心に灯るあかり *あとりえ 悠*

*あとりえ 悠*は妻・一ノ関悠子の小さなステンドグラス工房。妻のつくった作品を写真と文章で紹介します。ステンドグラスのよさが伝えられたら幸いです。

No.278 母の帯の灯り

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直接拝見はしていませんが

きっと

とても素敵な

とてもとても大切な

帯に違いありません。

できあがった作品をみて

私はそう思いました。

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 ご依頼者が送ってくださった「帯の写真」

制作にあたり、

ご依頼の方から

妻は

大切な帯の写真と

大切なその意味を

受け取ったのでしょう。

 

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帯の絵から

「薄紫色のお灯明」ができました。

妻は

世界で最も美しいフリーモント社のガラスに

その花を彫りました。

 

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作品ができ、

お届けの荷づくり作業の妻を見て、

私はお借りした大切な帯を

お返しする気分になりました。

大切なものを

どうもありがとうございました。

 

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ふと 思い出しました。

50年前田舎の母が縫って送ってきた私のゆかた。

捨てられずにまだ箪笥の奥にあることを。

着ないのに。

ごく普通のゆかたでさえ、

私はまだ捨てられないでいるのです。

身にまとう衣装の不思議さ。

 

汗水たらしながら作った野菜を

リヤカーに乗せて朝市に行って売っていた母。

得たお金を握りしめるように私のゆかた生地を求めて

朝市近くの呉服屋に飛び込んだのでしょうか…

 

薄紫色のガラスのやさしさ。

心慰められる作品に仕上がったように

私には思えます。

 

 (2020.12.22 記)