心に灯るあかり *あとりえ 悠*

*あとりえ 悠*は妻・一ノ関悠子の小さなステンドグラス工房。妻のつくった作品を写真と文章で紹介します。ステンドグラスのよさが伝えられたら幸いです。

No.270 古希に一歩「3作品貸し出し」

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宮沢賢治星めぐりの歌」から「瞬き(またたき)」(2019年)

 

春5月

古希を迎えた。

妻が元気でステンドを作っているのが

嬉しい。

 

20年前はステンドに興味もなかった私が

今は

灯りをともしていいなあ…

そう思うようになった。

 

そんな妻の作品を

お金の負担をできるだけ少なくして

もっと多くの人に楽しんでもらいたいと

だんだん強く願うようになった。

3年程前

息子娘家族みんなが集まったとき

その思いをみんなに話した。

息子は

先ずやってみたらと言った。

 

それから

3年が過ぎた。

何もしないまま過ぎた。

 

 

古希を迎えたこの春、

コロナ禍でしたいこともままならない日が続いた。

ようやくおさまりかける街の様子を見て

忘れ物を思い出したように

妻の作品の見てもらう取り組みがっ!

 

準備に

取りかかった。 

 

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貸出作品1「雪うさぎのランプ」 (販売価格80,000円)
 

私が妻から購入した3作品限定

一人1作品1週間

貸し出し料2千円

お付き合いのある近所の方で

ご希望の方がいらっしゃったら

それでスタート

 

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貸出作品2「苺のランプ」(販売価格70,000円)

 

ステンドグラスに灯りをともす

スィッチを入れた指先の感触

生活空間をステンドの灯りがつつむ

新しい世界が見えるかもしれない

 

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 貸出作品3「金魚のランプ」(販売価格80,000円)

 

古希に

ようやくその一歩

 

(2020.6.14 記)

N0.269 モンステラとラグビー

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モンステラのランプ」に

ラグビーも」とのご依頼をいただきました。

 

ラグビーの好きな私には、

とっても嬉しいご依頼でした。

ラグビーのモチーフは初めてです。

過去、アメリカンフットボール

要望された方がいらっしゃいました。

アメリカまでひいきチームの応援に出かける方でした。

 

 

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余談ですが、

私がラグビーとかかわりだしたのは50年程前。

当時私は花園常連校のブラスバンド部員。

ラグビー試合会場まで楽器をリヤカーに積み、

市内を30分ほど走ってラグビー部の応援。

リヤカーを引っぱって、

疲れて嫌だろう思われるかも知れませんが、

当時の私は授業免除が嬉しくて嬉しくて…

高校3年時の花園でのラグビー全国大会で、

優勝候補を破って6年ぶりの全国大会優勝。

大活躍の選手がクラスに2人いて、

それはそれは大盛り上がり。

東京に出てからの私の唯一の購読誌は、

そんなわけで「ラグビーマガジン」(当時季刊誌)。

そしていつしか秩父宮

ホッカイロを貼って静かにラグビー観戦する

おじさんになりました。

ラグビーには

リヤカーをひいて走った頃の青春が

今もつまったままのようです。 

 

 

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ラグビーはいいもんだ。

ワールドカップは妻と盛り上がりました。

大のラグビーファンと自他共に認める妻は

ワールドカップ使用のラグビーボール

オーナメントもつくりました。

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よろしかったら

妻のアメリカンフットボールの作品もご覧ください。

 →  https://bit.ly/2MD9fot

 (2020.6.6 記) 

No.268 冷酒ペアグラス~鬼とふくろう

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妻へのご依頼は

お友達の画家の方への

傘寿のお祝いにとのことでした。

ご依頼者の方が見せて下さった資料から

画家の方は「鬼MANDARA」を描かれ、

また世界鬼学会等多方面でご活躍の方と知りました。

 

グラスのモチーフは、

ご本人の描かれた鬼とふくろう。

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親ふくろうにくっついている子どものふくろう、

これがなんともかわいい! 

どうしてこんなにかわいいのでしょうか!

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この冷酒ペアグラスを

見ていたら

無性にお酒を飲みたくなりました。

その気分、

出てしまいました。

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(2020.6.1 記)

 

追伸

撮影終えて、

もう無性にお酒が飲みたくなり、

撮影用の郷土のお酒を家にあるおちょこで

ひと口!

 ん…

このペアグラスなら

もっと美味しくたくさん飲めそう…と

妻にこんな冷酒グラスをお願いしてみました。

No.267 薔薇~一輪の生命

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薔薇の季節になりました。

多くの人々を惹き付ける薔薇。

今年はそれ故なんでしょうね。

バラ園の薔薇のつぼみ全てを摘んだというニュースが流れました。

例年10万人以上の人々が薔薇を観に集まる公園とのことでした。

 

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妻は退院後、約1ヶ月の休養を経て

ようやく制作活動に取り組み始めました。

素敵なベースを手に入れ、

薔薇の作品と決めていたみたいです。

デザインは薔薇の立体感を出すように、

少し膨らみをもたせています。

外出自粛のために硝子彫刻の機械が使えず、

サンドブラストなしの作品になりました。

その分バラの花芯は、

ガラスを窯で焼いてから入れたそうです。

やはりひと手間かけた所はきらっと光るものですね。

 

 

