心に灯るあかり *あとりえ 悠*

*あとりえ 悠*は妻・一ノ関悠子の小さなステンドグラス工房。妻のつくった作品を写真と文章で紹介します。ステンドグラスのよさが伝えられたら幸いです。

No.283 妙高高原の「BONNE NEIGE(ボン ネイジュ)」その3(完成)

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完成したステンドグラス「BONNE NEIGE」

 

もし…あのう、

お客様はどのお部屋に宿泊されましたか?

そんな会話もしたくなる

ステンドグラス「BONNE NEIGE」。

 

妻は建築模型のにわか勉強をし、

細かなところに拘り

予定より時間はかかってしまいましたが、

ようやく完成しました。

作り終えてホッとした妻の笑い声が

少し大きくなったように聞こえます。

 

妻が制作記録をまとめて、

ご依頼者にお送りしましたが、

建築模型仕様に作ったステンドグラス作品の

制作過程の中に作リ手の妻の思いも垣間見えます。

 ご紹介いたします。

 

妙高高原ペンション 

ボンネイジュさんのランプができるまで◇

 

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「BONNE  NEIGE(ボン ネイジュ)」をたずねて

長い間お客様を受け入れ、お客様とともに過ごしてこられたペンション。

フランス語で「BONNE  NEIGE(ボン ネイジュ)」。

閉じらてなお愛着はつのるのでしょう。

「BONNE  NEIGE』をステンドグラスにして欲しいと制作ご依頼を受けました。

 そして妻と二人でたずねました。妙高高原の「BONNE  NEIGE」。

高原に冬の気配が忍び寄る季節でしたが心は信じられないくらいに温かくなりました。

「BONNE  NEIGE」を守ってこられた方にふれたから。(ブログNo.282より)

 

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 「コッツウォルズの蜂蜜色の家」(2013年作)

この作品を見られてのご依頼だったので、

私はデフォルメした作品と想像しましたが、

「お客様がご自分の泊まった部屋が分かるような…」

とのお話。

「BONNE  NEIGE」の住宅設計図面を送っていただき、

正確な住宅模型づくりから取り組みました。

 

1.模型づくり

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送っていただいた設計図をもとに建築模型づくり。

にわか勉強で挑戦。

大きさは75分の1で小さめです。

 

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設計図と写真を頼りになんとか形になりました。
模型を作って気づいたことがあります。
オーナーさんご家族の深い愛情や思い。
受け止められた建築家さんの思いや拘り。
ここに繋がって、ここを愛する多くの方々の思い。
再現する意味…

 

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美術館のようなボンネイジュさんの建物は、

出窓や三角屋根、段違いの壁など

とても凝った作りでおしゃれです。

拙い模型でもできあがったのが

うれしくて雨上がりの朝の新緑を背景にしたり、

鏡の前で街並みのようにしたりして撮影しました。

 

2.ガラス選び~ご相談

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選んだ候補のガラスを並べてご相談。

大切な屋根の色。

無地でなく模様もなく…

そして焦げ茶色

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茶色のガラスは光を入れると赤に見える。

光を入れて茶色に見えるガラスは

自然光では黒すぎたり…

一番迷った屋根のガラスもご相談で決まりました。

 

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設計図と写真でよくわからない所は

妙高にいらっしゃるお嬢さんに伺いました。

雪の重さで階段が壊れたとか、

雪が吹き込むために覆いをつけたなどのお話を聞いて

もうびっくり。

質問した箇所を撮りながらペンションの周りに咲き始めた

妙高の春の花も撮って送ってくださいました。

イカリソウ水仙クリスマスローズ(5月1日)

 

おかげでガラスも決まり、

不明なところもわかったので次の作業に進めます。

このあともお二人には

ペンションやお父さまのお話を伺ったり、

何度もお世話をおかけしました。


 

3.いよいよステンドグラス制作。ガラス作業へ

ガラスをカット→研磨→銅箔テープを巻く→はんだづけ… を

繰り返して面ごとに作っていきます。

まず壁面と窓を作り、出窓・屋根・玄関・階段…などは

あとから作り付けていきます。

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寸法がとても大切な作品なので緊張しながら

正面壁面のガラスカットと研磨を終えました。

 

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テープ巻き~はんだ付けをして

正面の壁面が完了しました
 

 

