心に灯るあかり *あとりえ 悠*

*あとりえ 悠*は妻・一ノ関悠子の小さなステンドグラス工房。妻のつくった作品を写真と文章で紹介します。ステンドグラスのよさが伝えられたら幸いです。

No.304 世田谷大蔵プロジェクト~その1「雨鱒のパネル」

「この魚は…?」

と言うと、

原画を描いた村上さんが、

「雨鱒…中西さんが好きだった…」

 

その言葉に

私は突然十余年前を思い出しました。

かつて私が勤務する地域で、

中西さんにいつもいろいろとお世話になったこと。

中西さんがみんなを支えてくれたこと。

 

そして、その中西さんが3年前急逝したこと。

 

パネルの雨鱒に

今もまた中西さんが

見守ってくれている

そう思いながら

私は納得しました。

 

パネル制作の妻に

お世話になった中西さんの話をしました。

妻はパネルへの意欲をさらに高めたようです。

 

 

妻は世田谷大蔵プロジェクト主催の安藤さんに

ステンドグラス制作のご依頼を受けました。

今回の「雨鱒のパネル」はプロジェクトの1作目になります。

なおこのプロジェクトの内容も、

かかわる方々の実績も刺激的なものです。

妻のステンド制作の報告と共にふれていきます。

 

マザーハウス上棟式(2月26日)

 

抜けるような青空でした。

プロジェクト最初の建物がこの「マザーハウス」。

今回の「雨鱒」のパネルを設置する建物になります。

ここの住人となる村上さんが、

ご挨拶の後餅まきをしました。

 

参加された地域の方々や関係者の皆さんとともに

こうして一つひとつ進むことの実感を得て、

さらに期待と楽しみがふくらみました。

 

このプロジェクトの内容を詳しく知りたい場合は

下記を参照ください。

「三年鳴かず飛ばず@世田谷大蔵 プロジェクト」

https://bioform.jp/project/3nennakazutobazu

ビオフォルム環境デザイン室

 

(2023.3.19 記)

 

No.303 寄せ木細工のキャンドルホルダー

 

妻はご依頼くださった方と相談して、

寄せ木細工をイメージした作品を作りました。

寄木細工を作られる方への贈り物とのことです。

 

妻が細かなガラスピースをたくさん作り、

ご依頼者にそのピースを自由にならべていただきました。

寄木細工の手法にガラスのやさしさが溶けたように

見えます。

 

なお、ご依頼者は絵を描かれる方です。

私は…と謙遜されていましたが、

雰囲気のあるとても素敵な絵を描かれます。

作品を見せていただいて、

わらべ歌の世界を覗いたような気分になりました。

 

 

「日本のこもりうた わらべうた」(全国わらべうたの会) より 

 

(2023.2.28 記)

No.302 「心に染みる口笛」のランプ

生まれて初めて口笛サークルのコンサートに

妻と行った。

着席時すでにお客様でうまっていて、

二百名程が静かに開演を待った。

 

音色が心に染みてくる。

聴きながら、

私も子どもの頃は

口笛をよく吹いたなあ。

そんなことを思い出した。

演奏者7名の口笛が

こんなに心に響いてくるとは。

驚きだった。

口笛っていいものだと

しみじみ思った。

この口笛サークルの皆さんから

ご指導される先生の還暦のお祝いにと

妻は作品をご依頼された。

 

ランプに彫られた鳥のくちばしを見て欲しい。

鳥が口笛を吹いている。

 

この図案、

聞くところによると、

口笛の世界大会参加賞の図案に由来しているらしい。

道理で鳥が口笛を吹いているわけだ。

写真下は、組立前のランプのピース。

 

このランプの誕生は、

妻と二人の生活の中に

軽やかな口笛の音を響かせてくれたようだ。

 

 

サークルの皆さん

有り難うございました。

益々のご発展をお祈りしています。

また、ご指導の先生のご健康と益々のご活躍を

お祈り申し上げます。

 

(2023.2.25 記)

No.301 「今年一年の感謝」&「2023カレンダー」

年の瀬に

みな様のお顔を思い浮かべると

感謝の気持ちでいっぱいになります。

 

作品をご依頼、またはお求めくださいました方々に

心より感謝申し上げます。

 

日本青年館ホール「木の灯り」バックヤードツアー、

隠れ家カフェ「ローズ亭」の作品展、

また我が家に来られたみな様、

ありがとうございました。

みな様にお越しいただいた事が

妻と私の「これからも!」のエネルギーです。

 

