心に灯るあかり *あとりえ 悠*

*あとりえ 悠*は妻・一ノ関悠子の小さなステンドグラス工房。妻のつくった作品を写真と文章で紹介します。ステンドグラスのよさが伝えられたら幸いです。

注文制作

No.226 檀(まゆみ)の灯り~まゆみちゃん、3さい

まゆみちゃんが 生まれ、 この子が3さいになったらこの子の灯りを。 そうお願いされ… もう、まゆみちゃんは、3さい。 お約束の「檀(まゆみ)の灯り」ができました。 お披露目とお渡しに、 お母さんとお兄ちゃんとまゆみちゃんが、 訪ねてこられました。 …

No.225 インディアンの祈り

今、この瞬間、 一人の人間でどうなるものでもない… 大自然の前の人間の無力さ。 大洪水で壊れゆく人間の営みが テレビ画面に流れました。 七夕の頃、過去に例を見ない集中豪雨に襲われた西日本。 その広島県内にある福山市のお店にお納めする作品を 妻はそ…

No.224 おおましこの灯り

『おおましこ』は、寒くなった頃に見られる野鳥。 森や林の周辺などで「ピイーッ ピイーッ」と 短い声で鳴くそうです。 メスとオスは向かい合う面で… ご依頼のお二人のご要望でした。 加えて、奥様から オスを少し大きめに… これまで私の聞いたことのない『…

No.223 パッカーズの灯り~ランボー・フィールドの空

アメリカのわずか人口10万の町にある ランボー・フィールドをフランチャイズとする NFLのグリーンベイ・パッカーズ。 その大ファンという九州にお住まいの方からの ご依頼でした。 ランボー・フィールドまで数度応援に行かれたそうで、 相当熱烈なファン…

No.222 日本青年館ホールホワイエの「桐の灯り」~「木の灯り」(其の28)

「木の灯り」青年館ホールさ納めたのは、 去年夏だったものなあ。 そのあと、 見たいという声に後押しされだべか、 青年館ホールから追加注文あったもの。 春に、ホールのホワイエにこの「桐の灯り」、 取り付けらえだった。 たいした立派な鉄の枠もこしらえ…

No.221 茶々ちゃんと野の花のミニパネル

朝、目覚めて 出窓の茶々ちゃんに 「おはよう」 陽が昇り 抜けるような青空。 そして 澄んだ空気。 昼下がり。 茶々ちゃんの下に 茶々ちゃん。 いつまで散歩するの? 日が暮れたし… おうち、帰ろうよ。 今日が終わったよ。 茶々ちゃん、 ありがとう。 1ヶ月…

No.218 日本青年館ホール「木の灯り」(其の27)~「桐の灯り」第貳(だいに)

※このたび追加注文で日本青年館ホールにお納めした作品 昨年末、日本青年館ホールから再度のご依頼でした。 “今度は催事入場者のどなたにでもご覧いただけますよ。 ”なんと嬉しいお言葉でしょう。 妻と大喜びしました。 ※2階ホワイエと取付予定の同階階段周…

No.212 玄関のパネル~杉ぼっくりのステンドグラス

雷鳥を見るといいことがあるよ。 職場の仲間4人で登った奥穂高、 仲間の一人が雷鳥を指さし、 そうっと小声で教えてくれました。 険しい山道にぐったりしていた私も、 雷鳥を見て、不思議と元気が出ました。 雷鳥は火難や雷難を防ぐ神の使者とも知りました。…

No.209 春を待つうさぎ

都内に4年ぶりの大雪が舞った。 まだその被害に大騒ぎしている日の朝刊コラムに こんな言葉が紹介された。 雪 いとど深し / 花 いよよ近し このコラムニスト、 いいなあと思った。 雪で毎日悩まされ続けているのに、 少し心が明るくなった。 作者は柳宗悦(…

No.206 「北斎の波のステンドグラス」と組子細工

木片によって組まれた模様の障子の向こうは、 地上に陽光降り注ぐ小春日和の世界です。 それは全くの幾何学模様なのですが、 手作りのなせる技なのでしょうか。 障子に作り手の思いが宿るのでしょうか。 釘も接着剤も使わないでこの連続模様を作ります。 こ…

