萩が花 尾花 葛花 撫子の花
女郎花(おみなえし) また藤袴 朝貌(あさがお)の花… 山上憶良
『万葉集』にうたわれている七草です。
あさがおの花は今日の桔梗だそうです。
ステンドグラスができなかった時期が3年ほどありました。
3年前の秋、保養のため夫に連れて行ったもらった埼玉の秩父で「七草寺」を知りました。
藤袴の寺、萩の寺…というように七草にあげられている草花の名前がついて
その草花で包まれているお寺が七か所あるのです。
それぞれのお寺に風情や趣があって美しく手入れされたお庭があります。
例えば、枝垂れ桜でも有名な法善寺は藤袴の寺ですが、秋明菊も見事です。
七草を愛でながら七つのお寺巡りをして、とても心癒されました。
その時、緑に囲まれた森の中に小さな小さなホテルを見つけて、宿泊しました。
そのホテルのオーナーさん(自称・別荘の「管理人」さん)は、草花や美術品を愛する素敵な女性でたくさんの癒しをくださる方でした。
以来、何度も秩父を訪れては管理人さんに教えられて季節の草花を見て歩くようになりました。
昨年も一昨年も秋には七草寺巡りをしました。
私の心と体も元気になったせいか、今年は一度も秩父に行っていません。
七草寺巡りも見送りです。
でも、今年夏の終わりに行った北海道で思いがけずたくさんの七草を見ることができました。
一面の女郎花の野原や枝垂れる萩、すすき野原、道ばたに群生する葛、藤袴…
源泉公園の池のほとりにはたくさんの愛らしい撫子や桔梗が植えられていました。
大好きな秩父をありがたく、懐かしく思い出しました。
「秋の野に咲きたる花を指(および)折り かき数ふれば七種(ななくさ)の花」
山上憶良がうたった時代には七草は、里山や野原にこんなふうに自然に咲き乱れていたのだろう…
と思いをめぐらせました。
*デザインについて*
七草なので七面のランプにしました。
型紙・模型づくりと図案でそうとうな時間を使いましたが、この間にガラスのイメージが決まりました。
七草をブラストする被せガラスは、当初花の色をベースにしたガラスにしようかと思いましたが、最終的にレッドonグリーンの一種類にしました。
葉っぱのグリーンは波打つ明るいガラス
秋の野原のイメージはリップルという大きな凸凹のある深い色彩の透明なガラス
澄んだ秋の空をリップルのブルーで、雲をほんわりとした白いガラスで表現しました。
ステンドの作業は迷わずに集中して、短時間でできあがりました。
灯りだけとしても使えますが、上置き皿にアロマオイルを入れて香りを楽しめるアロマランプです。
電球の台をはずして、キャンドルを入れることもできます。
写真では香りをお伝えできませんが、ジュニパーのオイルを入れています。
疲労した精神をリフレッシュし、 新たにチャレンジする気持ちになれるというジュニパーはウッディーでさわやかな香りです。
ランプに添えた草花は近所の野原や山でとってきました。
残念ながら七草とはいきませんが、作品が自然にとけ込んでと願いました。
写真&文(2008.9)ステンドグラス*あとりえ 悠*
~ステンドグラスの癒し~
妻はつらい時に秩父を訪れて癒されました。
その時の思い出がこの「秋の七草アロマランプ」のモチーフになりました。
やがてその作品が「ホッとする」「癒される」と求められる方の多い作品となりました。
秩父の自然に癒された妻の心が作品に感じられるのでしょうか。
2012.9.7記