心に灯るあかり *あとりえ 悠*

*あとりえ 悠*は妻・一ノ関悠子の小さなステンドグラス工房。妻のつくった作品を写真と文章で紹介します。ステンドグラスのよさが伝えられたら幸いです。

No 97 海の作品『碧生~あお』から『サギソウ』へ

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(2011年)

買い物に行けず、電気も点けず、

自宅で一人ひっそりとしていたという妻。

ステンドグラスをつくって何になるの?

あの年の3月、あの東日本大震災

妻は震災の時の様子や思いを

私が退職してからようやく話しました。

 

いたるところが震災の衝撃に被われ、

私も仕事先に寝泊まりしていた頃です。

そんな頃を経てつくりだされた妻の作品です。

深く青い海と静かに生き続ける貝に、

声をかけるなら

よくここまでがんばったね。

ステンドグラスに再び取り組んだ妻への言葉と

重なります。 

 

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 (2011年)

 

この作品ができてしばらくして、

ある時、サギソウを知りました。

私は、おー、これは、と思いました。

「碧生~あお」のホネ貝のあのリズムが

サギソウの羽にも感じられます。

背景には海のあおのような、

やっぱり深い青空が似合います。

 

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サギソウの写真の横に

お姫様に仕えた鷺(サギ)が「サギソウ」になったという

「常盤姫伝説」が記されていました。

サギソウ」の形は死した鷺の飛び立ちたい思いなのです。

以来妻が「サギソウ」の作品をつくらないのかなあと思ってきました。

 

妻に話したら、

妻はもっと前から、

箱根の湿性花園で二人で行って見た時から

つくりたいと思っていたとのこと。

私がサギソウを見て思った、ずいぶん前のことです。

 

よし、それなら、開花のこの時期、サギソウを見に行こう、と

常盤姫伝説にまつわる世田谷九品仏の浄真寺に行きました。

8月3日はつぼみもありませんでした。

8月20日はやっとつぼみがポツリポツリ。

 

どうせなら、もっと自然の中で見られるところがいい!と

8月23日、立川の昭和記念公園に二人で行きました。

花はちょうど見ごろでした!

見事に咲いているサギソウが見られて妻は大喜びでした。

喜びのあまり、足元の段差に気づかず・・・左足首捻挫。

しかも、公園に着いてすぐでした。

痛みもあって、

可哀そうに、

妻は少しおとなしく、

車椅子で広い園内をまわりました。

 

それでも、湿地のサギソウの群生に、

妻は作品イメージが湧くと喜んでいました。

  

 

その後、十日経ちましたが

なかなか痛みがとれないようです。

 早く良くなるといいのですが・・・

 

※本作品に関係した本拙ブログをよろしかったらご覧ください。 

http://bit.ly/VWRpjd

(2014.8.30 記)