心に灯るあかり *あとりえ 悠*

*あとりえ 悠*は妻・一ノ関悠子の小さなステンドグラス工房。妻のつくった作品を写真と文章で紹介します。ステンドグラスのよさが伝えられたら幸いです。

No.210 キッチンリフォーム~手作りの硝子タイル

 

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妻の作品(硝子タイル)が

我が家のキッチンの壁に入れられました。

こんなことができるとは夢にも思いませんでした。

二人して感激しました。

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 水漏れによる修繕工事の際に、

キッチンをリフォームしました。

水漏れによる不便さも工事の煩わしさも

それらは、この感激のためにあったように思われます。

水漏れがなければ、このタイルはありませんでした。

 

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これまでのキッチン壁面のタイルと床に降ろされた吊り戸棚

最初は、最新システムキッチンは素晴らしい!

そう思って、ショールームに行きました。

行ってから、キッチンパネルはやめて、

これまでの壁のようにタイルにしよう!

そう決めました。

 

二度目のショールームは、

採用するタイルを決定するために行きました。

そこで、ガラスモザイクペンがあることを知りました。

これは素敵と、使うことに決めました。

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でもガラスが使えるなら、

妻のガラス作品も入れられるのでは?

後日、リフォーム会社の担当者からの返事は、

大丈夫とのことでした。

それから、妻の奮闘が始まりました。

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まず、キッチンに入れたいモチーフを二人で選んで、

妻がサンドブラスト彫刻しました。

これで終わりかと思ったら、

妻は白い被せガラスと重ねて窯で焼くというのです。

かわいそうに、

ココペリは灼熱地獄でぐったりして窯から出てきました。

シャープな体の線がライザップのビフォア状態に見え、

少し残念……

が、ご愛敬としましょう。

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生活の中で

手作りの工芸的美を楽しめる満足感は格別です。

 

7年前の寒かった冬の日のことです。

陶芸家河井寛次郎展を日本橋高島屋で見ました、

そこで、どうして河井寛次郎は、

農作業に明け暮れしたような無骨な手、

私たち家族を支えてきたまるで親父の手、

なぜこの手をつくったのか、つくらなければならなかったのか、

とても気になりました。

民藝運動」と「暮らしの美」を知るきっかけでした。

 

美は暮らしの中にある。

妻の作品作りが「暮らしの美」に

さらに近づいていけるよう願っています。

(2018.2.6 記)

 

追伸

今回妻の勢いはキッチンの灯りにも及びました。

灯りのモチーフはカウンターのカーテン生地の柄でした。

対の感じでちょっとおしゃれになってます…

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No.209 春を待つうさぎ

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都内に4年ぶりの大雪が舞った。

まだその被害に大騒ぎしている日の朝刊コラムに

こんな言葉が紹介された。

 

雪 いとど深し /  花  いよよ近し

 

このコラムニスト、

いいなあと思った。

雪で毎日悩まされ続けているのに、

少し心が明るくなった。

作者は柳宗悦(やなぎむねよし)。

以前、大学時代の親友の急逝に落ち込んだとき、

氏の言葉に支えられた。

“悲しみだけが、悲しみを慰めてくれる”

 

確かにそうだった。

すごい人だと思った。

この人の言葉のすごさを思った。

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 ※春を待つメジロカタクリヤマボウシ

そして、私のしたこと

夜のうすら明かりの中、

妻の作品を外に持ち出し、

まだ残る雪を背景に写真を

撮った。撮った。

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※ツクシ、ふきのとう、うさぎ

かじかんだ手で作品を家に持ち帰った。

妻は静かに待っていた。

家の中の温かさにホッとした。

(2018.1.29 記)

 

《今回の作品について》

◎作品名 『春を待つうさぎ』

◎使用した硝子について※硝子に興味のある方はご参照ください。妻の文章です。

☆使用したガラスについて☆
①モチーフが彫ってあるガラスはサンゴバン社(フランス)製のアンティーク手作りガラスです。ルイ14世が作った王立ガラス工場が現在まで続く古い伝統のある有名なガラスメーカーです。アンティークガラス独特の気泡があり色合いが豊かで歪みやグラデーションも魅力です。
 被せガラス(二層のガラス)は特有の深い色合いを見せてくれます。
カタクリとうさぎはレッドonピンク。メジロヤマボウシはグリーン・イエローブルーonクリアの被せガラス(二層のガラス)に手カットのサンドブラスト彫刻を施してあります。ヤマボウシを彫ったガラスは数年前に廃番になってしまいました。もう少し色が濃いとよかったのですが手持ちにあるだけのガラスで彫りました。

②左サイドに使用している茶金色のガラスはフリモント社(米)製のガラスです。オーナーのジム・フラナガンさんが一人でブローをしています。昔ながらの生産にこだわってご自身が気に入ったガラスを作り続けておいでです。重いガラスを竿先につけてとりまわすため、一日数枚ほどしか作れないとても貴重で稀少な美しいガラスです。光を通した際の揺らぎは別格です。
③屋根や側面に使っている淡いパステルカラーのガラスはアメリカのウロボロス社製のアートガラスです。何色ものガラスが入り交じってハンドロールした美しいガラスです。残念ながらこのガラスはずいぶん以前に廃番となりました。

