心に灯るあかり *あとりえ 悠*

*あとりえ 悠*は妻・一ノ関悠子の小さなステンドグラス工房。妻のつくった作品を写真と文章で紹介します。ステンドグラスのよさが伝えられたら幸いです。

No.109 Something 4~吉祥 葡萄栗鼠のアロマランプ

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新年 

明けましておめでとうございます

 

この作品は、ご結婚のお祝いにとご依頼を受け,

つくられたものです。

作品名にある「Something 4」は花嫁の幸せへの願い、

「葡萄と栗鼠(ブドウとリス)」 は豊穣と繁栄を表す吉祥。

妻は仕上がった作品を磨きながら満足そうでした。

ご結婚のお祝いにお送りするご依頼主の心情と

ご結婚される方へのお祝いの気持ちが作品に表せたのでしょう。

 

以下は、

この作品ができた時に添えるカードをもとに書いた妻の文です。

 

Something 4~吉祥 葡萄栗鼠のアロマランプ

大切な方へのご結婚のお祝いに小さなアロマランプのご依頼をいただきました。

モチーフは『例えば、リスとぶどう、野いちごとネコ、スミレと動物…というような組み合わせで』とのことでした。

デザインにあたって当初は「モリネズミはチェッカーベリーの赤い実がある場所を知っています。(マロリン・バスティンの作品集より)」のようなメルヘンを探していました。

しかし、リスとぶどうで調べていると『葡萄に栗鼠』の意匠は、アジア諸国で古くからあり日本では室町時代の頃から描かれるようになり、その後磁器や漆器螺鈿、鎌倉彫、蒔絵など様々な工芸品に葡萄栗鼠文様が施されていることを知りました。

葡萄と栗鼠が豊穣と繁栄の象徴としての吉祥文様として好まれてきたとのことでした。

ご結婚のお祝いにふさわしい図柄であること、お好きな色がブルー、紫、グリーン等と伺ったので迷うことなく葡萄栗鼠のモチーフに決めました。

図案はいくつも見た葡萄栗鼠文様作品の中でも特に心に残った三つの作品のイメージを参考に、つがいの栗鼠が葡萄の枝から互いを見ている様を描きました。

 

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(写真左から森寛斎「葡萄栗鼠図」 遠坂文雍「葡萄ニ栗鼠」 明治時代の竹香合)

 

栗鼠を彫った茶色のガラスは贈る先の方がオーナーをなさっている可愛らしいお店を彷彿させるピンクがかったココア色の被せガラスを選びました。

葡萄はモーヴという名前の灰紫の白被せガラスに沈め彫りしたものと紫の被せガラスを段彫りしたものをご依頼主のアイディアで片面ずつあしらいました。

お好きな色だというブルーをどこかに入れたくて、アロマ皿の受け台にクリアなブルーを使いました。

 

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古典文様をモチーフにしてご依頼主のアイディアをお借りしての新しい作品にこっそりブルーを忍ばせたということで

Something Old     Something New  Something Borrowed  Something Blue ...

幸せなご結婚をお祈りするSomething 4 のアロマランプです。

 

 (作品&文 2014.12 ステンドグラス *あとりえ 悠*)

 

本年も

どうぞよろしくお願いいたします

(2015.1.2 記)