桐の花は樹上高く房状にして薄紫色に咲く。
地上で直接見ることはなかなか叶わない。
有り難いことに、
知人から桐の花を納めた氷柱を頂いた。
驚くほどきれいな花。
冷たい桐の花にじんわり人の温もり。
「ローズ亭」のオーナーさんからは、
“あそこならまだ桐の花が見られますよ”と。
まさに観察に適した頃合いの花と葉。
目の高さで観察。最高だった。
花の背景に選んだのは鳥海山。
妻と昨春訪れた思い出の山。
私は鳥海山と聞いたとき、
妻と私をご案内下さった森林組合長さんご夫妻の笑顔が、
思い浮かんだ。
妻の作品はこうして目で見、手で触れ、
そして人との関わりで図案が出来ていく。
妻の作品作りをそばで見ていて、
私にはその過程がもう物語。
いつも悩んで、苦労して、時に喜びを溢れさせて、
その一コマ一コマを紡ぐように作品は生まれる。
この度、ようやく
日本青年館ホールの「木の灯り」全11点、完成。
完成した次の日の朝、妻は、
いつもより遅く起きてきて「よく、ねたー」。
何気ない朝のひと言に、
ようやく出来た安堵感、
プレッシャーから解放された喜びの気持ち、
にじんでた。
私も何気ないままのように、
“よかったねー”と,
ひと言妻に応えた。
(2017.7.9 記)