仏教説話に、こんな話があります。
帝釈天がみすぼらしい老人の姿に身をやつして旅をしていた折、自分には老人の為に食べ物を集める能力が無いと思ったうさぎは、自ら炎の中に身を投じ、自分を食べてほしいと訴えたのでした。
帝釈天はその行いに感じ入り、うさぎを自分の住む月の世界の住人として招き入れ、うさぎの姿を月に映し出したと言うことです。
うさぎは、古来より聖獣として山の神、月の神と考えられています。
月は水を呼びます。
そこで、水をつかさどる獣として火よけ・災いよけの象徴となり衣服や建物の欄間などにデザインされ、愛されてきました。
*あとりえ悠*でもその愛らしい姿を多くの作品のモチーフにして参りました。
心と身体に優しい美味しいお料理を提供して下さるルナ・プレナに合う灯りを考えた時にうさぎの伝説と結びつきました。
*あとりえ悠*の「季節のうさぎシリーズ」の別バージョンとして「ルナのうさぎシリーズ」を製作して参ります。
写真&文(2010.12~)ステンドグラス*あとりえ 悠*
~満ち足りるのは心~
今回の作品はイタリアンレストラン「ルナ・プレナ」のためにつくられたものです。
私たちも何度か行かせていただきました。
行くたびにいつも美味しく食すことの喜びを感じさせてくれます。
そして、食の喜びは“心が満ち足りる事”だと教えられました。
食のおもてなしはステンドグラスづくりにも通じます。
ひたすらこれ以上はないものをつくりあげようとする姿勢でしょう。
何やら帝釈天をもてなすうさぎを想像します。
店内には妻のステンドグラス作品数点が展示されています。
機会がございましたらどうぞお訪ねください。
2012.9.29 記