心に灯るあかり *あとりえ 悠*

*あとりえ 悠*は妻・一ノ関悠子の小さなステンドグラス工房。妻のつくった作品を写真と文章で紹介します。ステンドグラスのよさが伝えられたら幸いです。

No.206 「北斎の波のステンドグラス」と組子細工

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木片によって組まれた模様の障子の向こうは、

地上に陽光降り注ぐ小春日和の世界です。

それは全くの幾何学模様なのですが、

手作りのなせる技なのでしょうか。

障子に作り手の思いが宿るのでしょうか。

 

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釘も接着剤も使わないでこの連続模様を作ります。

 

 この道50年の職人秋山光雄さんを知ったのは、

葛飾北斎の絵でステンドグラスを依頼された大島さんのお陰です。

大島さんは妻の作った「北斎の波のステンドグラス」の木枠を

組子細工で実績のある秋山さんに制作依頼されました。

大島さんの持ってこられた木枠を見て、

貴重な古松材使用の落ち着いた品格を感じました。

北斎の「神奈川沖浪裏」にはこれしかないと思いました。

 

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 秋山光雄さん 

   神奈川県伊勢原市在住 昭和21年生まれ

   創業80年になる秋山建具店初代の父のもとで

   18歳より修行

   やがて組子細工の良さを求めて制作を続け、

   今日に至る。

 

この秋山さんなら、

こちらが望むアロマランプなどの台を

仕上げてもらえるのではないかと訪ねました。

こちらの願いをじっくり聞かれた後、

仕入れている木材の乾燥方法が違っていること、

塗はされないことなどを気の毒そうに話されました。

私は、すぐ納得したのですが、

わざわざ遠くから来られて申し訳ないと、

知り合いの家具屋さんに頼んでみるからと

話されました。

こちらの不勉強ゆえのお願いだったので、

かえって申し訳ないと思いました。

期日には間に合わないだろうが、

待っててくださいと優しく見送ってくれました。

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大島さん宅玄関天井の組子細工の灯りは秋山さん制作のものです。

 

今回の第5回作品展では、

北斎の波のステンドグラス」を

大島さんからお借りして展示しますが、

木枠の制作者秋山光雄さんの組子細工の屏風も

展示いたします。

どうぞご覧ください。

(2017.12.4 記)