パネル
「この魚は…?」 と言うと、 原画を描いた村上さんが、 「雨鱒…中西さんが好きだった…」 その言葉に 私は突然十余年前を思い出しました。 かつて私が勤務する地域で、 中西さんにいつもいろいろとお世話になったこと。 中西さんがみんなを支えてくれたこと。…
妻は何度も何度も描き直した図面に小さく切ったガラスを並べています。 紫陽花の花言葉は家族団らん。 亡くなられたご主人が生まれたのも紫陽花の季節。 新築のお宅にその紫陽花のステンドグラスを作って欲しいとの ご依頼を受けました。 6月の事です。 受け…
~お納めした髙野さんから その夜にメールが届きました~ 今晩は。髙野です。 今日は素敵なステンドグラスを取り付けていただき ありがとうございました。 写真の通り、超素敵な「窓」になりました。 心がワクワクして興奮鳴り止まず?です。 本当にありがと…
まっしろな どこまで いっても まっしろな… いっても いっても まっしろな… あ… かすかな はるの におい 「春のにおい」 雪国から東京に出て 何年が経ったでしょうか。 畑のひろがる郊外の春めいた昼下がり、 田舎で暮らしていた頃感じたあのにおいを 私は突…
「北斎の浪のステンド」という考えたこともないご依頼に 妻は困っていましたが、 何度も試し彫りをしながら仕上げました。 作品の裏に回って彫った浪の深さをご覧下さい。 妻の作った作品の多くは手元に残っていません。 他のお客様から見たいと求められても…
拙ブログNo1「星空のドームランプ」(2012.5.2) 参照→https://bit.ly/1T01Agq 7年前でした。 卒論指導教官として大変お世話になり、 結婚式のご媒酌人にもなっていただいた恩師に ブログを始めた報告をしようと電話をしました。 「先生、お久しぶりです。…
「北斎の波のステンドグラス」(2017年制作) 人とともに生きることの喜び、時に悩み、苦しみ。幾重にも寄せるそんな波に身を浸して私たちは生きているのでしょうか。どうしようもない大きな迷いの渦に巻き込まれた時、一歩を踏み出す決断は、案外まわりの人…
今度1歳と3歳になるお孫さんのいる息子さんご夫婦への 贈り物の相談を受けた妻は 「写真立てはどうでしょう?」 そして、お孫さん自身の記念にとお誕生日と干支、 それにお嫁さんの実家の岡山で生まれたので 桃太郎のお供をモチーフにして入れました。 お猿…
朝、目覚めて 出窓の茶々ちゃんに 「おはよう」 陽が昇り 抜けるような青空。 そして 澄んだ空気。 昼下がり。 茶々ちゃんの下に 茶々ちゃん。 いつまで散歩するの? 日が暮れたし… おうち、帰ろうよ。 今日が終わったよ。 茶々ちゃん、 ありがとう。 1ヶ月…
雷鳥を見るといいことがあるよ。 職場の仲間4人で登った奥穂高、 仲間の一人が雷鳥を指さし、 そうっと小声で教えてくれました。 険しい山道にぐったりしていた私も、 雷鳥を見て、不思議と元気が出ました。 雷鳥は火難や雷難を防ぐ神の使者とも知りました。…
田中さんは、 妻が今日このようにステンドを作ることを 導いてくださったかけがえのない方です。 昨秋、田中さん宅に、 あとりえ悠10周年報告とお礼に伺いました。 田中さんはお父様から骨董の手ほどきを受け、 国内はもとより外国の美術工芸品も求められ. …
迎春 ◇旧年中のご支援に感謝申し上げます◇ (1)日本青年館ホール「木の灯り」 昨年7月、日本青年館ホールに「木の灯り」11作品を お納めさせていただきました。 今考えると、 ご依頼いただいてから、観察調査見学をして制作し、 よく納期までに間に合った…
「あのう…これでしょうか…」 今までにはないご依頼内容で… 私も本当に驚きました。 妻への作品制作依頼は北斎の富嶽三十六景の「神奈川沖浪裏」 ご主人の大好きな絵だそうです。 新居は年明けに完成していたのに こちらの都合で伺ったのは夏になってしまいま…
「そこでいいよ」 そうやさしく教えてくれた搬入車整理のおじさんも… いつも慌ただしく、 作業員をのみこんでははき出していた現地事務所も… いつどこに消えたのだろう。 工事期間とは様相を一変させた竣工記念演奏会の7月23日、 妻と二人で日本青年館ホール…
パネルが完成して窓枠にはめられた後、 園の子どもたちへのお話の機会を頂きました。 「ガラスはお天気や時間によっても見え方がかわるし、 皆さんが見るときの気持ちによってもかわるかもしれません。 楽しいときには楽しく見えて、 悲しいときには泣きなが…