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東面の壁面ができました。

段違いになっている2階の2室は北面との合わせを

調整するためまだ仮止めです。

細かいピースの幅は4mmとか5mmで、

小さな窓の桟は2mmほどになってしまうため

ガラスをカットせずに細くカットした銅箔テープを

巻いて見せかけています。
 

 

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 ライティングしていないときのガラスはモノトーンです。

 

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北面の設計図とガラスのケガキです。

型紙は作らずにガラスに寸法通りを

文字通り罫書いてカットします。

 

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壁の段違いになっている1.2cm幅の面を作っています。

0.◯mmの誤差が今回の組み立てでは歪みになって

しまうためどんな小さな面でも木枠を作って

作業しています。

 

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南面も飛び出したりへこんだり…

たいへん凝った作りになっています。

 

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北面と西面がくっつきました。 

ライティングしてみるのが一日の終わりの楽しみです。

 

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四つの壁面ができあがりました。

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組み立てました。

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玄関がつきました。

 

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西面をやや南から見たところと北面~西面です。

まだ、はんだは仮止めですが、

やっと大きな屋根がつきました。

三角屋根の下の三角形の部分南面の小部屋階段…など

まだまだ未完成の箇所がありますが

だいぶ建物らしく見えるようになってきました。

 

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南面の小部屋。

元の設計図にこの小部屋はないので

三方向から撮った写真を頼りに小さな模型を作り、

設計図を描いてガラス作業…

とても小さなピースの組み立てでした。

 

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最後の東面ができあがって

全体の仕上げハンダを終えました。

階段をやり直し中です。

 

 ボンネイジュさんの看板。

建物につく小さいのと大きめのものを

サンドブラストで作りました。

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台座です。

雪のイメージに加えてボンネイジュさんの周りの

美しい自然の四季の彩りをイメージしました。

紀州漆器の花台に穴をあけて配線をしました。

 

4.完 成

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  ー終わりー

 

写真、おまけのもう1枚です。

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孫と行った「リス園」で買ったオコジョのぬいぐるみ。

灯りのついた「BONNE NEIGE」の横に。

なにやら「BONNE NEIGE」も夢のなか。

 

オコジョの生息地は中部や東北地方とのこと。

妙高高原にはいるのでしょうか… 

 

( 2021.8.17 記 )

No.282 妙高高原の「BONNE NEIGE(ボン ネイジュ)」その2(制作の過程)

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「BONNE  NEIGE(ボン ネイジュ)」をたずねて

長い間

お客様を受け入れ

お客様とともに過ごしてこられたペンション。

フランス語で「BONNE  NEIGE(ボン ネイジュ)」。

閉じらてなお愛着はつのるのでしょう。

「BONNE  NEIGE』をステンドグラスにして欲しいと

制作ご依頼を受けました。

 

そして妻と二人でたずねました。

妙高高原の「BONNE  NEIGE」。

高原に冬の気配が忍び寄る季節でしたが

妻と私の心は信じられないくらいに温かくなりました。

「BONNE  NEIGE」を守ってこられた方にふれたから。

 

「BONNE  NEIGE」の模型づくり

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妻の「コッツウォルズの蜂蜜色の家」(2013年作)

上記の妻の作品を見られてのご依頼だったので、

私はデフォルメした作品と想像しましたが、

「お客様がご自分の泊まった部屋が分かるような…」

とのお話。

妻はそれではと、

「BONNE  NEIGE」の住宅設計図面を送っていただき、

正確な模型づくりから取り組みました。

 

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妻は建築模型の本を買い求めて勉強していましたが、

YouTubeが、一番よくわかった。」とのこと。

昨今、YouTubeが話題になるわけが

分かったような気がしました。

 

試行錯誤を重ねながら、

徐々に「BONNE  NEIGE」の模型が仕上がってきました。

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かなり時間はかかりましたが、

住宅設計図から「BONNE  NEIGE」の模型の完成です。

ステンドグラス作品をつくる基ができました。

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ここから

いよいよ硝子の特性・良さを生かしての作品づくりです。

 


「BONNE  NEIGE」 を「硝子で作る」

ご依頼の方とも相談しながら選んだサイズは75分の1。

通常の建築模型は50分の1が基本サイズとのことですから

キュートな作品になりそうな感じの大きさです。

一方、硝子切断やくっつけ作業には手間がかかるかも…

 

