心に灯るあかり *あとりえ 悠*

*あとりえ 悠*は妻・一ノ関悠子の小さなステンドグラス工房。妻のつくった作品を写真と文章で紹介します。ステンドグラスのよさが伝えられたら幸いです。

No144 迎春 福寿草のアロマランプ~紅

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妻の体調があまりよくない頃、

二人で秩父によく行きました。

四季折々の秩父の自然にふれていると

不思議と元気になりました。

 

もう8、9年になるでしょうか、

妻と早春の秩父福寿草を見ようと

出かけました。

 

斜面いっぱいの福寿草

春を呼ぶ生命力に満ちているのでしょうか、

元気づけられました。

 

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この時、草花の詳しい人が居合わせ

紅色の福寿草があることを教わりました。

教わった通りに探したら、

山の斜面のやや離れたところに見つけました。

 

紅色ながらほんのりとして

周りにとけこむ優しい佇まい。

初めて見る紅色の福寿草秩父紅)に

二人で感激しました。

 

この日があって、

この作品が生まれました。

さらに言えば、

あの時教えてくれる方がいたから生まれました。

もっと言えば、

あの頃妻の体調がすぐれなかったから生まれました。

そんなふうに私は考えます。

 

そう考えると、この作品は

悪い時も悪いことばかりじゃないんだと

教えているように思えるのです・・・

 

 

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昨年はありがとうございました。

どうぞ本年もよろしくお願い申し上げます。

みなさんのご多幸をお祈り申し上げます。

(2016.1.3 記)

No.143 天使~神は細部に宿る

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妻は個展後、

オーダーを受けた作品を何種類か忙しくつくっていた。

あれっと目をとめた。

 

天使かあ。

なつかしい。

天使、いいよねえ。

 

このところだんだんと妻へのご依頼は

灯りやパネル等大きめのものが増えているので

天使のかわいらしさが新鮮に見える。

 

天使は6年前につくりだして、

4年前の個展にはたくさんつくった。

 

アンティークやきれいな色のガラスを使い、

全て手作りでつくられた作品の温かさを

多くの人に届けたいと思ってのことだった。

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簡単なつくりに見える天使だが、

小さなガラスピースを曲線でつくり、

それに銅箔まいて、ハンダでくっつけ、

更に手にはそれぞれの天使に合うものを持たせるなど

やりにくくて面倒な細かい作業が続く。

 

知り合いのステンドグラス作家が

私なら絶対つくらないと

強く言っていたのが印象的だった。

 

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この天使に持たせるのは、これ、どう?

妻は聞いてくるが、

私はそのくらいどうでもいいように思うこともあった。

そんな時でも、

妻は一人一人の天使に語りかけるようにして

つくっていた。

 

いつの間にか

「雪の天使」「空の天使」「野原の天使」

などそれぞれに名前がついていた。

 

妻のひたすらつくる様子を見ていて

“神は細部に宿る”というのなら

この天使に

神が宿るだろうと思った。

 

(2015.12.25)

No.142 吉祥寺Paleんtte~クリスマスフェア出品

  

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住みたい街1位の吉祥寺。

駅前、商店街、通り道、

人、人、人のうず。

さすが吉祥(きっしょう)!

お寺のお蔭と思ったら

吉祥寺というお寺はないという。

 

吉祥寺駅から西にのびた中道通り

ほどなく黄色い看板「麦わら帽子」を過ぎると

右にブティックPaleんtteさん。

 

店長さん

並んだ洋服のしたの椅子の上

そっと「森のうさぎ」、おきました。

 

あかりを灯したら、

あら、不思議!

 

吉祥寺にうさぎ?

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心なごむ不思議な街、吉祥寺。

どうぞお訪ねください。

 

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 個展を終えてすぐ、吉祥寺Paleんtte(パレント)さんに

クリスマスフェア用に作品をお届けしました。

 

 

お近くお出かけの際は

どうぞお寄りください。

お店の入口ドアを開けましたら、

素敵な店長さんと可愛いアリスが

歓迎してくれますよ。

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12月25日までです。

(2015.12.19 記)

No.141 個展余話~あの小川三知

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個展初日の夕刻前、

初老のご婦人が

ショーウィンドウの「鷺草のパネル」を

外からのぞいていらっしゃった。

 

向きや角度を変えながら、

あまりに熱心なのぞき方につられ、

私もギャラリー内から

作品の照明の角度を少し変えて差し上げた。

 

その光の変化に気づかれたのか、

ご婦人はこちらに目を移され、

ありがとうっと微笑まれた。

 

その目を見て

私はその方が誰かに気づいた。

 

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4年前の前々回の個展の時、

貴女の作品には、日本人の情緒があるわ、

そう妻を励ましてくださった

小川三知さんの縁戚の方だった。

 

小川三知は、

妻が最も憧れるステンドグラス作家。

明治末、大正、昭和の時代に

日本の風景をステンドグラスで表現され

今も日本のステンドグラス界で

高く評価される偉大な作家。

三知の作品にふれながら育ってこられた方からの

励ましの言葉に妻はいたく感激。

 

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 ※妻のもっている本の表紙

 

