どんなことがあっても、また新たに再生できる…
冬を越えて一気に咲き誇る桜を見ると、その生命の瑞々しさ、躍動感に励まされます。
私は桜が大好きです。
桜の季節には様々な思い出や、心に蘇るシーンが数え切れないほどあります。
桜をテーマにした小作品をいくつも作り、この作品へのイメージをあたためてきました。
この年の4月、義兄のお見舞いのため、秋田に帰省しました。
春の花が咲き揃う早春の秋田で、角館の枝垂れ桜を見ることができました。
秋田で生まれ育った夫も角館の桜を見るのは初めてで、二人でたいへん感動しながら見てきました。
特に夜の桜の美しさには圧倒されました。
義兄はこの6月に他界してしまいましたが、いつも人のために生きてきた義兄の笑顔と
美しい角館の桜が重なって記憶に残り、
その美しいたくさんの桜の花をガラスで表現してみたいと思いました。
また、心に残るもう一つの桜は障子越しに見る桜です。
前の年、体調を壊してお花見に行けなかった私のために、
夫が寝室から見える1本の桜の木をライトアップしてくれました。
床についていた私の心に刻み込まれた桜が障子越しの桜、月の光に浮かぶ桜です。
角館と障子越しの二つの夜桜は、春の月の光に朧に淡く透けて重なり、
空は美しい薄墨色です。障子には花の影が映ります。
…そんなイメージの作品です。
花影背面
花びらの部分
写真&文(2008.07) ステンドグラス *あとりえ 悠*
「支えられての作品~花影~(第20回ユザワヤ創作大賞 金賞受賞)」
妻が体調を崩してから再びステンドグラスに取り組める過程でユザワヤフレンドクラブの方々には本当にお世話になりました。この時期、次から次へと作品をつくることができたのも、会員の方々からの温かい励ましがあったからです。
花影はこういう時期に作成されました。そして妻はユザワヤフレンドクラブ会員の方からユザワヤ創作大賞応募をすすめられ、自分でも力試しの気持ちもあり、応募を決意したようです。またお金を出して自分の作品を求めてくださる方に入賞したら喜んでもらえるのでは、と。それから銀賞以上なら神戸でも展示されるので、京都の購入者の方にも直接見てもらえる等々の思いもあったようです。結果は金賞。家族と同じくらいユザワヤフレンドクラブの方々も喜んでくださいました。
妻はそれぞれの分野で名の知られた方がひしめく授賞式にドキドキしながらの出席でしたが、ステンドグラスをつくり続けることを後押しする受賞だったと思います。妻にとって励みとなる嬉しい受賞でした。
ユザワヤフレンドクラブの皆さんにはいつも励ましていただいいたことを心より感謝しております。本当にありがとうございます。