心に灯るあかり *あとりえ 悠*

*あとりえ 悠*は妻・一ノ関悠子の小さなステンドグラス工房。妻のつくった作品を写真と文章で紹介します。ステンドグラスのよさが伝えられたら幸いです。

No.187 日本青年館ホールの木の灯り(其の13)~「杉の灯り」完成

 

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杉の林・・・

近くにひっそりとオコジョ・・・

雪にかくれるような白い毛布で身を包む・・・

 

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菊の冠を載せたような野鳥キクイタダキ・・・

樹上に小さな杉の実・・・

根元にヤマユリ・・・

 

 

「杉の灯り」が完成した。

どこか遠くにやさしく心誘われる雰囲気がいい。

 

私が子どもの頃、

隣町には秋田杉の製材所がいくつかあった。

農閑期になると父は製材所で日雇いとして働いた。

あるとき父に、「ここで木、切ってるでゃ」と言われ、

見たらそこには野積みの杉の大木が幾つも重なり合ってた。

“こんなでっけぇ秋田杉、どうやって切るだべ?”

父の右手ひとさし指はいつもくの字に曲がったままだ。

切断するのは大型機械だと知らない、

私はまだ小さな子どもだった。

それから、私は中学生になって初めて

小柄な父の指が何故こんなに太いのかと

その異様さに気づいた。

私は農家の全くのんきな末っ子で三男坊だった。

どうしたらこんなに太い指になるのだろう。

農家の長男に産まれ、

手を動かして生きる者の証なのだろうか。

私の指も太くてかっこ悪いが、

恥ずかしさは段々感じないようになった。

この父の子だからと

いつしか思えるようになったからだろうか。

 

この灯りを前に、

想いが尽きない・・・

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作品を見て想うことは人それぞれだが、

見る人をどこか遠くに心誘う作品のような気がする。

 

妻によると、昨年の春取材で行ったときに見た秋田の杉山、

森林研究研修センターの杉林、国際教養大学の杉並木の

イメージをもとにしたとのこと。

 

この妻の作品を目に見えるように撮影して

そのまま伝えたいのだが、どうもうまくいかない。

撮っても撮っても、うまくいかない。

・・・直接見てもらえるならこんな苦労はいらないのだが。

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この「杉の灯り」をブログにアップしようとしてから、

撮影に5回挑戦、10日もたった。

多少の改善は見られたような気もするが、

その間、妻の作る「木の灯り」の紹介する作品が貯まってしまった。

こんな悠長にしている場合じゃなかった。

とは言っても、

今までも書きたいときに書きたいようにしか書けてない。

てきぱきとはなかなかいかないんだよね。 

(2017.4.10 記)