直接拝見はしていませんが
きっと
とても素敵な
とてもとても大切な
帯に違いありません。
できあがった作品をみて
私はそう思いました。
ご依頼者が送ってくださった「帯の写真」
制作にあたり、
ご依頼の方から
妻は
大切な帯の写真と
大切なその意味を
受け取ったのでしょう。
帯の絵から
「薄紫色のお灯明」ができました。
妻は
世界で最も美しいフリーモント社のガラスに
その花を彫りました。
作品ができ、
お届けの荷づくり作業の妻を見て、
私はお借りした大切な帯を
お返しする気分になりました。
大切なものを
どうもありがとうございました。
ふと 思い出しました。
50年前田舎の母が縫って送ってきた私のゆかた。
捨てられずにまだ箪笥の奥にあることを。
着ないのに。
ごく普通のゆかたでさえ、
私はまだ捨てられないでいるのです。
身にまとう衣装の不思議さ。
汗水たらしながら作った野菜を
リヤカーに乗せて朝市に行って売っていた母。
得たお金を握りしめるように私のゆかた生地を求めて
朝市近くの呉服屋に飛び込んだのでしょうか…
薄紫色のガラスのやさしさ。
心慰められる作品に仕上がったように
私には思えます。
(2020.12.22 記)