この作品を毎日何度となく見るようになりました
見ると落ち着く
そのたびに落ち着く
不思議な作品です
衝立のかもす何かなのか…
妻がどうしてこの作品を作ったのか
紹介します
きっかけ
妻がこの作品を作りたいと言ったのは5年前です。日本青年館ホールの「木の灯り」制作で1年間木々の様子と成長を毎日のように観察し続けていました。もっと深く知りたいと、私の郷里の秋田を訪ねて営林署関係の方々にもお世話になりました。多くの方々に支えられながら12種の「木の灯り」ができました。それからです。「ブナの森の四季」を表現したいと言うようになりました。
上:日本青年館ホール楽屋前の「木の灯り」 下:「木の灯り」鑑賞会 右:日本青年館
なぜ 「ぶなの森」?
共に教員時代の昔、妻と『ぶなの森は緑のダム』という説明文のすばらしさを話題にしたことがありました。「ぶなの森」がいかに私たちに大切であるのかを分かりやすい文章構成で考えさせます。そんなことがあってから、出かけた先にぶなの森があると家族で又は二人で足を運ぶようになりました。田沢湖高原のぶなの森をまだ小さかった二人の子ども達と家族で散策したのは抱きしめていたい思い出です。二人で訪ねた石神山地のぶなの森の奥にある湖沼の神秘さは今も鮮明です。鳥海山麓のぶなの森の「あがりこ大王」の生命力に感動しました。あの説明文に出合ってから、妻の心にいつもぶなの森が宿っているように私には思えるのです。
日本青年館ホール楽屋前の「ぶなの灯り」
衝立(ついたて)がいい!
妻は作りたい作品イメージから衝立を考え、探していました。幸いに、車で1時間ほどの場所に大きなアンティーク販売店(「古福庵」)が有り、気に入った衝立を求めることができました。驚きました。明治、大正あたりのものが結構良い状態で売られ、また求める方も相当数いらっしゃると知りました。手に入れたあとの問題はステンドグラスをはめるための衝立の加工です。こちらはかつて妻が作成した玄関ドアのパネルを組み込んだ新居を施工された斉藤工務店さんにお願いしました。腕の良い工務店さんで、実際に妻の願い通りに作ってくださいました。独自の工夫も見られ、さすがと感心しました。
「春と夏」
カタクリ・サンカヨウ・キクザキイチゲ・一人静・水芭蕉・シラネアオイ・マイズルソウ・リス・モリアオガエル・ギンリュウソウ・ブナの芽
「秋と冬」
アカショウビン・秋田内陸縦貫鉄道・ブナの実・オコジョ・ツリバナ・雪うさぎ・牛の親子・冠雪した森吉山頂上・秋のブナとその周辺 田沢湖・森吉山・秋田八幡平にて
4年後の第7回作品展(2021年冬)直前に完成
衝立は作ろうとしながらも、ついついオーダー作品等でいつも後回しになってきました。第7回作品展には出品と決め、それでようやく取りかかるようになりました。昨年になって硝子カット作業に入りました。作品展のわずか1週間前にようやく斉藤工務店さんに作品を衝立にはめて頂きました。その時はもう作品展準備で忙しく、完成の喜びを味わうよりも、間に合ったことの安堵感でいっぱいでした。
ようやく 今
作品展の半年後の今になってようやく衝立「ぶなの森の四季」を作り終えた満足感を二人で味わっています。私は照明の工夫などしながら衝立「ぶなの森の四季」をながめ、「頑張って作って良かったね」と妻に声をかけます。妻も作品を見ながらうなずきます。
(2022.5.28 記)
書いて思ったこと
この作品を見て私が落ち着くのは
ここに自分が大事にしたいものがあるからかも知れない…
最後は作品と自分の関係なのかなあ
そう思いました
衝立もその効果を十分高めてくれているように思います
作品と自分の関係と思えたのは
妻に作品をオーダーで求めて来られる方々を
たくさん見てきたからです
オーダーされる方は
入れたいモチーフを自分の中から探して
妻に要望します
妻はオーダーされた方といつも向き合いながら
受けた作品を作ります
まるで一緒に物語を紡ぐようにです
できた作品をご覧になって
みな様 とても喜ばれます
本当に嬉しそうです
その作品に自分の何かをみるのでしょうか
そのことを思い出しました