田中さんは、
妻が今日このようにステンドを作ることを
導いてくださったかけがえのない方です。
昨秋、田中さん宅に、
あとりえ悠10周年報告とお礼に伺いました。
田中さんはお父様から骨董の手ほどきを受け、
国内はもとより外国の美術工芸品も求められ.
ご自宅はさながら美術館のおもむきです。
また、お住まいの建替には、
古民家の梁や倉の扉など国内の四方八方を探し求め、
3年がかりで邸宅を完成させた方です。
そのような方に、あなたの作品はどれも好きと言われ、
どんなに妻は勇気をもらったことでしょう。
今のようにご注文の作品作りが忙しくなる前の時代に、
妻は田中さんに14作品をお納めしました。
田中さんのご主人は蘭がお好きで、
蘭のパネルもご注文くださいました。
妻は何度も何度もデザインをし直ししながら
制作に取り組み、お納めしました。
この日の訪問で、
玄関から階段を望む大きな梁の下の壁に
その『蘭のパネル』を見つけました。
「おー、久しぶり!」
声をかけたくなるほど懐かしい気分になりました。
あの時代に田中さんと出会わなかったら…と、
妻は今もときおり言います。
このように人に求められて忙しくステンドを
作っていたかどうか、分かりません。
作品を求められて,
手渡してお金を頂くプロ意識もまた
田中さんに教えられたように思います。
妻の作品作りの眠れない程の葛藤と苦しみを見ると、
そこまでして作るのかと
気の毒に思うことがあります。
しかし、作品を手渡した時のご注文された方の喜びに
妻は自分の喜びを重ねられるのでしょう。
妻も本当に嬉しそうです。
そんなとき私は、
“よかった。こんなふうに生きていられて。”
体調の良くなかった10年程前を思い出します。
そして、田中さんとの出会いに感謝します。
妻が元気でいる…
こんなに嬉しいことはありません。
あとりえ悠の誕生は
田中さんの『蘭のパネル』制作時に
妻は工房を『あとりえ 悠』として名刺を作りました。
それからの10年です。
「あとりえ悠」の10周年は、田中さんをはじめ
今日までに出会った多くの方々のお陰です。
10年経たことの報告をこうして皆様にご報告し、
併せて心より感謝申し上げます。
(2018.2.25 記)