完成したステンドグラス「BONNE NEIGE」
もし…あのう、
お客様はどのお部屋に宿泊されましたか?
そんな会話もしたくなる
ステンドグラス「BONNE NEIGE」。
妻は建築模型のにわか勉強をし、
細かなところに拘り
予定より時間はかかってしまいましたが、
ようやく完成しました。
作り終えてホッとした妻の笑い声が
少し大きくなったように聞こえます。
妻が制作記録をまとめて、
ご依頼者にお送りしましたが、
建築模型仕様に作ったステンドグラス作品の
制作過程の中に作リ手の妻の思いも垣間見えます。
ご紹介いたします。
◇妙高高原ペンション
ボンネイジュさんのランプができるまで◇
「BONNE NEIGE(ボン ネイジュ)」をたずねて
長い間お客様を受け入れ、お客様とともに過ごしてこられたペンション。
フランス語で「BONNE NEIGE(ボン ネイジュ)」。
閉じらてなお愛着はつのるのでしょう。
「BONNE NEIGE』をステンドグラスにして欲しいと制作ご依頼を受けました。
そして妻と二人でたずねました。妙高高原の「BONNE NEIGE」。
高原に冬の気配が忍び寄る季節でしたが心は信じられないくらいに温かくなりました。
「BONNE NEIGE」を守ってこられた方にふれたから。(ブログNo.282より)
「コッツウォルズの蜂蜜色の家」(2013年作)
この作品を見られてのご依頼だったので、
私はデフォルメした作品と想像しましたが、
「お客様がご自分の泊まった部屋が分かるような…」
とのお話。
「BONNE NEIGE」の住宅設計図面を送っていただき、
正確な住宅模型づくりから取り組みました。
1.模型づくり
送っていただいた設計図をもとに建築模型づくり。
にわか勉強で挑戦。
大きさは75分の1で小さめです。
設計図と写真を頼りになんとか形になりました。
模型を作って気づいたことがあります。
オーナーさんご家族の深い愛情や思い。
受け止められた建築家さんの思いや拘り。
ここに繋がって、ここを愛する多くの方々の思い。
再現する意味…
美術館のようなボンネイジュさんの建物は、
出窓や三角屋根、段違いの壁など
とても凝った作りでおしゃれです。
拙い模型でもできあがったのが
うれしくて雨上がりの朝の新緑を背景にしたり、
鏡の前で街並みのようにしたりして撮影しました。
2.ガラス選び~ご相談
選んだ候補のガラスを並べてご相談。
大切な屋根の色。
無地でなく模様もなく…
そして焦げ茶色
茶色のガラスは光を入れると赤に見える。
光を入れて茶色に見えるガラスは
自然光では黒すぎたり…
一番迷った屋根のガラスもご相談で決まりました。
設計図と写真でよくわからない所は
妙高にいらっしゃるお嬢さんに伺いました。
雪の重さで階段が壊れたとか、
雪が吹き込むために覆いをつけたなどのお話を聞いて
もうびっくり。
質問した箇所を撮りながらペンションの周りに咲き始めた
妙高の春の花も撮って送ってくださいました。
おかげでガラスも決まり、
不明なところもわかったので次の作業に進めます。
このあともお二人には
ペンションやお父さまのお話を伺ったり、
何度もお世話をおかけしました。
3.いよいよステンドグラス制作。ガラス作業へ
ガラスをカット→研磨→銅箔テープを巻く→はんだづけ… を
繰り返して面ごとに作っていきます。
まず壁面と窓を作り、出窓・屋根・玄関・階段…などは
あとから作り付けていきます。
寸法がとても大切な作品なので緊張しながら
正面壁面のガラスカットと研磨を終えました。
テープ巻き~はんだ付けをして
正面の壁面が完了しました
東面の壁面ができました。
段違いになっている2階の2室は北面との合わせを
調整するためまだ仮止めです。
細かいピースの幅は4mmとか5mmで、
小さな窓の桟は2mmほどになってしまうため
ガラスをカットせずに細くカットした銅箔テープを
巻いて見せかけています。
ライティングしていないときのガラスはモノトーンです。
北面の設計図とガラスのケガキです。
型紙は作らずにガラスに寸法通りを
文字通り罫書いてカットします。
壁の段違いになっている1.2cm幅の面を作っています。
0.◯mmの誤差が今回の組み立てでは歪みになって
しまうためどんな小さな面でも木枠を作って
作業しています。
南面も飛び出したりへこんだり…
たいへん凝った作りになっています。
北面と西面がくっつきました。
ライティングしてみるのが一日の終わりの楽しみです。
四つの壁面ができあがりました。
組み立てました。
玄関がつきました。
西面をやや南から見たところと北面~西面です。
まだ、はんだは仮止めですが、
やっと大きな屋根がつきました。
三角屋根の下の三角形の部分南面の小部屋階段…など
まだまだ未完成の箇所がありますが
だいぶ建物らしく見えるようになってきました。
南面の小部屋。
元の設計図にこの小部屋はないので
三方向から撮った写真を頼りに小さな模型を作り、
設計図を描いてガラス作業…
とても小さなピースの組み立てでした。
最後の東面ができあがって
全体の仕上げハンダを終えました。
階段をやり直し中です。
ボンネイジュさんの看板。
建物につく小さいのと大きめのものを
サンドブラストで作りました。
台座です。
雪のイメージに加えてボンネイジュさんの周りの
美しい自然の四季の彩りをイメージしました。
4.完 成
ー終わりー
写真、おまけのもう1枚です。
孫と行った「リス園」で買ったオコジョのぬいぐるみ。
灯りのついた「BONNE NEIGE」の横に。
なにやら「BONNE NEIGE」も夢のなか。
オコジョの生息地は中部や東北地方とのこと。
妙高高原にはいるのでしょうか…
( 2021.8.17 記 )