その日、妻は私に

小川三知の作品の素晴らしさを訴え続けた。

確かに、欧米で生まれ発展した技法・文化から

日本人のもつ郷愁を細やかに表現した作品を残した功績は

ステンドグラスでは他に例がないだろうと思った。

この方の存在が妻の励みになっていることも知った。

 

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 ※小川三知の六枚組障子「四季」より欅  大正11年

 

個展には出会いがある。

それが妻の作品づくりを支えていると思うと

私はその出会いとそれらの人々に

ただ感謝するばかりである。

 

 

『個展余話その2』

妻は個展に伴うご購入作品送付、注文作品準備、

それに展示でお借りした作品返却と忙しいので、

片づけが思うようにいかず、

今も私がテレビを見るのに

段ボールの山ががちょっと邪魔。

だが、この山の一角があって 

時間がゆったり流れているように思えてきた。

・・・この山も悪くないようだ。

 

(2015.12.13 記)

 

No.140 第4回個展を終えました

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妻の第4回個展に

師走のお忙しい時期にもかかわらず

わざわざお越しくださいました皆様に、

心より感謝申し上げます。

 

妻は今回の個展で

内心最後にしたいと思っていたようですが、

ご来場くださった方から、

妻の作品を見ることのできた感謝と、

また見たいという願いのお声かけを

たくさんいただいて

揺らいでいました。

とりあえず、

今は終わった安堵感だけ味わえれば・・・

 

ところが、

家には開ける作業を待つ段ボール40数箱の山、

それに納品作業、

ご注文の作品のガラスカット等々。

個展が終わっても、やることが減りません。

 

元気にやってるから、いいかあ。

私は手伝いもせず、

行ってまいりまあす、と仕事です。

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今回の個展では、

妻のつくった作品をお持ちの方数人に

作品をお借りして展示しました。

いずれもご来場の方々にはご好評でした。

快くお貸しくださいました方々に

心より御礼申し上げます。

 

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(個展会場前のブランコ通り)

 

多くの方々のご支援で開催できました。

本当にありがとうございました。

(2015.12.9 記)

 

No.139 第4回個展がスタートしました

f:id:you3113:20151202161505j:plain12月3日、 パラついていた雨も上がり、

第4回個展が始まりました。

肌寒さも感じられる中、

わざわざ会場にお越しくださった皆様に

感謝申し上げます。

 

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たまたま混んでいた時間帯に来られた方には

丁寧な対応ができませんでした。

折角見に来られたのに申し訳なく思います。

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今回の出品数は150点、

もっといい展示方法や工夫がないかと

搬入したときの設営から、日々何かが変わります。

3日目なのに、今日も照明が変わりました。

これで終わり!

現状でこれ以上はない!と

昨日も一昨日も思いました。

今日も変えた後で思いました。

 

寝る前に、妻が、

2階に展示した家の灯りが低いから何か箱ください、

と言ってきました。

これは明日も変わるということですね・・・

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2日は朝日新聞の23面多摩版に、

4日は毎日新聞の24面多摩版に

それぞれ妻の個展開催のお知らせが掲載されました。

一生懸命つくっているだけなのに、

ありがたいね、と

妻と喜びました。

(2015.12.4 記)

 

No.138 福寿草のアロマランプ~雪

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寒のゆるみはじめた

白い山肌に

福寿草の芽。

もう、春。

じんわり温まるのは、

こころなんだね。

(妻と秩父によく行きました。

 体調があまり良くない頃、

 妻は秩父の自然と草花に慰められ、

 また、元気をもらいました。)

 

 

吉祥寺のブティック「パレント」の春のフェアで

妻は“福寿草を”とリクエストされた。

12月の個展までに制作することとなった。

 

個展の準備が始まる秋口から、

福寿草の下絵に取りかかった。

妻は絵付けの使い方などに悩んでいた。

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何とか作品は個展前にできた。

妻の“ほっ”とした顔があった。

 

早速リクエストくださった方にもご覧いただいた。

とっても気に入ってくださった。

妻のもっと“ほっ”とした顔があった。

 

オーダー作品のプレッシャーは本人しか分からない。

それでも、気に入っていただけたとの喜びようから、

プレッシャーの大きさだけは分かる。

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リクエストされた方には、

個展後にお納めする了解を得て

個展に出品することとなった。

試しの絵付けやガラスを切り直しするなど、

良いものをつくりたい一心で挑んだこの福寿草

個展で多くの人に直接ご覧いただけることを嬉しく思う。

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※よろしかったら

 妻が直接投稿した制作過程をご覧ください。

 http://togetter.com/li/904787

 

 

※突然、朝日新聞と産経リビングから取材がありました。

 妻の個展のお知らせを掲載したいとのお申し出でした。

 ありがたいことです。

 掲載日は朝日が12月2日、産経リビングは昨日でした。

 産経リビング(多摩版)はweb版でもご覧いただけます。

 取材から掲載内容まで、とても丁寧なので驚きました。

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 web版は下記です。

 http://mrs.living.jp/tama/event_leisure/article/2141150 

 

(2015.11.29 記)