④真ん中ほどに一枚使っているガラスはアメリカヤカゲニー社のネオジウムガラスです。光源によって、グレー・ラベンダー・ピンクに変色する美しいガラスです。

⑤その他、光りで暖かみのある赤を出すブルザイ社の白いガラス、レースのようなガラスも現在は作られなくなっております。全部で12種類のガラスを使用しておりますが、6種類が今は生産のない稀少ガラスを使用しました。それらのガラスを小さいピースながらこの灯りに生かして作ることができてほんとうにうれしかったです。

 

No.208 本年もどうぞよろしくお願いします

迎春 

◇旧年中のご支援に感謝申し上げます◇

(1)日本青年館ホール「木の灯り」

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昨年7月、日本青年館ホールに「木の灯り」11作品を

お納めさせていただきました。

今考えると、

ご依頼いただいてから、観察調査見学をして制作し、

よく納期までに間に合ったものです。

間に合ったのは、何か降りてきたからかも…

今頃になって、

やっとそんな冗談を妻と交わせるようになりました。

当時、毎日夜明け近くまでの作業続きで

そんな余裕もありませんでした。

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11月にはバックヤードツアーが開催され、

青年館ホール楽屋に取り付けた「木の灯り」を

大勢の方にご覧頂く機会になりました。

直接見ることができて良かったとの感謝の声を

たくさんいただき、企画に感謝しています。

 

(2)幼稚園のパネル

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木の灯り制作進行中に、

幼稚園のパネル制作依頼を受けました。

自宅工房で作れる限度いっぱいの大きさのパネルを

制作しました。

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厳しい日程をやりくりして、2月に完成。

子どもたちへの披露の場で、

子どもたちに話しているときの妻は生き生きしていました。

私も作って良かったなあと思いました。

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作品を作るとは何なのでしょうか。

ふと考えさせられます。 

 

(3)第5回作品展開催 

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昨年12月に第5回作品展を開催しました。

今までよりも大きな会場で戸惑いもありましたが、

作品一つ一つをご覧いただきたいと考えました。

素晴らしい会場にも助けられて、

好評だったようです。

もう一度この会場でさらに工夫して

妻の作品を展示したいと思うのですが、

大変なのは妻なのでねえ…

まあ、2年後の会場の予約だけはしておきます。

あとは、様子を見ながら、考えながらです。

 

◇本年もどうぞよろしくお願い申し上げます◇ 

さて、本年もスタートしました。

どんな年になるのでしょうか。

妻は当分ご依頼された作品作りでしょうが、

前からあたためていた作品構想が、

実現するといいなあと思っています。

また、今までしてきたことや新たに行いたいことも

今まで以上に他の方と共に取り組むことも

増えそうです。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

(2018.1.4 記)

No.207  *あとりえ悠*一ノ関 悠子ステンドグラス作品展開催中

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5度目の作品展。

会場を変えて、

展示できる面積はかなり広くなった。

一つ一つの作品をゆったり見てもらえたら嬉しい。

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工夫もし、準備もしたが、

さて、どうだろうか。

見に来て良かったと思って頂ける作品展なら、

いうことがない。

最終日まであと3日。

展示は毎日どこかしら変わり続けている。

こっちがもっといいと

毎日どこかを変えたくなる。

誰も気づかないかもしれないが。 

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早くから準備をしてきたつもりだが、

やはり前日と搬入当日は大変だった。

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5度目なのに、

進歩がないのか、年のせいか。

年のせいと言っては

手伝ってくれた娘と知合いの若者には、

気の毒である。

それは私と妻のことだった。

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開催3日目の今日、

北斎の波のステンドグラス」を所有されている大島さんが、

ご家族で来られた。

カメラ歴も長いようで、2台のカメラを使い分け、

あっという間に数十枚の写真を撮って帰られた。

その写真の利用を承諾くださった。

掲載した写真の半数以上が大島さん撮影のものである。

まことにありがたい。

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作品展開催は

多くの方々のご支援のお陰という他ない。

多くの方々のお陰の5回目である。

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作品展も日を重ねるほどに

感謝したい気持ちが深まってくる。 

 (2017.12.9 記)

No.206 「北斎の波のステンドグラス」と組子細工

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木片によって組まれた模様の障子の向こうは、

地上に陽光降り注ぐ小春日和の世界です。

それは全くの幾何学模様なのですが、

手作りのなせる技なのでしょうか。

障子に作り手の思いが宿るのでしょうか。

 

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釘も接着剤も使わないでこの連続模様を作ります。

 

 この道50年の職人秋山光雄さんを知ったのは、

葛飾北斎の絵でステンドグラスを依頼された大島さんのお陰です。

大島さんは妻の作った「北斎の波のステンドグラス」の木枠を

組子細工で実績のある秋山さんに制作依頼されました。

大島さんの持ってこられた木枠を見て、

貴重な古松材使用の落ち着いた品格を感じました。

北斎の「神奈川沖浪裏」にはこれしかないと思いました。

 

