都内に4年ぶりの大雪が舞った。
まだその被害に大騒ぎしている日の朝刊コラムに
こんな言葉が紹介された。
雪 いとど深し / 花 いよよ近し
このコラムニスト、
いいなあと思った。
雪で毎日悩まされ続けているのに、
少し心が明るくなった。
作者は柳宗悦(やなぎむねよし)。
以前、大学時代の親友の急逝に落ち込んだとき、
氏の言葉に支えられた。
“悲しみだけが、悲しみを慰めてくれる”
確かにそうだった。
すごい人だと思った。
この人の言葉のすごさを思った。
そして、私のしたこと。
夜のうすら明かりの中、
妻の作品を外に持ち出し、
まだ残る雪を背景に写真を
撮った。撮った。
※ツクシ、ふきのとう、うさぎ
かじかんだ手で作品を家に持ち帰った。
妻は静かに待っていた。
家の中の温かさにホッとした。
(2018.1.29 記)
《今回の作品について》
◎作品名 『春を待つうさぎ』
◎使用した硝子について※硝子に興味のある方はご参照ください。妻の文章です。
☆使用したガラスについて☆
①モチーフが彫ってあるガラスはサンゴバン社(フランス)製のアンティーク手作りガラスです。ルイ14世が作った王立ガラス工場が現在まで続く古い伝統のある有名なガラスメーカーです。アンティークガラス独特の気泡があり色合いが豊かで歪みやグラデーションも魅力です。
被せガラス(二層のガラス)は特有の深い色合いを見せてくれます。
カタクリとうさぎはレッドonピンク。メジロとヤマボウシはグリーン・イエローブルーonクリアの被せガラス(二層のガラス)に手カットのサンドブラスト彫刻を施してあります。ヤマボウシを彫ったガラスは数年前に廃番になってしまいました。もう少し色が濃いとよかったのですが手持ちにあるだけのガラスで彫りました。
②左サイドに使用している茶金色のガラスはフリモント社(米)製のガラスです。オーナーのジム・フラナガンさんが一人でブローをしています。昔ながらの生産にこだわってご自身が気に入ったガラスを作り続けておいでです。重いガラスを竿先につけてとりまわすため、一日数枚ほどしか作れないとても貴重で稀少な美しいガラスです。光を通した際の揺らぎは別格です。
③屋根や側面に使っている淡いパステルカラーのガラスはアメリカのウロボロス社製のアートガラスです。何色ものガラスが入り交じってハンドロールした美しいガラスです。残念ながらこのガラスはずいぶん以前に廃番となりました。
④真ん中ほどに一枚使っているガラスはアメリカヤカゲニー社のネオジウムガラスです。光源によって、グレー・ラベンダー・ピンクに変色する美しいガラスです。
⑤その他、光りで暖かみのある赤を出すブルザイ社の白いガラス、レースのようなガラスも現在は作られなくなっております。全部で12種類のガラスを使用しておりますが、6種類が今は生産のない稀少ガラスを使用しました。それらのガラスを小さいピースながらこの灯りに生かして作ることができてほんとうにうれしかったです。