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今春の薔薇のつぼみがふくらむ頃、

私は久米宏のラジオ番組で、

「失われた福島のバラ園」の著者マヤ・ムーヤさんを

知りました。

後日同書を求め手にし、

福島県双葉町でバラと共に生きてきた岡田さん、

そのバラ園を世に知らしめたいという著者マヤさん、

いずれもすごい人だなあと感激しました。

また、原発隣接地のためバラ園から緊急避難したまま、

二度と足を踏み入れることのできない岡田さんの無念さが、

数々の薔薇の写真ににじみ出ているように思いました。

本の「序文に代えて」の倉本聰さんの文章が、

とても素敵でした。

「バラ、今何を想う」の題のあと、

“一輪の花にも一輪の生命がある。

 一本のバラにも一本の生命がある。”と語りかけます。

 

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私は妻の作ったこの作品にふれ、

人の生命はもちろんですが、

薔薇一輪の生命の重さも噛み締める人になれたら…

ふとそんなことを思いました。

 

(2020.5.10 記)

No.266 「木の灯り」の「桜」~夜明けの桜

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妻の作品の写真を撮って、

ブログにアップなんて、

恐ろしいことをしていると内心思う。

素人が好きに撮ってもいいとは思うが、

なにもひと様に見せなくても…

 

その素人が最近思う。

作品も、

誕生後すぐの撮影より

この世の空気を少し吸って

この世になじんでから写真に収まりたいんじゃないのか…

どこなら、

いつなら、

どうしたら、

作品はその気になるんだろう…

そんなことをあれこれ思う。

また、一方で

撮る側の気分もあれこれあって

素人なりに考える。

 

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この作品は、

明け方がお気に入りなのかなあと思いながら

シャッターを押した。

5時起きして付き合ったが、

作品が喜んでいるように思った。

私は、作品に

やがていつか必ず来る夜明けを

みんなに告げて欲しいと思った。 

 

 

 

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暗いところもまんざらではないようだ。

灯りだからねえ…  

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この「木の灯り」の「桜」は、

日本青年館ホールにお納めした「桜」の2世。

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日本青年館ホール楽屋廊下の「木の灯り」群。右は「桜」

プロの方の撮影したもの2枚を左右にくっつけています。 

妻の作った「木の灯り」達は

日本青年館ホール楽屋前で頑張っているようだ。

先日、日本青年館ホール社長から

アーチストがとても感動してくれて嬉しいとの

メールが飛び込んで来た。

妻に伝えて二人で喜んだ。

 

(2020.4.1 記)オッ、今日は息子の誕生日だ! 

 

追伸

3月下旬に入院手術した妻は経過も良好で、

4月初めに退院できました。

コロナで出かけることもなく静かにしていますが、

少しずつ作品作りに向かい始めています。

どんな作品を作るのか楽しみです。

(4月29日 記) 

No.265 桜うさぎ~祈り

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それでも

桜は咲き始めました。

春が

来たのですね。

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さくらさくら さくらさくら 万の死者

岩手県 桃心地さん)

東日本大震災1年後の夕刊で

私はこの句をたまたま目にしました。

詠み手の思い 

その言葉の力に

私のこころはふるえがとまりませんでした。

 

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作品ご依頼の際、

命日までに間に合うと嬉しいのですが…

期日前、

妻は作品をご依頼くださった方のお宅に届けました。

亡くなられた大切な方のお仏壇の中にお納めし、

ご依頼主が灯りを点けました。

 

その夜、

ご依頼主の方に喜んでいただけたことを

妻は嬉しそうに語ってくれました。

妻がステンドグラスを作っていて

良かったとつくづく思いました。

 

近所の土手の桜が咲き始めたようです。

明日は今年の桜を見に…

妻を誘ってみよう。

 

(2,020.3.21 記)

No.264 小さなパネル「雪うさぎ~春をむかえに」

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まっしろな

どこまで いっても

まっしろな… 

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いっても 

いっても

まっしろな…

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あ…

かすかな

はるの 

におい

 

 

「春のにおい」

雪国から東京に出て

何年が経ったでしょうか。

畑のひろがる郊外の春めいた昼下がり、

田舎で暮らしていた頃感じたあのにおいを

私は突然感じました。

あ~、春のにおい。

田舎でこんな言葉はなかったように思うが、

その時感じてつぶやいた言葉。

春のにおい。

野辺に咲く可憐な花の香りではなく、

雪の下からわく土のにおいのようなもの。

ようやく凍みた大地も温もり出したのだろうか。

待ちこがれた春を身体が感じてる。

春のにおい…

 

 

「雪うさぎ」のシリーズ紹介

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妻の最初の「雪うさぎ」が誕生してから12年。

妻の作品の中でもとりわけ人気のモチーフになりました。

 

ご依頼者の方の要望をうかがいながら作る中で、

うさぎの向こうにももう1羽のうさぎがいるデザインが

増えてきました。

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パネルの雪うさぎ

今回は初めてのパネルの「雪うさぎ」。

向こう側の硝子はないので、

硝子の向こうにもう1羽のうさぎはいません。

残念なことに2羽のうさぎの心情を

想像して楽しむことはできません。

ところが

1羽だけのうさぎの背中と足跡をじっと見ていると、

1羽のうさぎの気持ちを楽しむことになると知りました。

うさぎの背中と雪に残る足跡が

見るものに想像する楽しさを与えてくれるようです。

 

(2020.2.20 記)