案の定、小さいピースがめじろおし。

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さらに妻は二重窓も表現したいらしい。

毎度のことながら

制作時間や効率とは関係なく進みます。

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 作り方が今までとは異なる作品ですが、

ご依頼者に喜んでいただけるものにしたいと

それだけ思って作り続けているのでしょう。

 

どんな風に仕上がるのか、

楽しみです。

 

ブログを書いていたら思い出しました。

「BONNE  NEIGE」を建てて30年運営してこられた方の

「ペンションのあるじ」のネパール食べ物紀行」

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「BONNE  NEIGE」を作られたお父さまの書かれた本

ブログを書いてて、無性に読み返したくなりました。

ネパールの山岳地帯を旅しながらの食にふれた文章は、

人のあり方を考えさせます。

魅力的な方です。

至らない自分を見られそうですが、

できたらお会いしたかったと思いました。

そして、

その死を受け入れなければならない

ご家族の思いに心及びます。

妻の「BONNE  NEIGE」があなたに届きますように。

合掌。

 

 (2021. 6.5 記)

 

追伸

あなたが大切に育ててこられた雪割草の写真が、

撮影されたお嬢様から届きました。 

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「可憐な雪割草は自然とともに自然のままに…」

写真を見て、そんな思いがしました。

No.281 二人の船出~ご結婚おめでとう

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 お二人が中心になって作ったステンドグラス

そうですか。

お父さまは、

はるのさんの中学生の時に亡くなられたのですか…

ヨットに乗せてもらったり海で一緒に遊んだり、

思い出はたくさんおありなんですね…

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このまさとさんのデザイン、

元の写真ではヨットの帆の直線だった部分が…

風を受けて帆がグッとふくらんでふくらんで、

出帆(しゅっぱん)!

二人の船出、ヨーソロー!

 

私はまさとさんのデザインしたこの面を見ると、

二人の思いとお二人の親御さんのお気持ちが

いろいろうかんできて

私も胸がいっぱいになるんですよ。

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まさとさんとはるのさんは

4月に結婚式を挙げられました。

 

はるのさんのお母さまへの感謝と結婚の記念に、

二人でステンドグラスのランプをあげたいと

妻が相談を受けたのは昨年11月。

 

美大卒のまさとさんならと、

妻はデザインも制作も二人が中心になって作れるように

お手伝いしたいと提案しました。

 

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お二人は結婚式の準備の合間を縫って、

何度も我が家に来られては制作作業をされました。

 

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お二人は互いに気遣いながら、作業に集中

 

 

力を合わせて作品制作に向かう二人の姿に

私は「がんばれよ」と声をあげたい気持ち,

そして同時に、

「自分も…もう少しがんばれるのかな…」と

励まされる気分になりました。

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春暖のベランダで二人して休憩

 

二人の作品制作は妻には特別な時間でした。

教員時代に4年間担任したまさとさんが

はるのさんと二人して船出するこの時に

思いがけず関わることができたからです。

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桜の季節にお二人の挙式がイメージされます

 

親思いのやさしいお二人のお母さまへの贈り物、

いいのができましたね。

生前ヨットにはるのさんを乗せられたお父様、

お二人の船出をどんなにか喜ばれていることでしょう…

 

はるのさん、まさとさん。

ご結婚おめでとうございます。

 

(2021.5.15 記)

No.280 行灯「紀の川」2021

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 行灯「紀の川」2021:初代は行灯「紀の川」(2013年制作)

モチーフは室町時代舞楽装束の薔薇文様。

600年も前の日本にあったこの文様が、

西洋で生まれた硝子に彫られ、

今この時代の私達にもみずみずしさを感じさせます。

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ご依頼者は我が家に来られたその時に、

玄関に置いてある行灯「紀の川」に

一目惚れされていたそうです。 

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人と作品との出合いは様々です。

作る人とモチーフとの出合いもまたいろいろです。

私は妻がよくぞこの「薔薇文様」にたどり着いたと、

その偶然に感謝しています。

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室町時代舞楽衣装「薔薇文様」

 

