薔薇の季節になりました。
多くの人々を惹き付ける薔薇。
今年はそれ故なんでしょうね。
バラ園の薔薇のつぼみ全てを摘んだというニュースが流れました。
例年10万人以上の人々が薔薇を観に集まる公園とのことでした。
妻は退院後、約1ヶ月の休養を経て
ようやく制作活動に取り組み始めました。
素敵なベースを手に入れ、
薔薇の作品と決めていたみたいです。
デザインは薔薇の立体感を出すように、
少し膨らみをもたせています。
外出自粛のために硝子彫刻の機械が使えず、
サンドブラストなしの作品になりました。
その分バラの花芯は、
ガラスを窯で焼いてから入れたそうです。
やはりひと手間かけた所はきらっと光るものですね。
今春の薔薇のつぼみがふくらむ頃、
私は久米宏のラジオ番組で、
「失われた福島のバラ園」の著者マヤ・ムーヤさんを
知りました。
後日同書を求め手にし、
そのバラ園を世に知らしめたいという著者マヤさん、
いずれもすごい人だなあと感激しました。
また、原発隣接地のためバラ園から緊急避難したまま、
二度と足を踏み入れることのできない岡田さんの無念さが、
数々の薔薇の写真ににじみ出ているように思いました。
本の「序文に代えて」の倉本聰さんの文章が、
とても素敵でした。
「バラ、今何を想う」の題のあと、
“一輪の花にも一輪の生命がある。
一本のバラにも一本の生命がある。”と語りかけます。
私は妻の作ったこの作品にふれ、
人の生命はもちろんですが、
薔薇一輪の生命の重さも噛み締める人になれたら…
ふとそんなことを思いました。
(2020.5.10 記)