心に灯るあかり *あとりえ 悠*

*あとりえ 悠*は妻・一ノ関悠子の小さなステンドグラス工房。妻のつくった作品を写真と文章で紹介します。ステンドグラスのよさが伝えられたら幸いです。

No.328  中学時代、今も胸の中~恩師に捧ぐ~

左側は妻の卒業した中学校の校舎

 

横浜山手の丘に建つ校舎の教室の窓から

海と船の見えた妻の中学校

その卒業から

50余年

 

この春

妻の中学校の同期会が開かれた

同期会主催幹事会の計らいで

当時の担任ご招待の席上

妻のステンドグラスの灯りが贈られることとなった

 

光栄なことである

 

作ることが決まり

妻はさっそく恩師のご夫妻に連絡をとっていた

恩師からは秋のうさぎを(干支が卯年とのこと)

同じ中学校で家庭科担当でいらした奥様からは

鷺草とのモチーフのご要望を頂いた

  

 

 

妻にとって恩師は特別な存在のよう

 

妻の教員免許取得のための中学校の教育実習は

実習先に赴任中の恩師が指導教官

妻は自分の中学校時代を思い出し

恩師の言葉を思い出しながらの

教育実習だったろう

 

10数年前

妻が誇らしげに

恩師が出版された本を見せてくれた

教育への造詣の深さとその思いに

私は唸った

 

 

江ノ電も登場(なんでも妻の生まれ年頃に登場した300系とか)

恩師が地元誌に掲載してきた「ふるさと片瀬」に

添えた奥様のイラストも人気で

妻はその中から

「江の島」「江の島神社の鳥居」「枝垂れ梅の常立寺」を選んで

この面に刻んだ

そして「江ノ電」も

 

お贈りする方への思いに寄り添って

素直に作品を作り上げるところが

妻らしい

 

 


同期会を終えて10日ほどして

この時の参加者からの贈り物が妻に届いた

開けたらブリキの江ノ電

何十年も大事にしていたものに違いない

 

この同期会の集まりを期に

江ノ電がまた走り始めたかのようだ

 

恩師を囲んでの同期会

さぞ素敵だったに違いない

 

(2023.6.30 記)

No.327 たんぽぽの灯りⅡ  ~わた毛舞う頃に~

「たんぽぽの灯り」 制作2024年4月

この作品のわた毛

どうしてこんなに生き生きしていているのでしょうか

 

 

~わた毛舞う頃に~

 

風に誘われるように空に飛び立つたんぽぽのわた毛

見ていると思い出すのです

私の見た50年前の光景

忘れられないのです

 

上京した私が大学受験勉強資金作りに始めたのは汲み取り屋の助手。バキュームカーがいっぱいになるとその後の助手は忙しい。運転手が車を処理場に走らせてタンクを空にする間に、助手は走り回って次のエリアの住宅一軒一軒の便壺の蓋をとってかき混ぜます。

※1970年代当時の下水道普及率は50%。多くのバキュームカーが街の中を走って糞尿の回収をしていました。



春の昼近く

汲みとり会社の道路向かいに

真新しいランドセルの一人の女の子

道路の横断の機会をうかがっているのが見えました

車は途切れているのになかなか渡ろうとしません

私には分かりました

避けているのは車ではなく、人の目なのです

バキュームカー3台が

いつも駐車しているする我が家に入るのに

女の子には決断がつかないのです

 

私は初めて、人が人を見るときの目には言葉以上のものを伝えていることを知りました。通りすがりにちらっと作業をしている私を見る目に、とげのように私の心に刺さるものを感じる時があるのです。[世の中って」「人って」…「こうなんだあ!」汲み取り屋になって知ったことでした。

 

たんぽぽのわた毛が

風に乗ってさっそうと飛ぶようになった頃

女の子は立ち止まらず

自分の家に入るようになっていました



それ以来

春になると

あの女の子は

元気にしているのだろうか

思い出しては

元気にしていることを

願わずにいられないようになりました。

 

幾度となく思い出し

もう50年になりました

 

 

そして

今は分かるのです

 

周りを気にして家に入れなかった女の子の姿は

あの時の私自身だったのです

 

そして

あのとき

被害者意識を感じた私の心にこそ

人を見かけで判断する自分がいたのです

 

(2024.5.27 記)

No.326  たんぽぽの灯り

「たんぽぽの灯り」 制作2024年4月 

妻が「私はまだ素人みたいなもの」と言っていたころから

妻を応援してきてくださった方からのご依頼の作品です。

今まで何度も妻の作品をお求めくださいました。

 