たまたまの偶然が重なり…

偶然の七つ目が二人で尋ねることになった高野山の宝物殿。

妻はここで

紀の川」のモチーフとなる薔薇文様に出会いました。

出会いは必然かなあ…

私は妻の薔薇文様の作品を見る度に思ってしまいます。

硝子を通る光で表現される薔薇文様が

あまりに素敵なのです。 

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薔薇文様に出会ってから

薔薇文様をモチーフにした作品を数多く作ってきました。

素人目には、制作は面倒くさそうです。

まん丸の硝子ピースを作り、

下絵を描いたシールをカットし、それを彫刻。

その丸いピースの周囲の大きなピースもまた面倒そうです。

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一枚の硝子に描かれたように薔薇をはめるために、

受ける硝子だけ見ると摩訶不思議な形状になります。

また、世界最高と言われるフリーモントの美しい硝子を

使うことが多いのですが、

厚さが2~6mmと一定してないので、

グラデーションを損なわないように

繋げてカットする苦労もあるようです。

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薔薇文様のモチーフで

多くのご依頼作品を作ってきた妻ですが、

いくつ作ってもこの刳れのカットは緊張するといいます。 

 

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左:行灯「紀の川」2021     右:行灯「紀の川」(0013年制作)

ご依頼の行灯「紀の川」2021が完成した翌日、

我が家の初代の行灯「紀の川」を並べてみました。

ご依頼の方のご要望を伺いながら作った行灯「紀の川」2021。

ほぼ同じ行灯なのに、

表情がすでにご依頼者を向いているように思いました。


この作品は

お仕事を現役でご活躍されているお母さまへの

贈り物として、ご依頼者からご注文をいただきました。

 

喜んでいただこうと

妻はサプライズでサイドには麻の葉文様を入れました。

麻の葉文様はよく育つと産着等に利用されてきましたが、

他にも無病息災や長生きなどの願いで使われる文様です。

今般、人気になっている文様でもあります。

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正面上部の大きなピースは、

元の作品は桃ですが薔薇をご要望されました。

美柑のピースは同じ硝子がなく、彫り方を変えました。

他の薔薇文様の色もお好きな色合いを選んで

いただきました。

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一見同じように見える行灯「紀の川」ですが、

妻とご依頼者の話し合いをしながら作る過程に置いて、

更にご依頼者のお気持ちもがこもる作品になって

いくようです。

これが、できあがったときに、

ご依頼者を向いている作品に見える原因なのかも

知れません。

 

もう少し詳しく言うと、

ご依頼者のお母さまを向いている作品になったように

思います。

 

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ようやく完成しました。

お待たせしました。

(2021.5.5 記)  

NO.279 どんぐりの灯り

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あかちゃんをあずかる「どんぐり保育室」で働かれる皆さんから

「どんぐりの灯り」のご依頼を受けました。

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8名の方お一人お一人に

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ご自分の灯りに使いたいご自分の好きな硝子と

その並べ方を決めていただきました。 

 

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選ばれた硝子には、

様々な気持ちが込められていることを知りました。 

 

 

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みな様お一人おひとりの思い出だったり…

 

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新しい自分であったり…

 

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憧れであったり …

 


それぞれの灯りが

お一人お一人の心に届くように

妻は夢中で作っていました。

 

そうして、

8つの灯りができました。

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(2021.4.21 記)

 

追伸

4ヶ月ぶりのブログです。

書こうと思いながらも

なかなか書けないまま

時間だけが過ぎていきました。

「どんぐり保育室」の皆さんと

妻とのやりとりを見て、

ああ、書きたいなあと思いました。

それでアップできたのかもしれないなあ…

No.278 母の帯の灯り

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直接拝見はしていませんが

きっと

とても素敵な

とてもとても大切な

帯に違いありません。

できあがった作品をみて

私はそう思いました。

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 ご依頼者が送ってくださった「帯の写真」

制作にあたり、

ご依頼の方から

妻は

大切な帯の写真と

大切なその意味を

受け取ったのでしょう。

 

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帯の絵から

「薄紫色のお灯明」ができました。

妻は

世界で最も美しいフリーモント社のガラスに

その花を彫りました。

 

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作品ができ、

お届けの荷づくり作業の妻を見て、

私はお借りした大切な帯を

お返しする気分になりました。

大切なものを

どうもありがとうございました。

 

