心に灯るあかり *あとりえ 悠*

*あとりえ 悠*は妻・一ノ関悠子の小さなステンドグラス工房。妻のつくった作品を写真と文章で紹介します。ステンドグラスのよさが伝えられたら幸いです。

No.249 金魚鉢の灯り 

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遊びに行ったおばあちゃんちの町の夏祭り

我が家の子どもも金魚すくいに夢中になったっけ

どこにでもよくある夏だった

 

子どもが夢中ですくった金魚は

持ち帰って金魚鉢の中で泳いでた

 

あのちいさい金魚も

あのひらひらのついた金魚鉢も

どこにいったんだろう

 

遠い昔のひとこまは

心の中にしまい続けていることも

あるんだね

 

私は

あと 何を

しまいつづけているのだろう 

 

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妻と金魚の詩歌を話題にしたら

妻は、これっ!

確かに。


「金魚の昼寝」(作詞:鹿島鳴秋)

 赤いべべ着た

 かわいい金魚

 おめめをさませば

 ごちそうするぞ

 

 赤い金魚は

 あぶくを一つ

 昼寝 うとうと

 夢からさめた

 

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このアンティーク硝子、壁にはこんな影

詩人 八木重吉の娘桃子のこのつぶやき。

父と娘の至福のひとときか。

いや、父にとってのと言うべきだろうなあ。

 

 「金魚」(詩 八木重吉

 桃子は

 金魚のことを

 「ちん とん」という

 ほんものの金魚より

 もっと金魚らしく

 

 

学生結婚した親友に娘が生まれた時

私は「名前は?」と聞いた。

彼は「ももこ」と答え、

八木重吉の娘と同じ名だよ」と

照れながらも嬉しそうだった。

私には今は亡き親友を思い出させる詩に

なってしまった。

 

 

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ベースの足下の影。アンティーク硝子のすごさ。 

思い出や想像の 

静かにわいてくる

ひらひらのついた

「金魚鉢の灯り」

 

 (2019.8.8 記)