この度は「たんぽぽ」とのご指名で、

妻の制作にもとりわけ熱が入りました。

今までキク科・タンポポのステンドグラス・硝子彫刻は

難易度が高いと作っていませんでしたが、

ご指名のお陰でチャレンジ。

 

ご依頼者様撮影

妻の初めての「たんぽぽ」作品。

いい感じに仕上がりました。

 

私は特に綿毛が気に入りました。

 

【2024.5.23 記)

 

N0.325 ローズ亭庭園の「オカリナコンサート」

 

シューベルト先生は

 この場所で「野ばら」が演奏されることを

 とても喜ばれています”

TV話題の番組マエストロ西島さんなら

ローズ亭庭園できっとこうおっしゃっるにちがいない

 

ローズ亭のお庭はみどりさんが世話しているバラでいっぱいです

青空広がる春の穏やかな昼下がりのローズ亭庭園

四方に枝を広げた八重桜の下

シューベルトの「野ばら」を

オカリナ奏者10名が奏でました

 

時折 大空で 

かすかに響くウグイスの声もまた

心地良く地上に降り注ぎます

 

外から望むこの長屋門は江戸時代のまま。黒々とした太い柱の下でお庭を見ながらみどりさんの淹れた珈琲を飲むことができます。満席状態が多く、ぜひとも入店したいという方は要予約!

 

演奏10曲と会場の皆さんとの合唱伴奏2曲は

聴く人々の心に

幸せな気分を奏でてくれました

「オカリナと愉快な仲間たち」のみな様

素敵な時間を

ありがとうございました

 

 

そして

この機会を与えてくださった

ローズ亭のみどりさんにも感謝です

みどりさんが

ここにローズ亭を開いてくれたから

オカリナの仲間の皆さんに「どうぞ!」と

おっしゃってくださったから

この日のコンサートがあったのでしょうね

みどりさん、ありがとうございました

 

こんな素敵なコンサートにふれ

私も大学のグリー仲間を誘って

この庭園で男声のハーモニーを響かせてみたいと

ふと思ってしまいました

 

先のマエストロ西島さんも

卒業までの在籍はないが

同じ大学のグリー部員だったと

我々OB内での話です

 

※こんな楽しいひとときを味わいながら、

 帰りがけ私は数年前のコロナ時を思い出しました。

 ローズ亭も一時閉店の時期です。

 この時期、バラ園に人が集まるのがいけないと、

 バラのつぼみすべてを摘んだ報道もありました。

 そんな時に、妻は下の薔薇の作品を作りました。

 バラの好きな妻の執念を感じさせる作品です。

その拙ブログです。

No.267 薔薇~一輪の生命 - 心に灯るあかり *あとりえ 悠* (hatenablog.jp) 

 

(2024.4.30 記)

No.324 春爛漫 動き始めたんだね

出窓からのサクラ

春よ 春よ

春を告げます

 

新しい日が

動き出しているよ

 

妻のお教室

次々新しいお顔が増えました

 

こんにちは!

もう一人立ちのお弟子さんも我が家を訪れ

ご自身の新しい作品制作を妻と夢中で相談

笑い声が響き

何やら楽しそうに過ごしていました

この2月の第8回作品展に展示された教室のお弟子さん8名の作品です。
2,3年でご自分の作りたい作品をデザインから起こして自分で作れるようになります。

 

先日は

ご家族そろっての体験教室

 

みな様

硝子をいじるのは初めての体験

それぞれの思い込められたミラー完成

 

その時参加の小学生のお子さんが

妻の教室に通うことになりました

 

「あとりえ 悠」を主宰する妻の周り

いろいろな方々が集まり

忙しくなりました

 

ある日の静かな昼下がり

リビングでご注文作品制作の妻

作業の手を休めず言います

「私たち いつも忙しいね」

聞いて私も

「そう だね」

二人して

「ありがたいね」

 

 

「あとりえ 悠」のマネージャー兼運転手の私

あまりそれらしいことはしていませんが

教室のお弟子さんにふさわしい作品発表の場

新たにつくりたいなあ…

それに

4年間あたためてきた妻の作品の「貸出し」

そろそろ始めないとなあ…

 

そんな春

「あとりえ 悠」は

みな様と一緒に

日常生活の中で

ステンドグラスを楽しめる場と機会を

さらに生み出していきたいと思っています。

(2024.4.20 記)

 

No.323 第8回作品展プレゼント「当選された方のお便り」

作品展会場受付横の「感謝のプレゼント」紹介コーナー

当選者のK.Kさんには抽選の行われたその日に

連絡を差し上げました。

 

その夜に当選したK.Kさんから連絡が入りました。

 

当選のご連絡をありがとうございます!

