和歌山紀の川のお家のパネルがようやく完成しました。
6月に初めて訪れた和歌山は驚くことばかりで、たくさんのものに魅せられました。
紀ノ川、粉河寺、紀三井寺、桃畑、みかん畑、万葉集につながる地や黒江漆器...
殊に高野山での衝撃は大きく、奥の院、御影堂、深い森、また霊宝館で見た曼荼羅や高野山天野神社の舞楽装束の美しい刺繍が心に深く刻まれました。
「お任せ」と言われたデザインは純和風の木のお家に合うように、高野山や紀ノ川もイメージできるものにしたいと考えました。
舞楽装束の薔薇文様や高野山の杜、紀ノ川や橋、桃やみかんをモチーフにして三つのデザイン案をつくりました。
ご依頼主さまとご相談しながら削り落としたり新たなモチーフ(桜とうさぎ)を追加したり、1ヶ月をかけてデザインを決めました。
その間にガラスの色を考えたり、薔薇文様のブラスト試作を重ねました。
水干や括袴に描かれた刺繍の薔薇文様はよく見ると一つ一つ色とデザインが異なり、紫色の薔薇は裏から見た姿だったりすることに気がつきました。見れば見るほど繊細で美しくて細やかな500年以上前の装束に施された刺繍の文様に虜になりながら、ラインで彫ったり、ラインで残したり、沈めたり浮かしたりぼかしたり、ブラストの仕方を色々に試みて20枚以上の薔薇文様のピースを作りました。
地色になるガラスは心に決めていたので、どれだけ探すことになるかと覚悟していましたが探すと同時に出会えました。やはりフリモント社のガラスでした。
このグラデーションのかかった美しいアンティークガラスを繋がったままカットするのに神経をつかい時間がかかりました。宙吹きガラスのために厚さも薄いところは2mm弱なのに厚いところは6mmもありました。
1つのピースで最高8カ所の抉れのあるカットはとても緊張しながら仕上げました。
お玄関と居間の双方から見える、漆喰の壁に塗り込んで嵌めてくださるステンドグラスです。
白い壁なのでボーダーは初め濃い茶色も考えましたが、合わせてみるとこの薔薇の色が混じり込んだオセアナガラスがとっても美しく思えました。
お家のステンドは住まわれる方のお気に入りのモチーフやその場所のお家に似合うもの...などと考えて作りますが、それは製作する方が勝手に思い巡らすだけで本当に寄り添うことはとても難しいことなのだと思います。そう思いながら作ります。
一つだけでも添うことができたものが入っていたのならそれは最高にうれしいことだ、と思いながら自分にできる精一杯のものを作りました。
しかし、最後は私が新しいモチーフや作品を得させていただいたんだなぁとつくづく感謝しての完成でした。
写真&文(2013.8.14) ステンドグラス*あとりえ 悠*
「もう一つの高野山」
和歌山のパネルが終わって、本日工務店宛に発送しました。妻はホッとしています。
妻は和歌山で見るもの聞くもの、作品づくりの素材として敏感に反応していました。
高野山で、作品と無関係に大きく反応したのがこれです。
「似ているよね」「似てる、似てる」
二人で盛り上がりました。
4月に生まれた孫は男の子。
高野山が一気に身近になりました。(高野山のゆるキャラ「こうやくん」)
「試行錯誤~スライドショー~」
今は新たな表現の場づくりにスライドショーをいろいろいじっています。3週間ほど前、何とかfacebookにアップしてみました。見た方の助言をもとにまた改善を図っていますが、仕事でないことの良さを感じます。自分のこうしたいという欲求だけですから。
しかし一つ気になるのは、試行錯誤でもアップしていることです。今日はNo58「海の作品」も訂正版として動画をアップしましたが、訂正になっているのか・・・?
(2013.8.14記)
動画をYouTubeに載せてみました。文字の不鮮明さや適当な音楽がないなど気になることはありますが、とりあえずスライドショーみたいになったようです。ご笑覧いただければ嬉しいです。(2013. 8.28記)
https://www.youtube.com/watch?v=mif06nZPQUw