無邪気なかわいらしさ。 妻の作品には今までなかった雰囲気です。 園との図案のやりとりで生まれたからでしょうか。 ようやく残りの右片面も2週間前に完成しました。 2面併せて、82cmx153cmのサイズ。 これまでこのサイズのご依頼は、 大きいから無理と大手…
パネルの片面ができた。 ステンドは何百年も持つそうだ。 大規模な改築修繕の行われた幼稚園もこれから50年はもつだろう。 50年後、その頃私は・・・ とても生きていない。 すると妻が言った。 この幼稚園の子どもたちがまだ元気よ。 なるほど・・・そうだね…
かすかな割れた線、見えますでしょうか。 あっ、やっぱり、 上部にはっきり、見えますね。 この作品、 完成が近づいていたのに 真っ二つでした。 その後、予定通り絵付けなどを施し、 完成となりました。 10年前の妻なら ここまで至ったのかあ・・・ 割れたとき…
※右は日本画家上村松篁の作品『月夜』(昭和14年)。 左は彫りをわずかに残した妻の作品。制作途中。 上村松篁「月夜」に焦がれ、 硝子の世界で近づきたかったのか、 妻はこの作品に挑戦していた。 完成にはもう少しだった。 終盤の絵付け中の窯の中で、 作品…
「とおの木」は妻がご依頼受けた伝統ある演奏会ホールに 納める10作品の灯りに指定された樹木。 桂、桐、栗、欅、山桜、杉、栃、小楢、朴、赤松の10種。 (「山桜」の試作 2016年4月) 街路樹の育った葉 ハートだ! これも桂の木! 「とおの木」のうちの多く…
「お母ちゃん、お手々が冷たい、お手々がちんちんする。」 と言って、濡れて牡丹色になった両手を母さん狐の前にさしだしました。 母さん狐は、その手に、はーっと息をふっかけて、 ぬくとい母さんの手でやんわりと包んでやりながら、 「もうすぐ暖かくなる…
お父様が大事に育てられた鉢植えのサギソウ。 そのサギソウを真ん中に お父様とお嬢様の並んだ一枚の写真。 今は亡き父親の深いまなざしが 私にはまぶしかった。 そのまなざしに満ちているのは 愛(いつく)しみではないか。 写真のお嬢様が、 やがて私たち…
妻のサギソウの作品がようやく出来上がり、 第八回硝子彫刻展に出品しました。 その作品解説カードです。 ~鷺草乃原~ この春、世田谷九品仏の奥沢城跡にある浄真寺の鷺草(サギソウ)伝説を知りました。以前、箱根で初めてサギソウを見てその魅力に惹かれまし…
(2011年) 買い物に行けず、電気も点けず、 自宅で一人ひっそりとしていたという妻。 ステンドグラスをつくって何になるの? あの年の3月、あの東日本大震災。 妻は震災の時の様子や思いを 私が退職してからようやく話しました。 いたるところが震災の衝撃に…
妻の大好きなウィリアム・モリス。 ようやく2作品目ができました。 最初の作品をつくったとき、 「もう一つつくりたい」と言っていて・・・ もう4年が経っていました。 4年越しの作品への妻の思いを少し紹介します。 もとになっているモリスのデザインがあまり…
ご新居にステンドを入れる予定でスペースがこしらえてあったお宅のステンドグラスを作らせていただきました。ご依頼主さんのイメージされていらっしゃるものがあまりに私が大好きなモチーフだったために、たいへん幸せな気持ちで作らせていただきました。 ア…
昨年秋から年明けの間に製作した八ヶ岳のお住まいのためのステンドグラスの2枚目です。 お二階の洗面室に窓がなく、明かり取りのためにスリットの窓を開けました。 そこに葡萄柄のステンドグラスがほしいとのご依頼でした。 ご依頼主様は葡萄が好きな方で、葡…
和歌山紀の川のお家のパネルがようやく完成しました。6月に初めて訪れた和歌山は驚くことばかりで、たくさんのものに魅せられました。紀ノ川、粉河寺、紀三井寺、桃畑、みかん畑、万葉集につながる地や黒江漆器...殊に高野山での衝撃は大きく、奥の院、御影…
震災のとき ちょうど海のパネルを つくっていました。 「夏色の海」 被災地のことや被災された方のことを思うと ステンドグラスをつくることに疑問を感じたり、 安穏と生活している自分に罪悪感を覚えたりして 製作を断念しそうになりました。 でも、人と自…
初めて製作する結婚式のウェルカムボード。大きな薔薇の花があしらわれたふんわりしたドレス。長いトレーン。そこに丁寧に縫い付けられたパール付アップリケとレース模様…美しいウェディングドレスからイメージしたデザインです。 大切な日に身にまとうドレ…