また今年は

ステンドグラスを我が家に学びに来られる方々が増え、

大変ありがたく思っています。

散らかっている我が家からの脱却だけでなく、

妻は皆さんとの時間が本当に楽しそうです。

作業をしながらのおしゃべりと大きな笑い声に

ステンドグラスをやっていて良かったとつくづく思います。

私も勝手に珈琲を淹れてお出ししたり、

ラーメンを作ってお出ししたり、

来られる方々とのお付き合いにより

元気でいることの喜びを実感しています。

 

この一年

「あとりえ 悠」に関わりくださいましたみな様に

心より感謝申し上げます。

 

みな様、

どうぞ良い年をお迎え下さい。

 

 

2023年カレンダー

 

「あとりえ 悠」オリジナル作品のカレンダーを毎年製作しています。

1月から順にご紹介します。

 

(2022年12月31日 記)

 

No.300 聖夜「かしのきのツリー」~子ども心の平和

子どものために作った「かしのきのツリー」に寄りそうオコジョの親子

 

~とおいむかしの話~    

 

       「子ども心の平和」

 あれは私が小学校2年の時、テレビもまだない遠い昔の事です。私が生まれた村は戸数18戸の小さな村。村の子ども達は皆一緒にチャンバラごっこなどしていつも遊んでいました。あるときガキ大将が「町に行くぞっ!」とみんなを連れて行きました。そして下級生に命じて漁師の生けすの鯉を盗み、ガキ大将が釣った事にして村に帰りました。何度か続くうち、私も命じられ、いやと言えず盗みました。

 ある日、寝ようとした枕元に母がいました。「村で子ども達が鯉を盗ってるという噂だけど、シゲオ、おめえだば盗ってねえべ…」静かに、それだけ言って母は部屋を出て行きました。その小さな後ろ姿が焼き付いて、私はただただ泣きました。布団を被って泣きました。

 何日かして、ガキ大将がまた言いました。「町に行くぞ!」とっさに「おら、行がねっ。」そうしたら、ガキ大将にけしかけられた仲間に蹴られ、殴られました。村で遊べる子どももいなくなりました。不思議なことに、もう母を悲しませずにすむという穏やかな気持ちになりました。子ども心で感じた平和でした。

 その平和を導いたのは枕元のあの母の一言です。やがて、私も子どもを育て、孫の成長を見るようになって、あの時の母の言葉は親の祈りだと思うようになりました。

 

 

~聖夜「かしのきのツリー」~           

妻が早朝アシスタント勤務した保育園の子どものために作った「かしのきのツリー」。妻は忙しくなり、お世話になったこの園を辞めることになりましたが、子ども達に気持ちを届けるつもりで作ったそうです。

それから6年、今は私がこの保育園の早朝鍵開け勤務です。

(先の文章は保育園職員が「平和」のテーマで求められて書いた拙文です。)

 

(2022.12.23 記)  

No.299 紫陽花のステンドグラス~ダンスパーティー

6月にご依頼を受けた紫陽花のパネルが完成し、

ようやくご依頼主様にお届けいたしました。

新築邸へのご入居は年内の予定なのでそろそろパネルが窓に入ります。

 

朝日の差し込む頃、

部屋に灯りのともる頃、

紫陽花の花びらの表情はどんなでしょうね。

末永くお楽しみいただければ嬉しいです。

 

妻はご依頼主様に「紫陽花のステンドグラス~ダンスパーティー」の作品制作過程をまとめてお渡しいたしました。その内容です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


(2022.12.13  記)

No.298 ありがとうございました。ローズ亭の作品展終えて。

8

作品展の日に狙い定めたような一日中の雨

お客様の傘から飛ぶ大粒の雨しずく

「こんな日にありがとうございます」

感謝の気持ちでいっぱいになりました

雨にもかかわらず

会場は常に大勢の方々

ゆっくりご覧いただけましたでしょうか

お楽しみいただけましたでしょうか

「雨の日のステンドグラスも良いわね」

そんな声がいくつか寄せられたのは

江戸時代からの長屋門の中

ステンドの灯りの先に

雨しずくの窓ガラスとお庭のせいでしょうか

雨もいいね

なんて嬉しいですねえ

 

数多く求められたキャンドルホルダーの中でも

真っ先に嫁いでいったうさぎさんです。

 

この日来られた方からのお手紙です。

 

作品展すてきでした

子どもの頃

おもちゃ屋さんに

行ったときのような

幸せな気持ちになります

 

 

妻と私は

作品展でいつもお客様に励まされます。

年齢を重ねていく中で

今までと同じように動けない事も

互いに感じながら…

またやりたいね、と。

 

(2022.11.28 記)