No.205 ヤマボウシとクレマチス~愛しき子

組み立てる前の平面4面を並べました。 真っ白なヤマボウシと薄紫のクレマチスの花の中に、 妻の作品ではあまり見ない子どものシルエットのピースが2面。 「ほーら、たかいよー」と小さな子を揺らすピースが 目に飛び込んできます。 小さな『ボク』を揺らして…

No.201 北斎富嶽三十六景の「神奈川沖浪裏」

「あのう…これでしょうか…」 今までにはないご依頼内容で… 私も本当に驚きました。 妻への作品制作依頼は北斎の富嶽三十六景の「神奈川沖浪裏」 ご主人の大好きな絵だそうです。 新居は年明けに完成していたのに こちらの都合で伺ったのは夏になってしまいま…

No.200 「木の灯り」(其の25)~「山桜の灯り」 キューバに渡る

この夏キューバに渡った「木の灯り」シリーズ見本作品「山桜の灯り」 今日も暑くなりそうねと交わす人混みをすり抜け、 下北沢駅近くの開店間もない喫茶店に二人で入った。 まだひと気のない店内。私は大学時代のグリー仲間に、 彼が欲しいと言った「木の灯…

No.198 日本青年館の「木の灯り」(其の24)~宝塚歌劇星組公演「阿弖流為」

どんなふうに灯っていたでしょうね。宝塚「阿弖流為」の日本青年館ホールこけら落とし公演。 夢を見たのだろうか。 真夏の夜の夢なのか。 しばし、ご笑覧頂ければ幸いです。 この年になって、宝塚公演を観劇できるとは。 人生、何があるか分からないとはこの…

No.197 日本青年館ホール「木の灯り」(其の23)~笑顔の色紙 

「そこでいいよ」 そうやさしく教えてくれた搬入車整理のおじさんも… いつも慌ただしく、 作業員をのみこんでははき出していた現地事務所も… いつどこに消えたのだろう。 工事期間とは様相を一変させた竣工記念演奏会の7月23日、 妻と二人で日本青年館ホール…

No.196 日本青年館ホールの「木の灯り」(其の22)~取付工事&ホール見学

ー取り付けて、取りあえず点灯の確認ー 7月18日、日本青年館ホールは本日竣工です。 関係の皆様、誠におめでとうございます。 少しさかのぼって7月10日、 灯りの取付工事立ち合いのため、 妻と日本青年館ホールを訪ねました。 作業はその内容によって担当班…

No.195 日本青年館ホールの「木の灯り」(其の21)~最終作品「桐の灯り」完成  

桐の花は樹上高く房状にして薄紫色に咲く。 地上で直接見ることはなかなか叶わない。 有り難いことに、 知人から桐の花を納めた氷柱を頂いた。 驚くほどきれいな花。 冷たい桐の花にじんわり人の温もり。 「ローズ亭」のオーナーさんからは、 “あそこならま…

No194 日本青年館ホールの木の灯り(其の20)~「橅の灯り」完成

「橅(ぶな)の灯り」は 「とお(10)の木の灯り」制作途中に受けた 日本青年館ホールからの追加注文でした。 「ブナ」を制作できることに妻も私も喜びました。 『ぶなの森は緑のダム』。 わかりやすい文章構成で ブナの森がいかに私たちに大切であるのか考え…

No.193 日本青年館ホールの木の灯り(其の19)~「楢の灯り」完成

今回の写真は新進気鋭の若手カメラマンによるものです。 カメラマンへの撮影依頼は、 11月発行を目指して製作に取りかかっている 「木の灯り」作品集の編集・製作者からのアドバイスでした。 確かにプロは違うものだと感心しました。 各種機材を抱え、重装備…

No.192 日本青年館ホールの木の灯り(其の18)~落とし文(おとしぶみ)

山道に転がる虫の丸めた葉。 落とし文(おとしぶみ)と言う。 あなたへの 想いここにも 落とし文 小池 森 忘れようとしても忘れられない どれほどの想いなのでしょうか。 道ばたの“落とし文”にまた想いが湧き上がるのでしょうか。 この句は、大学時代からの…

