都会の雨上がりの午後
秋風がさぁーっと流れ
空はどこまでも
澄んで青く…
きれいだよねえ
田舎で見たような青い空
青く澄んだ空は
ただそれだけで
きれいだよねえ
妻の作品「星空ドーム」をご覧になって
亡くなられたご主人のために同様の作品をと
ご注文くださった方も
亡くなられたご主人も
私と同じ郷里の方
ご依頼の際に
明るく華やかな雰囲気で
そうお願いをされました
ご主人の亡くなられたのは冬ということで
冬の星座が4つ
それに12星座
妻の作り上げた作品は
透明すぎるほどの16枚の星座のピースで
ひとつの青い宇宙です
クリアーな硝子空間が
不思議なほど一つのかたまりとしての一体感を
かもしているのは素敵だと思いました
この「碧天の星座」を見ていると
亡くなられた方のことをほんの少ししか知らない私も
ご一緒に同じ青い空を見ている気分がするからです
アンティーク硝子を使った作品は
何度見ても飽きることはありません
朝日がさしてきたときの表情
強い日射しを受けている昼間の表情
夜のとばりが落ちて部屋に灯りがともった頃の表情
その時々で観る者の味わいに変化を与えるかのようです
まるで生きているようです
妻は「硝子がすでに藝術作品」だと言います
透明なアンティーク硝子が
照度を落として青の濃さを増した時
私は不思議なことに
深さ透明度とも日本一、二と言われた郷里の田沢湖を
どうしても想ってしまうのです
こんな民話のある田沢湖です
永遠の美を願った辰子姫が竜になり住んでいた湖
冬になると氷が張って住めない八郎潟から
竜になった八郎が訪れて共に住むという田沢湖
八郎と辰子姫の熱で冬も凍らず
湖は果てしなく深くなったという田沢湖
そんな民話のある田沢湖を思い出すのです
アンティーク硝子の透明な青に誘われるように
私ははるかな宇宙と深く澄んだ湖を行き来してしまいます
今ごろ郷里の秋田は
青く澄んだ空のもと
田んぼの稲穂が
黄金色に色づき始めたでしょうか
秋の風が
こうべを垂れた稲穂を
ささやくように揺らしているでしょうか
(2019.9.8 記)