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ふと 思い出しました。

50年前田舎の母が縫って送ってきた私のゆかた。

捨てられずにまだ箪笥の奥にあることを。

着ないのに。

ごく普通のゆかたでさえ、

私はまだ捨てられないでいるのです。

身にまとう衣装の不思議さ。

 

汗水たらしながら作った野菜を

リヤカーに乗せて朝市に行って売っていた母。

得たお金を握りしめるように私のゆかた生地を求めて

朝市近くの呉服屋に飛び込んだのでしょうか…

 

薄紫色のガラスのやさしさ。

心慰められる作品に仕上がったように

私には思えます。

 

 (2020.12.22 記) 

No.277 ドアの「伊勢物語」- 夢うつつ -

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~お納めした髙野さんから

  その夜にメールが届きました~

 

今晩は。髙野です。

今日は素敵なステンドグラスを取り付けていただき

ありがとうございました。

写真の通り、超素敵な「窓」になりました。

心がワクワクして興奮鳴り止まず?です。

本当にありがとうございました。

 

~翌朝、また髙野さんからメールがきました~

 

お早うございます。

今朝は窓から差し込む朝日(赤い太陽光)を受けて、

雅な世界を醸し出していました。

太陽光線によって色の違いまで

楽しんでいます。

 

メールを見て妻は嬉しそうでした。 

妻が作品を作り続けることができるのは、

ご依頼者に喜んでもらえるからです。

制作過程もご依頼者と歩んでいるかのようです。

 

《制作過程》

1 もと絵

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「小説伊勢物語 業平」髙樹のぶ子著 大野俊明 の挿絵

 

昨年、妻が作った北斎の[神奈川沖浪裏」(注1)を

気に入っていらした髙野さんから、

“そのうちお願いします”とのご依頼がありました。

 

その後、髙野さんが

ステンドをはめ込む枠をドアに設けたと

教えてくれました。

 

2ヶ月半前、

モチーフの絵が決まり、

お宅に招かれてお打合せをしました。

ご指定の絵は「伊勢物語」の「夢うつつ」。

妻は平安時代の絵巻絵は初めてでしたが、

ご依頼者のお陰でいろいろな作品に挑戦できると

意欲満々でした。

 

2 下絵とピース作り

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左:元絵からステンド用にデザイン  右:ステンド用ピース

下絵作業は元絵の良さを

ステンドグラス作品として表す大切な過程。

下絵を何回も描きなおし、

決定前にまた髙野さんにその画像を送っていました。

絵が決定してから、

一片ごとに切ってピースにします。

 

3 ガラス選び

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色合い、透け感など作品表現に直結します。

ピース1枚でもどのガラスをどう使うか

気を遣うところのようです。

 

どんなガラスを使うか、

髙野さんに直接見ていただいて、

説明と相談を重ねて決めました。

 

 

4 ガラス研磨後のピースはめ

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17cm×23cmの四角の中に116個のピース。

小さいピースが多いようです。

 

5 テープ巻きf:id:you3113:20201127214447j:plain

 テープ巻き作業を見ていると、

いかにも職人さんみたいで、

私はこの作業にあこがれます。

巻き方一つで、

作品のできにも影響がありそうで…

ん~、やっぱり見ているだけがいいですね。

 

この後、ハンダ作業になります。

もっと職人さん風になります。

 

6 作品完成

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作品が完成すると出窓に置いてみます。

ガラスが自然の光を背に生き生きするように見えます。

妻も私も出窓に置いて撮る写真が好きです。

 

7 ドアにはめて完成

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最後に、

このような平安の世をステンドで表現する機会を

髙野さんにいただいたことに感謝しています。

 

私は

日本の人々が親しんできたモチーフで

もっとステンドを楽しむ機会が

暮らしの中で増えるといいなあと思います。

私は美術や美学についてはよく分かりませんが、

生活者としての暮らしの気分が変わるということを

私自身実感してきました。

同様にご依頼者の方にも、もしうまれるようでしたら…

妻の励みになると思って

妻のステンド作業を見てきました。

 (2020.12.9 記)

 

(注1)

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髙野さんのご覧になられた北斎の「神奈川沖裏浪」の作品

紹介のブログ → No.201 北斎富嶽三十六景の「神奈川沖浪裏」 - 心に灯るあかり *あとりえ 悠* (hatenablog.jp)