杉の林・・・
近くにひっそりとオコジョ・・・
雪にかくれるような白い毛布で身を包む・・・
菊の冠を載せたような野鳥キクイタダキ・・・
樹上に小さな杉の実・・・
根元にヤマユリ・・・
「杉の灯り」が完成した。
どこか遠くにやさしく心誘われる雰囲気がいい。
私が子どもの頃、
隣町には秋田杉の製材所がいくつかあった。
農閑期になると父は製材所で日雇いとして働いた。
あるとき父に、「ここで木、切ってるでゃ」と言われ、
見たらそこには野積みの杉の大木が幾つも重なり合ってた。
“こんなでっけぇ秋田杉、どうやって切るだべ?”
父の右手ひとさし指はいつもくの字に曲がったままだ。
切断するのは大型機械だと知らない、
私はまだ小さな子どもだった。
それから、私は中学生になって初めて
小柄な父の指が何故こんなに太いのかと
その異様さに気づいた。
私は農家の全くのんきな末っ子で三男坊だった。
どうしたらこんなに太い指になるのだろう。
農家の長男に産まれ、
手を動かして生きる者の証なのだろうか。
私の指も太くてかっこ悪いが、
恥ずかしさは段々感じないようになった。
この父の子だからと
いつしか思えるようになったからだろうか。
この灯りを前に、
想いが尽きない・・・
作品を見て想うことは人それぞれだが、
見る人をどこか遠くに心誘う作品のような気がする。
妻によると、昨年の春取材で行ったときに見た秋田の杉山、
森林研究研修センターの杉林、国際教養大学の杉並木の
イメージをもとにしたとのこと。
この妻の作品を目に見えるように撮影して
そのまま伝えたいのだが、どうもうまくいかない。
撮っても撮っても、うまくいかない。
・・・直接見てもらえるならこんな苦労はいらないのだが。
この「杉の灯り」をブログにアップしようとしてから、
撮影に5回挑戦、10日もたった。
多少の改善は見られたような気もするが、
その間、妻の作る「木の灯り」の紹介する作品が貯まってしまった。
こんな悠長にしている場合じゃなかった。
とは言っても、
今までも書きたいときに書きたいようにしか書けてない。
てきぱきとはなかなかいかないんだよね。
(2017.4.10 記)