No.191 日本青年館ホールの灯り(其の17)~「朴の灯り」完成

深緑を背にした朴の木の花。 側面を春と秋のイメージの朴の葉が被う。 この「朴の灯り」, これで充分なのだが、 意外なことに、私が夜に灯りをともして 何度も見て楽しんだのは この面の反対側にある芽吹く葉だった。 見終わっても、 何となくまた見たくなる…

No.190 日本青年館ホールの木の灯り(其の16)~「橡(とち)の灯り」完成

まったく、豆太ほど おくびょうな やつは ない。 もう五つにもなったんだから、よなかに ひとりで セッチンぐらいに いけたっていい。 ところが 豆太は、セッチンは おもてにあるし、 おもてには 大きな モチモチの木が つったっていて、 空いっぱいの かみ…

No.189 日本青年館ホールの「木の灯り」(其の15)~「桜の灯り」完成

桜前線北上。 北国からの桜の便りに、 妻と見た桜がなつかしく思い出されます。 9年前の4月19日、 仕事の合間をぬって私の田舎に帰省する途中、 角館で桜を見ることができました。 ※妻が撮った9年前の写真 例年より10日以上早い桜開花でした。 前々から角館…

No.188 日本青年館ホールの木の灯り(其の14)~「栗の灯り」完成

しんとした雪夜に来客が帰る。 残されたいろりの熾火(おきび)に 勢いよく息を吹きかける。 灰色がかった炭がぽーと勢いを増して燃える。 赤くなって燃える。 子ども心に この熾火の不思議さを 炭のほてりを感じながら 見る。 数十年経て 私は「栗の灯り」…

No.187 日本青年館ホールの木の灯り(其の13)~「杉の灯り」完成

杉の林・・・ 近くにひっそりとオコジョ・・・ 雪にかくれるような白い毛布で身を包む・・・ 菊の冠を載せたような野鳥キクイタダキ・・・ 樹上に小さな杉の実・・・ 根元にヤマユリ・・・ 「杉の灯り」が完成した。 どこか遠くにやさしく心誘われる雰囲気が…

No.185 幼稚園のパネル「光に向かう子ら」~その4「子どもたちへ」

パネルが完成して窓枠にはめられた後、 園の子どもたちへのお話の機会を頂きました。 「ガラスはお天気や時間によっても見え方がかわるし、 皆さんが見るときの気持ちによってもかわるかもしれません。 楽しいときには楽しく見えて、 悲しいときには泣きなが…

No.184 日本青年館ホールの木の灯り(其の12)~「欅の灯り」完成

※左面:春 右面:冬 私には身近過ぎるように思える欅だが、 ひと冬前に始まった欅とのふれあいに、 妻は何を感じたのだろうか。 欅のすべての始まりは冬。 欅の古木の穴に宿るスズメ。 春を焦がれる実生(みしょう)を宿す欅。 木枯らしにゆれる小枝にも、 …

No.183 日本青年館ホールの木の灯り(其の11)~「桂の灯り」完成

妻と1年前の冬に「とおの木」探しをした。 桂の木は近所にはないと思っていた。 春になって、妻がここにも、あそこにもと 近所の街路樹3カ所で桂の木を見つけた。 案外身近に見られる木だと知った。 丸い小さなハート型の可愛いらしい葉が特徴。 色づいた秋…

No.182 幼稚園のパネル「光に向かう子ら」~その3「完成」

無邪気なかわいらしさ。 妻の作品には今までなかった雰囲気です。 園との図案のやりとりで生まれたからでしょうか。 ようやく残りの右片面も2週間前に完成しました。 2面併せて、82cmx153cmのサイズ。 これまでこのサイズのご依頼は、 大きいから無理と大手…

No.181 日本青年館ホールの木の灯り(其の10)~「松の灯り」完成

生まれたばかりの松ぼっくりを食べるリス かさの大きく開いた松ぼっくり ピンととんがった松葉 花粉をつけた松の花 そして見守る松の樹皮 何度も何度も 樹木にふれ・・・ 息づかいを感じ・・・ ようやく灯りになりました 日本青年館ホール11種の木の灯りに込…