遊びに行ったおばあちゃんちの町の夏祭り
我が家の子どもも金魚すくいに夢中になったっけ
どこにでもよくある夏だった
子どもが夢中ですくった金魚は
持ち帰って金魚鉢の中で泳いでた
あのちいさい金魚も
あのひらひらのついた金魚鉢も
どこにいったんだろう
遠い昔のひとこまは
心の中にしまい続けていることも
あるんだね
私は
あと 何を
しまいつづけているのだろう
妻と金魚の詩歌を話題にしたら
妻は、これっ!
確かに。
「金魚の昼寝」(作詞:鹿島鳴秋)
赤いべべ着た
かわいい金魚
おめめをさませば
ごちそうするぞ
赤い金魚は
あぶくを一つ
昼寝 うとうと
夢からさめた
このアンティーク硝子、壁にはこんな影
詩人 八木重吉の娘桃子のこのつぶやき。
父と娘の至福のひとときか。
いや、父にとってのと言うべきだろうなあ。
「金魚」(詩 八木重吉)
桃子は
金魚のことを
「ちん とん」という
ほんものの金魚より
もっと金魚らしく
学生結婚した親友に娘が生まれた時
私は「名前は?」と聞いた。
彼は「ももこ」と答え、
「八木重吉の娘と同じ名だよ」と
照れながらも嬉しそうだった。
私には今は亡き親友を思い出させる詩に
なってしまった。
ベースの足下の影。アンティーク硝子のすごさ。
思い出や想像の
静かにわいてくる
ひらひらのついた
「金魚鉢の灯り」
(2019.8.8 記)