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 秋山光雄さん 

   神奈川県伊勢原市在住 昭和21年生まれ

   創業80年になる秋山建具店初代の父のもとで

   18歳より修行

   やがて組子細工の良さを求めて制作を続け、

   今日に至る。

 

この秋山さんなら、

こちらが望むアロマランプなどの台を

仕上げてもらえるのではないかと訪ねました。

こちらの願いをじっくり聞かれた後、

仕入れている木材の乾燥方法が違っていること、

塗はされないことなどを気の毒そうに話されました。

私は、すぐ納得したのですが、

わざわざ遠くから来られて申し訳ないと、

知り合いの家具屋さんに頼んでみるからと

話されました。

こちらの不勉強ゆえのお願いだったので、

かえって申し訳ないと思いました。

期日には間に合わないだろうが、

待っててくださいと優しく見送ってくれました。

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大島さん宅玄関天井の組子細工の灯りは秋山さん制作のものです。

 

今回の第5回作品展では、

北斎の波のステンドグラス」を

大島さんからお借りして展示しますが、

木枠の制作者秋山光雄さんの組子細工の屏風も

展示いたします。

どうぞご覧ください。

(2017.12.4 記)

No.205 ヤマボウシとクレマチス~愛しき子

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組み立てる前の平面4面を並べました。

 

真っ白なヤマボウシと薄紫のクレマチスの花の中に、 

妻の作品ではあまり見ない子どものシルエットのピースが2面。

「ほーら、たかいよー」と小さな子を揺らすピースが

目に飛び込んできます。

小さな『ボク』を揺らしているのはお兄ちゃん二人。

また右側のピースは、

お兄ちゃんの飛ばすシャボン玉を見る妹。 

「ほーら、見てー。」

「わぁ!」座っている女の子の声が聞えてきそうです。

 

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このシルエットは、

ご依頼主のお孫さんたち。

ご依頼主が二人の息子さん夫婦からお借りした写真を

ご自分でシルエットの図案にされ、

それを妻が彫りました。

 

ご依頼主の方は、絵も描かれ、絵手紙もされています。

この作品制作過程でも絵手紙的図案の提供をお願いして

それを活用させていただいています。

また草花も大変好きでいろいろ育てられています。

妻はご依頼主と直接会い、メールでやり取りをし、

アドバイスをいただきながら完成に至りました。

 

そういうことは承知しているのですが、

それでも、私にはこの2つのピースが迫ってきます。

2つの小さなピースに、

私は人のぬくもり、

人への愛おしさを感じるのです。

ご依頼主は、

私が管理職になって最初に仕えた上司にあたる方です。

心のあたたかさが、

妻に依頼した作品に出て、

十数年前を懐かしく思い出しました。

この方のお陰で、私は心あたたかな地域の人々と

都会にある自然の豊かさの中で仕事ができたと

今でも感謝しています。 

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今回、妻のステンドのお陰で

久しぶりの再会となりました。

 

この作品は、第5回個展にお借りして展示いたします。

 (29.11.29 記)

No.204 バックヤードツアーご参加、ありがとうございました。

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バックヤードツアーのお陰で、

日本青年館ホールにおさめた「木の灯り」を

大勢の方々に観てもらうことができました。

当日は100名近くの方が指定の時間に集まり

ホール側の案内でホール内をいろいろ見て回りました。

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ホール運営会社佐々木社長の

普段見えないところにも力を入れているので

そういうところもどうぞご覧くださいとのご挨拶に

多くの参加者がうなずいていました。

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妻は一参加者のつもりでいたのですが、

最初の全員の集まりで「木の灯り」制作者として紹介され、

また楽屋のステンドグラス前では説明者になっていました。

突然だったので、

事前のプレッシャーに弱い妻には好都合だったかもしれません。

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参加者の中に、できるなら親子4人で参加したいが、

幼児は多分無理だから自分だけ参加にしますという方が

いらっしゃいました。

ホールに相談したところ、親子室の利用ができました。

防音室で周りを気にせず、音楽を楽しめる素敵な部屋でした。

親子で音楽を十分楽しめたと大変喜ばれ、

その笑顔に、

こちらまで嬉しくなりました。

こういうホールの施設、ことさらにはPRされていませんが、

ありがたいですね。

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当日参加者全員に配られたパンフレットより

 

今回のバックヤードツアー、

参加者には好評だったようです。

先日、お礼のご挨拶でホールを訪ねたところ、

「木の灯り」を見る時間が足りないという意見もあったようで、

またやりたいとおっしゃっていました。

 

我が家から巣立っていった「木の灯り」を

久しぶりに見て不思議に思いました。

楽屋のドア横に取り付けられてまだ3か月なのに、

出演者や関係者を見守る役割を担い、

どの灯りも誇り高く立派に見えました。

作品は作者を離れて、自分の顔になるということでしょうか。

嬉しくもあり、少し寂しいのは嫁いだ娘と同じなんですね。

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バックヤードツアー、

またあるといいなあ。

その時はまたお知らせします。

 

※写真を撮る時間がなく、参加者から寄せられたものも

 利用させていただきました。ありがとうございました。

(2107.11.25 記)