一つつくりたい」と言っていて・・・
もう4年が経っていました。
4年越しの作品への妻の思いを少し紹介します。
もとになっているモリスのデザインがあまりに完璧なためにモチーフを切り取ることは至難の業でした。描かれているラインを繋げながら雰囲気を壊さないように努めました。また存在感のある白いチューリップの花びらはそのひらひら感を出すために丁寧なガラスカットを心がけ、花びらのしわは細くラインカットしてブラスト彫刻で仕上げました。 ガラスは、すべてアンティークガラスを使いました。以前の作品で使った残りのフィッシャーとランバーツ(どちらもドイツ製)はもう手に入らないビンテージガラスのため、色やラインのつながりを見て型紙を回しながら大切に切り出しました。厚さも2mm~6mmの幅があり、高さを調節しながらはんだをつけました。
光が透過したときに映るラインのような陰影はアンティークガラス特有で「職人の指紋」と呼ばれています。職人の手加減でガラスの表情が変わるためらしいですが、たいへん素敵な呼び方です。特に今はないドイツのフィシャー社のアンティークガラスのシワは殊更に美しいと感じます。
モチーフのステンドができあがってから1週間も縁のガラスの色を悩みました。グリーン?アンバー?淡いパープルがいいかな?そうだ!赤系がいいかも。。。蔵出しのお宝ガラス、これもフィッシャーを合わせました。 |
私もでき上がりを楽しみにしていましたが、
私のいない時に完成。
即、妻は写真を撮りたくなったのでしょう。
後で見せてくれましたが、
やっぱりつくった者が撮った写真はいいなあと思いました。
~モリスのカップで珈琲を飲んで~
先日、我が家に作品を見に来られた若い方が、
美術館で見るモリスよりも、
こうやってモリスのカップで珈琲を飲みながらのほうが
いっそうそのよさが感じられるとおっしゃっていました。
暮らしの中で使うからしみじみ感じられるもの、
それがモリスでしょうとの言葉に、はっとしました。
教えられました。そうですね。
そうそう、偉大な陶芸家が、
「いい器ができましたね」と言われ、
「孫に、毎日ご飯を食べるときに使わせたい」と言ったとのこと。
孫は周りが数百万円の値付けをするお茶碗を毎日持たされるのは
たまらんと思うかもしれませんが、
この陶芸家の思いは、
人間がものをつくる根源のように思えるのです。
妻にはそんな思いを大事にしてステンドグラスを
これからもつくり続けていけるように・・・
静かに願ってます。
(2014.8.17 記)