心癒される素敵な作品と思っていたので嬉しいです。

 

そしてせっかくなので手渡しでお願いできれば…

 

 

妻とも「その方が良いね」。

作品展が終わった3月3日

コートギャラリーロビーにて

K.Kさんに直接手渡しをしました。

 

さわやかな若者でした。

手渡した翌日、

写真も添付されたメールをいただきました。

 

K.Kです。

昨日はありがとうございました。

とても暖かく接していただきまして、

嬉しかったです。 

帰ってから、

家の中でライトをつけて作品を楽しみました。

(撮影K.K様)

赤と黒に光っているのが素敵ですね!

周囲のガラスの光も相まって、

本当の金魚が透明感あふれる鉢の中を

泳いでいるように見えて、

楽しく鑑賞させていただきました。

 

枕元のインテリアとして、

大切に使わせていただきます。 

 

この度は貴重なご縁をありがとうございました。 

 

ぜひ、今度多摩市のアトリエにも伺いたいと思います。

次回の一ノ関様の展示を楽しみにしております!

(3月4日受信のメール)

 

翌日5日にお返事のメールを送りました。

 

K.K 様

 

作品を大切にしてくださって

ありがとうございます。

妻の作品が求められて我が家を出ていく時、

私はいつも思うのです。

きっと大事にしてくれるお家だからね。

幸せにって。

  

金魚の灯り、喜んでいますね。

嬉しいです。

 

もう少し温かくなりましたら、

我が家にもどうぞお越しください。

 

そのメールから二日後にいただいたK.Kさんのメールです。

 

一ノ関様 

一生の宝物になりそうです。

末永く、大切にいたします。

 

また、多摩のアトリエでお会いできるのを、

楽しみにしております。

今朝、青空をバックにした金魚の写真を撮りました

(撮影K.K様)

 

今度の作品展にあたり、

ステンドを作る妻が本当に大勢の方々のお陰で

これまで活動してこられたことに感謝したい、

そう思って行った「感謝のプレゼント」。

今K.Kさんとのやり取りを終えて、

この「感謝のプレゼント」をやって

本当に良かった!

皆さまも、ありがとうございます。

K.Kさんも、ありがとうございます。

 

(2024.3.24 記)

No.322 第8回作品展 「みな様、ありがとうございました」

(大島氏撮影)

会場は

初日オープンから

最終日の終了まで

ご来場の方々で

いつもにぎやかな作品展と

なりました。

 


皆様に

心より感謝申し上げます。

ありがとうございました。

 

妻が言う作品展の大変さを

私は今回初めて知ったように思いました。

今まで私は日中勤務外出を良いことに

よく知らないままでした。

(大島氏撮影)

例えば、ご案内発送一つにしても

ご芳名帳をもとに700名?!

そんなにいるの?

700枚も1枚1枚切手はるの?

一言も添えたいの?

ご案内状一つでも面倒なことこの上なし!

 

梱包も妻一人の仕事。

作品一つ一つクッション材で巻いて

2,3作品セットで収める。

そのほかに展示物や受付周り、クロス等など。

それで段ボール箱は56個。

これらはずっとしゃがんでひたすらの梱包作業。

私も少しやってみたが、

たまらん!

疲れることばかり!

 

(大島氏撮影)

会場に飾られた44枚のパネルも

妻が一人で思いを込めて

手直ししながら作ったもの。


作品解説から表示の札、お弟子さんの分も。

何から何まで

妻の思いであふれていますが、

その作業たるやっ!

 

今までは私が寝た夜中にやることが多かったと聞くと

申し訳ない。

今更ながら…手遅れです。

 

そして

こんなに苦労してやっていても

時に工房の赤字を増大させるだけ。。。

 

そんな作品展ですが、

「できて良かったねえ。」

「ほんと、ありがたいね。」

 

会期中から何度も何度も

この言葉を妻と互いにかけ合ってきました。

来られた方々の表情や

お声かけいただいたその数々の言葉に

妻の心が震えました。

やって良かった!

いやぁ、ほんとにやって良かった!

 

今回の作品展

お手伝いくださった多くの方に支えられてできた作品展でした。

お来場の方々、関係の方々に支えられての作品展でした。

 

望外のお買い上げとご注文をいただきました。

お弟子さんも増えそうです。

 

大きな励みとなって

妻は感謝しながら新たな日々を過ごしています。

もちろん、私もです。

 

ほんとうにありがとうございました。

(2024.3.14 記)